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bath




わたしの「死ぬまでにしたいこと」リストの中のひとつを2本線で消すことができた。
週末、憧れのバースに行ったからだ。







わたしの住まうサリー州からおよそ2時間、丘の上に白っぽい街が見えてくる。

渋滞ののろのろのおかげで左右の建物をゆっくり見学しながら街に入ると「大陸」に戻った気がした。

なるほど、18世紀に大陸旅行を経験した富裕層を誘致するために、大陸風の街づくりがされた結果なのだそうだ。



わたしがよく知っている「大陸」とは、ベルギーを中心にした一部なので、言い切ることはできないが、大陸の街と英国の街の設計は大きく異なる。

大陸の町村等の共同体は、中心に「広場」(仏語の Place 伊語 Piazza 蘭語 Plein 独語 Platz 等)を置いて形成される。
広場には教会と役所。広場は「マーケット」と呼ばれることが多いように、市場を開くためのスペースでもある。
ベルギーではどんな小さな村を訪れても、小さな広場を縁取るようにして教会と役所があり、そこにはカフェがあり、規模が大きくなるに従ってキオスクやレストランやバス停などが増えて来、人間の社会生活が宗教と行政と経済を中心に回っているのがよく分かるのである。

一方、浅知恵での発言なので間違っていたら訂正を頂きたいのだが、英国の街にはそういう広場がない。街や村は突然始まり、突然終わる。
強いて中心と言えばどんな小さな村にもかわいらしいパブがあること(同じ伝で考えると、このパブが人間の社会生活の中心なのである)と、共同体が成長した場合はハイ・ストリート(商店街)が出現すること。また、広い空間的なものとしては、街の始まりに「グリーン」(名前の通り、緑の芝の敷き詰められた広場で、お祭りをしたり、クリケットをしたりして使用されている模様)がある。



バースは大陸的な雰囲気の街だった。







英国転居が決定し、娘の学校を何より最初に決め(それは同時に距離的にロンドン市内には住めないということだった)た時、わたしが自分が住むであろうとイメージした地方都市はまさにバースのような街だった。
川に隣接し、瀟洒で美しい建物が統一感を持って並び、歴史的な宗教建築があり、博物館があり、美しいホテルと洒落た個人商店があり、それらと居住地が入れ子状(都市居住形態)になっている...

しかしこういう雰囲気の街は、ロンドン市内の夫のオフィスと娘の学校両方に通える位置にはどこにもなかった。

バースのようなスタイルの街は英国では少ないそうだ。


大陸人である夫はすでにバースに郷愁を感じて家を買うつもり(笑)でいる。
ロンドンから2時間という距離がなければ、わたしだって明日から住みたい。




バースの街の作りがあまりにも魅力的で、そればかり書いてしまった。憧れの理由だったローマ浴場、ここもかなり見応えがあった。健康ランドとしての浴場の機能だけでなく、「現世の淵」である宗教施設でもあったという点...英国は美術館博物館の企画展示には世界最高の技術とセンスを持っていると思う。
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