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Brugge Style
永住したい街
ブルージュに住む...
街並の美しさ、落ち着き、静けさ、自分の時間。
わたしにとって、ここに住むということは最初から窮屈なことだった。
単調で退屈で濁りのない街!
世界中、どんな理想郷に住もうとも良い面/悪い面はあるし、住んで都にするのは自分自身の心の置き場所一つだ。
が、プラス面/マイナス面リストを作成して、ブルージュと他の都市に居住することとを比較してみても、現在のわたしにとっては転居する方が幸せなのではないかという思いを強めていた昨今...
昨夜、ブラッセルで友人たちと楽しい夕べを過ごし、めずらしく電車を使って帰宅した。
ブラッセル・セントラル駅23時30分初の鈍行列車はその名も「西の終わり」Oostend行き。
ブルージュ駅からタクシーに乗って、ダイニングの電気をつけたのは午前1時。
夫は出張中、娘はお泊まり、飼い犬だけがうれしそうに出迎えてくれたので、着替える前に長時間一人きりだった彼女を散歩に連れて行くことにした。
幸い暖かい夜で、街灯が石畳に落とす真珠色の光の中を、うれしそうに出たり入ったりする犬を見ながらゆっくりマルクト広場まで歩を進めると、こんな夜中に散歩が許される都市がいったい他にいくつあるだろうか、という喜びがこみ上げてきて、
そこからは急いで閉店間際のワイン・バアに駆け込み、カウンターで一杯サンテミリオンのグランクリュを飲んだ。
そう言えばかれこれ10年以上前、つれづれに「将来住みたい街」の条件を紙に書いてみたことがある。
あれは退屈な授業中だったか、あるいは飛行機の中だったか...
住居から余裕の徒歩圏内に劇場、映画館、図書館、美術館、
そして3つ星レストランがあること。
街に歴史があり美しいこと。
街が水に近接していること。
車の便がいいこと。
森と海が近いこと。
他にも「山が見える」とか「おしゃれな百貨店がある」などと何かあったかもしれない。
ただの箇条書きマジックかもしれない。
が、「これってブルージュのことやん??」と膝を打ってしまった。
わたしは一生ブルージュに住むことはないと思う(断言)。
夫もわたしも完全な自由業のため、世界中どこに住むこともできるし。今までにもあちこちに転居を考えたし。
それでも未だブルージュに住んでいるのはなぜだろうか。
閉店するワイン・バアを追い出されつつも、ちょっとだけ、ブルージュに住んでいるということがかけがえのないこと、と思えた瞬間だった...
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