PRR X29 ボックスカーの工作

ペンシルバニア鉄道　X29　は1924年から1934年の間に28925輌、購入（あるいは製造）された50トンボックスカーで、1920年代から1950年代の間にPRR線ばかりでなく全米の鉄道で非常にポピュラーに見る事が出来た貨車だったそうです。
登場の経緯に付いてはNYCやARAの標準車などとの絡みで複雑なのですが、そちらについては難しいのと長くなるのでここでは省略させていただきます。　（興味をお持ちの方はクラフツマン2007/1-2をご覧いただくと詳しい記事が載っています）

実物は製造期間が長いため、1924-5年型、1928-30年型、1932-4年型の3タイプに分けられます。
模型製品としてはトイライクな簡単なものから、かなり凝ったウレタンキャストのキットまで数種類発売されていますが、「安価に楽しむ」ポリシーの私は昔から発売されていたWalthers製が好きです。
現在新品で入手出来るWalthers製品は概ね1928-30年製中期型の特徴を表現しています。　このタイプは以前から多数所有していましたが、去年都内の中古店（ぶっちゃけエバーグリーン）で、現在は売られていない後期型を見つけて購入しました。
今回はこれのディティールの異なる部分を交換しながらすっきりと組み立ててみたいと思います。

↑とりあえず交換する部品　左：ウェスターフィールド製ヤングスタウンドア　右ヲルサーズ製ベッテンドルフ台車

↓画像は左：1932-4年製後期型　右：1928-30年製中期型の妻板の比較です。
後期型はいわゆるドレッドノート　エンドを表現していますが、プレスで成型されたリブの形と数が実物とは全くｗ異なっています。　では何故後期型といえるのかというと、要するにフラットパネルでないということです。　これは直しようがないので、これで気分を楽しむしかありません。　どうしても嫌な場合にはレッドカーブースやウェスターフィールド製品を購入するしかないでしょう。　その他の後期型の特徴としては製造時からABブレーキを装備し、A-Jacksパワーハンドルを装備していたことがあげられます。
右の模型の妻板は1930年以前のフラットパネルを表現しています。　ブレーキハンドルはバーチカルスタフで、ブレーキリテイナーの配管が斜めに降りて連結器の右側に入っているのは、原型のKブレーキを装備している特長を示しています。　後年ABブレーキに換装された車輌は、左の後期型のようにリテイナーパイプが連結器左側に降りています。



ヲルサーズのX29キットにはすべて初期型の特徴であるCRECO (Cicago railroad equipment co.) 社製のドアが付属しています。（↓画像左）　これは後期型には合いませんのでヤングスタウンドアに交換しなければなりません。　以前はアキュレイル製6フットヤングスタウンドアを切り継いで高さを低くして使用していましたがデザインが合いませんでした。　最近はTop画像のウェスターフィールド製4-5-4ヤングスタウンドアがちょうど良いので使用していますが、若干幅が広めです。　むしろアサーンのドアを切り継いで高さを詰めると良いのかもしれません。

↓ドアを貼り付けるために周りのディティールを削り落とします


キットの上ドアレールはドアをスライドするために断面がアングル状に出っ張っています。　そのままだと出っ張りすぎで玩具臭さの原因となりますので、裏側を削り取って適当な厚みまで沈めます。　下ドアレールもドアの爪が引っ掛かる断面で太いため、下半分を切り取ってしまいます。　どのみちドアは固定してしまうので問題ありませんし、この方がすっきりとして見えます。

「ウレタンキャスティング」のドアはプラ用接着剤では効きが悪く、ちょっとした事で剥がれてしまいます。　今回はエタノールで充分に脱脂した上で、ゴム系ボンドで貼り付けましたら、けっこう上手くいって強固にくっ付いています。　同じゴム系でも透明のよりもダイソーの黄色っぽい物が協力に付くような気がします。

ルーフウォークもそのままだとちょっと浮いて波打っていて、これも玩具臭い感じがします。　妻板上の支えが高すぎたり、屋根に差し込む穴がボスと一致していなかったりするのが原因ですから、調整して密着するようにすれば見栄えが良くなります。　これもゴム系で接着しました。

↓ドアを取り付けて台車を履かせてみました


今回入手したキットは2個なので同時進行しています。　1輌はPRRですがもう1輌はUPでしたのであらかじめ文字部分だけ塗装を落としておきました。

Top画像にある台車を用意した理由は↑の模型に付属してきたスプラング台車のバネが柔らかすぎると思ったからでした。　ちょっとした事で沈むので、リジッドに交換したほうが良いと思います。

続きます