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Brugge Style
amore by svetlana zakharova
現代バレエ界の正真正銘のスーパースター、「女神」スヴェトラーナ・ザハロワのAmoreを鑑賞した。
Francesca Da Rimini
Rain Before It Falls
Strokes Through The Tail
の3本立て。
公になった時にすぐチケットを入手し、ものすごく楽しみにしていた
のだが...
期待が大きすぎるのだろうか、それともどんな内容の振り付けや演出も彼女に追いつくことができないのだろうか、何かがすっぽりと抜け落ちた公演だった。
彼女がアーティストとして創造をしたいのは理解できるが、この内容ならクラシックを演じた方がずっと彼女の唯一無二性がにじみ出て独創的だと思った。
Francesca Da Riminiは、ダンテ「神曲」に題材をとったこと、チャイコフスキーの音楽、舞台装置(ロダンの「地獄門」)はとても良かった。
スヴェトラーナは受け身すぎて、綺麗な、綺麗な、綺麗なだけのお人形さんに見えた。
ルネサンス期の極端に美化された女性像なので、地獄に身を落とす不倫をしていても清らかなままであると解釈することもできるが、とても恋愛に身を焦がす女性には見えない。
相手役のボリショイのプリンシパル、Denis Rodkinも美しい男性ダンサーだ。しかし、フランチェスカのスヴェトラーナに対してより、パオロ役の自分の魅力の方に夢中なんじゃない? という感じがしてもの足りなかった。
つまり、地獄に落ちる覚悟の恋愛をしている2人には見えなかったのです...
素晴らしかったのは敵役ジョバンニのMikhail Lobukhinだ。彼は熱く強く醜いと同時に美しく、圧倒的で、まるで「白鳥の湖」のロットバルト...
そうだ、この演目、「フランチェスカ・ダ・リミニ」だと知らなかったら、きっと「白鳥の湖」にインスパイアされた作品だと思ったかもしれない。
Strokes Through The Tail「雨、降る前の」というタイトルも魅力的だ。わたしは一番良いと思った。でもなぜ3人なのか? スヴェトラーナとこの作品を振り付けたPatrick De Banaの2人だけでよかったのではないか?
この作品もスヴェトラーナが受け身なだけな気がして(パッシブ・アグレッシブさもなく)、何かが足りなかった。
彼女は2人の男から求められる受け身な女を演じるのが好きなのか?
それとも振り付け師がスヴェトラーナにはぜひそういうキャラクターを演じてほしいと願うのだろうか。
最後のStrokes Through The Tailは...
観客席から笑いが起こる作品なのだが、とにかくやりすぎ。コメディを面白く演じることに注力しぎてすべりまくり。スヴェトラーナも、5人の麗しい男性ダンサーも、とにかくもったいない。わたしは苦笑すらできなかった。
スヴェトラーナは、モダンは、もしかしたらソロで無生物と踊った方がいいのかもしれない。
彼女が椅子と踊るRevelationとか、最高じゃないですか。
(写真はtelegraph.co.ukから。CREDIT: ROBERTO RICCI)
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