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ツィムツムのはなし




花屋の香りを再現した名香は、Officine Universelle BulyのAlexandrieだと思う。
内容には関係ないですけど...


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わたしは80年代から90年代にかけて中東に遊学していた。

イスラエルで教えてもらったことや思い出はたくさんあるが、その中でも忘れられない話をここに書く。

「ツィムツム」という概念がある。
ツィムツムは、カバラ(ユダヤ教の神秘思想)のなかで、神の宇宙創造に関連して出てくる概念である。名前が可愛いでしょう?

ツィムツムはヘブライ語で「収縮」を意味している。

「宇宙を満たしている神(アインソフ・無限の光)が、自分自身を『収縮』させて、空間を創り出した」ことが宇宙創造のプロセスの初期段階だというのである。

カバラによると、神は無限である。
神が物質的な宇宙を創造するためには、無限の一部を「空け」て有限の場所を作らなければならない。
神は自己を収縮・制約し、空間をあけることで、宇宙を創り出したのだ。
ちなみに神の光からより遠く、振動が低い世界がこの物質界である。


なぜこんな話をするかというと、パレスティナとイスラエルの問題である。

ユダヤの神は、自分以外のものを存在させるために自分の場所を譲った、のだ。

人間は、神に場所を空けてもらったおかげで存在できるようになった。

存在するとは、他人に場所を空けてもらうことである。

人間も、「自分にはそうする権利がある」と他者の権利を奪い、迫害し、罰し、殺すのではなく、他者のために場所を空けろ、譲れ、祝福せよと言っているのではないだろうか。

われわれ人間は悪気もなく、知らず知らずのうちに他人の取り分や権利を奪っている。

私はそんなことはしていない、土地なんか奪ったりしていない、と思う人がいるかもしれないが、チョコレート一枚、手軽で便利な衣類、アボカド、iPhoneひとつ、われわれは他人の、より弱い立場の人の犠牲なしには手にできないのだ。
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