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乳と蜜の流れる国




湾岸戦争勃発前夜、ゴラン・ハイツのイスラエル人家庭にしばらく滞在していた。


農業とその加工品の会社を経営する裕福な家庭で、高校生を筆頭に3人の息子がおり、

開放的で洒落た屋敷には「自衛のため」のライフルが数本常備されていた。


ある日この家のマダムが、「いつ始まるか分からないからね。うちは男の子だし。」と言った。
息子たちはライフルを我先に取り出しに行き、誇らしげに見せてくれた。


何千年もの伝統を、自分がその伝統の鎖の一つとなり、過去から未来に伝えていくことは名誉なことなのだろう。
自分個人の命ではなく、民族全体の命という視点で見れば、「命あっての物種」など小さい、ということなのだろう。



子どもの命よりも大切なもの、子どもの命よりも守るべきものがあるなど、その時も、自分が母親になった今も、わたしには分かろうとしても全く分からない
(わたしが数百年前の日本に生まれていたら分かったかもしれない)。



毎日一日中だらだら食べていた、甘い杏のことを思い出す。






センチメンタルに書いてしまったが、結局は宗教や民族の争いなどではなく、それらを利用した政治の問題であると思う。



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