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パンとサーカス



写真はソーシャルディスタンスのヒースロー、ターミナル5。


昨日のニュースで、ここから遠くないウィンブルドンのテニス大会会場の様子を見て驚いた。

会場、過密状態。
マスクなし。
決勝は満席で行われるそうだ。

まもなく準々決勝の始まる、サッカー・ユーロ2020の準決勝と決勝はロンドン郊外ウェンブリー・スタジアムで行われ、観客は75パーセントを入れる予定だそうである。その数は6万人にもなる。


6月末までに英国は、国民約6700万人のうち、約3300万人が二回、4500万人が一回目の接種を終えた。
データでは、一日の感染者数が一時期1000人ほどに落ちたのが、今では今年の1月の悪かった時期と同じくらいの数字(一日2万人)に戻ってきている。
一方、入院者数・死者数ともに激変し、ワクチンの効果を実感できる。

が、このすさまじい感染者数増加は、他の欧州リーダーを困惑させるに足りるだけあり、この状況で75%も観客を入れるなんぞ正気ではないと批判を受けている。

わたしもそう思う。

感染者数を抑えられないために、隣の大陸ヨーロッパにすら入国拒否されている状態なのに。


英国政府は、対新型コロナ全ルール解除の日フリーダムデイ7月19日(すでに一ヶ月延期されている)を目指して、大規模イベントの再開に対応すべく、集会でいかにウイルスが伝播するかの調査を行っている。

観客は新型コロナウイルス検査の陰性証明、あるいは2週間前までにワクチンの接種を2回受けたという証明の提示が必要なものの、スコットランドでは、6月中旬以降に行われた3試合後、集会した市民ら2千人が感染した。

試合があるたびに人が集まるのはスコットランドだけではない。
イングランドでも、18日の試合の後は400人の感染が確認されているのだ。

このままウェンブリーに6万人の観客が準決勝と決勝の日に集会したらどうなります??
しかも人々はスタジアムに集まるだけでなく、ローカルなパブや広場でも密集する。


政府がやっていることは明白で、いわゆるウイルスとの「共存」に舵を戻したのだろう。
また、ジョンソン首相のポピュリストぶり健在というところ(ポピュリストとは、今だけここだけ自分だけよければ他はどうでもいいという態度であり、彼の、政治信念は特になく、やる気だけはいっぱい、常に場当たり的なのはまさに、ポピュリストである)。

彼は英国が世界に先駆けてワクチンを青田買し、認可し、接種を始めたことや、接種完了者が多いことなどを強調。
世界でも無駄に感染者や死者を多く出したことや、フリーダムデイもすでに1ヶ月延長になっていることや、ブレグジットの不都合(主に嘘)を忘れてもらおうと、スポーツイベントに観客を入れることで「成功」パフォーマンスに励んでいるのである。

都合のいいことに、先日はサッカーイングランドがドイツを1966年以来初めて負かした...

人はサッカーやテニスの試合が見られたら機嫌がよくなる。政府への不満や批判さえも忘れる。自国のチームや選手が勝ったらなおさらだ。

これぞパンとサーカス

今のところ、人気取りには成功していそうなのが腹が立つ。

同じく人が密集するショービジネス界隈からは不公平だと不満が爆発している。
「私たちの業界を不公平に締めつける、その根拠とされているデータを確認しなければならない」
「政府の対応は、注目度が高い(そして巨額のカネと利権がらみの)スポーツイベントだけをえり好みして開催許可を出し、劇場や音楽事業者には自殺を強要している」と。


そういえば東京オリンピック組織委員会は、この英国の調査と対応を真似するつもりらしいですよ...
絶対にやめた方がいいですね。
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