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Brugge Style
3時のおやつは文明堂
神戸の友達が送ってくれた文明堂の抹茶カステラ、食べたい、でも食べたらなくなる...
という葛藤を乗り越えて、とうとう3時のおやつ(ベルギーでは4時のおやつ)にいただいた。
夫はわたしが驚くほど、好き嫌いはひとつもなく、未知のものも異国のものもなんでも食べる人で、もちろんカステラなんか大大大好物だ。階下で箱を開けようものなら、飛んでくる。
わたしは彼がなんでもおいしいおいしいと食べるところが好きなのだが、問題がある。
彼はわたしほどは「カステラ」という菓子文化の重みは理解していない。
ましてや抹茶の微妙な香なぞわたしほどには分かっていないだろう...わたしと知り合う前は、出張で東京と札幌に行ったことがあるだけ、ブルージュの和食店に何回か行ったことがあるだけ、という日本文化理解だったのだ。
本人は「分かります」と豪語するが(笑)。
と思うと、彼にはどうしてもやるのが惜しくなる(笑)。
独り占めにして、こっそり食べたい(笑)。
しかしそこはオルテガが
「手続き、規範、礼節、非直接的方法、正義、理性!これらはなんのために発明され、なんのためにこれほどめんどうなものが創造されたのだろうか。それらは結局、《文明》というただ一語につきるのであり、《文明》は《キビス》つまり市民という概念のなかに、もともとの意味を明らかにしている。これらすべてによって、都市、共同体、共同生活を可能にしようとするのである。」
「文明はなによりも共同生活への意志である。他人を考慮に入れなければ入れないほど、非文明的で野蛮である。」
つまり、考え方も、習慣も、言語も、宗教も、価値観が全然違う「他人」と共存できる人、「敵と共に生きる!」ことのできる人だけが文明人なのである。
(寺田和夫訳 『大衆の反逆』中央公論新書89ページから91ページ)
文明堂、いい名前だ。
ロックダウンで気持ちがくさくさする今日この頃、いかに鷹揚で余裕でいるかがわたしの課題なのである。
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