パガジ 바가지 とは,本来、瓢(ふくべ)の実を乾かして,半分に割って作った,水を汲むための道具です。最近は,プラスチック製が主流になっていますが,それもパガジと呼びます。
ここからどういう変遷を経たのかよくわかりませんが,「買い物をするとき,法外な値段を吹っ掛けること」も「パガジ」と言います。日本人を始めとした外国人観光客がよく標的になりますね。
いちばんパガジがひどいのは,南大門市場とイテウォン。東大門市場は比較的少ないようです。
以前,別の駐在員夫人から聞いた話。
南大門市場を歩いていたら,靴やサンダルをうずたかく積み上げている屋台があった。
韓国人のお客さんがサンダルを買おうと、アジュンマと価格交渉をしています。耳を澄ませていると,2000ウォンで折り合ったらしい。
安い! 私も買おう。
と思って,同じサンダルを手に取った。この駐在員夫人,韓国語は聞き取れるものの話すほうはぎこちない。すぐに日本人だとばれたようです。
「あ、これね。5000ウォンでいいよ」
「えっ! さっきのお客さんには2000ウォンで売ったでしょ? ちゃんと聞いてたんだから」
屋台のアジュンマ,ちょっときまり悪い顔をしながら,
「あ,あれね。あれは片方だけの値段なんだよ」
「そんなバカなことがあるわけないでしょ。
第一,片方2000ウォンなら,両方で4000ウォン。計算が合わないじゃない」
「そ,それはつまり……,
右のほうが1000ウォン高いんだよ」
「……。」
「パガジ」を辞書で引くと、「パガジ引っかく」という言葉もありました。「奥さんがご主人に文句を言う」と言う意。言葉って面白いですね。