キラキラ

毎日の生活を写真と共に綴っていきます。

浮遊・高嶋哲夫 著

2016-07-29 10:00:04 | Weblog
7月20日に読了。

本の表紙の写真から、サスペンス小説かな?

と思いましたが、とんでもないサスペンスよりも

コワーイ小説でしたぁ~。






考え方によっては、面白いけれど

底無しのコワサがありました!!







主人公・本郷は、K大学医学部脳神経外科病棟で

脳科学を研究をする医学部の講師です。

脳科学の世界では、最先端の研究班のリーダーでもあるキレモノ。






その彼が結婚を控えたある日、婚約者と共に

トラックと正面衝突する交通事故に遭います。





肉体は荼毘に付れますが、脳だけは無傷だったのです。




そして、科学的に操作された水槽(脳の生命維持装置)の中で

その脳は生き続けます。


それを脳科学者たちが観察研究するのです。










(私が想像もできない世界が描かれています。)








肉体は死んでいるけれど、脳は生きている。

最終目的は脳移植???






本郷の脳は、水槽の暗闇の中で考えます。

恋人のこと、肉親のこと、友人の会話について。





本郷は思います。

『僕は今、こうして存在している。意思も記憶も精神(こころ)も

 生きているときのままなのです。

 ただ、ないのは、光、そして意識を伝達するもの、肉体なのです。』

と 水槽の中で。


その横には、山羊の脳やサルの脳が入った水槽が・・・。




読んでいて不気味さを感じます。




これは、公になっていない実験(?)ですから、警察やマスコミ・

大学の倫理委員会に気づかれないか?

もし、公になれば世界中が大騒ぎになります!!!










(著者の高嶋氏、もっと険しいお顔を頭に描いていましたが?)







婚約者・秋子は本郷が生きる(?)水槽に向かって

「でも、ほら、昔習ったでしょ。医学倫理の時間だったかしら。

 命あるものにはどんなものにも役割があり、意味があるって。

 医学は神様の意思に逆らうのではなく、従うものだと思う。

 医者はただ患者の生命力を助け、苦痛を和らげるために最善を

 尽くせばいい。後は生かすも殺すも神様の意思しだい。

 あなただって、生きているからここに存在して、こうして私と

 話している。あなたに比べれば私の失ったものなんて取るに足らない。」

 と話しかけます。





秋子の眼球は本郷のものを移植しました。だから、秋子の中で本郷は

生き続けるのです。




物語は、春・夏・秋・冬 と進み、冬のある日 『脳梗塞』で本郷は完全な

死を迎えます。 




脳梗塞で本郷の脳の『浮遊』 が終わると分かって

何故かホッとしました。




何十年、何百年後には、脳移植なんてあるのでしょうか???













コメント
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