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カメオ




この夏から娘とわたしはシェル・カメオに夢中。


ヴェネツィアはリアルト橋上で、娘が突然カメオのペンダントが欲しいと言い出したのに端を発している。


思い出に「土産物、しょせんは玩具」というくくりで買うならば、それはそれでここで買ってもいい。

しかし、いいものをひとつと思うなら、観光客相手の買い物スポットで熱に浮かれて買うよりは、地元の人志向の店を数軒訪れ、いろいろなクオリティのものを見てアドバイスをもらい、ちょっとでも知識を得た上で買ったほうがいいのではないかと言った。


後からこんなことは言わないほうがよかった、と後悔した。

彼女の目がだんだん肥えてきて、結局その時はパドヴァでもトリエステでも気にいるものが見つからず、後で出かけたシチリアでもとうとう何も買わなかったのだ。
パレルモの炎天下を宝飾店を一軒一軒当たり、気にいるものが見つからない、あの18K表示は本当かと文句ばかり言う。

ああ、16歳の子供が、センチメンタルから小さなペンダントトップが欲しいと言っているのだから、リアルト橋で適当なのを買い与えておけばよかったのだ...


彼女といろいろ見て回っているうちに、わたしも俄然カメオを見るのが楽しくなり、当然欲しくなってきた。
昔、母のカメオを見て、古臭い、大きい割には地味で退屈などと思っていたのにですよ...

良いものはシロウトが見ても良いものだとわかる。構図がよく、彫りが細かく、彫り目が滑らかで立体的である。
色目も絶妙だ。
女性や女神や英雄の横顔、神話のワンシーン、天使、動物、テーマも物語性があっておもしろい。
また、アンティークやビンテージにもおもしろいものがたくさんある。

わたしはだんだん娘のペンダントトップよりも、自分のための長さが最低3センチはある指輪ばかり探すようになった。大きいカメオの指輪はなかなかないのである。
ブローチなら6センチは欲しいなあ。

例えばダイヤモンドなら頼める人がいるが、カメオを扱っている人は知らないし、宝石のようにカメオ専門店というのもないし...
最近は参加していないが、オークションに行こうか...

これはなかなか買えませんわ。

まあ、そういった迷う過程も楽しいわけですが。


なんとなく目をつけているのが英国のアンティークショップにひとつあるので(指輪でなくてブローチなので考え中)、もし手に入れたらお見せいたしましょう。
娘よりも先に買ったら怒られそうだけど。

冬の厚手のコートの襟元につけたい。
あるいはブラックドレスの開いた胸元に巨大なのをつける。

中年女ならではの装いが板につく年頃になってきたのがうれしい。


(リアルト橋は工事中でした)
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