毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

光棍節:独身者の祭り    2010/11/29  No.18

2010-11-29 19:15:16 | 中国事情
 中国では、11月11日は光棍節と呼ばれている。独身の人たちの祭りなのだそうだ。私の勤務する大学は基本的に全寮制なので(たぶんどこの大学もそうだと思う)、カップルはたくさんいても結婚したり、同棲したりしている人たちはまずいない。
なので、全ての学生諸君はこの日を祝う資格がある。しかし、学生達はこの祭りを「つきあう相手がいない者たちの悲哀に満ちた記念日」と位置づけているようである。
 この日は、キャンパス近くのレストランやカラオケから「単身情歌」の歌声が切々と流れたという。

 いったい、どれくらいの学生がボーイフレンド・ガールフレンドと付き合っているのだろう。キャンパスの昼休み、のんびり手をつないで散歩するカップルをあちこちで見かける。そのオープンさはあっけらかんとして日本以上に堂々としている気がする。

 あるとき、キャンパス内の路上で堂々とキスをしているカップルがいた。入学したての純情な1年生達がその姿を見ないように、テキストで顔を隠しながら恥ずかしそうに通り過ぎていた。昼間からこういうのは珍しいが、夕方以降、特に寮に引き上げなければならない9時頃は別れを惜しむ恋人達のラッシュ時間だそうだ。

 真面目一徹な3年生の黄さんはこの風潮を「学校における環境問題」と言う。彼女によると、夜9時に図書館から帰って来たら、女子寮の前は恋人同士でごった返し、人目もはばからずキスしていて、ひんしゅくものだそうだ。大学でも注意しているらしいが効き目は全然ないばかりか、ますますエスカレートしているとのこと。彼女は風紀委員でもないのに、プリプリ怒りながら、「公の空間意識がなく、わがままに自分の事をして他人の邪魔をしている。親が見たら何と言うでしょう。」とまで言う。
 こういう子は、あまり日本では見かけなくなっていると思うがどうだろう。ちなみに彼女は色白で愛らしい大きな目をした、天然パーマの巻き毛がとても似合う、「エースをねらえ」のお嬢さまみたいな子だ。親が聞いたら泣いて喜ぶようなこうした意見は、実は、ここの大学生の多数派を占める。受験勉強で一応勝ち組の大学だからだろうか。

 日本語学科の学生達も、誰とも付き合っていない子がほとんどだそうだ。3年で一組だけ、常に最前列に座るカップルがいるが、彼らはいつも二人で勉強している。成績もいい。付き合い出したきっかけは、彼女が「名探偵コナン」好きだと知ったコンピューター名人の彼が、毎回「コナン」をダウンロードしてあげて彼女の心を掴んだそうだ。彼女は「私たちが付き合いだしたのは、コナンが532回目の日でした。」などと言い、今でもコナンを生活の中心に据えている…。
 しかし、そんな彼らにも、青春の光が徐々に射しつつある気配が、日記に綴られている。私が読むと分かっているのに、率直に書く彼らは本当に純情で正直な人たちだなあ。
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