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Brugge Style
louisa miller
イングリッシュ・ナショナル・オペラ、ヴェルディの『ルイザ・ミラー』を。
実はわたし、こちらの作品を鑑賞するのは初めてで(ロンドンで上演されるのも17年ぶりだとか)、話の筋には『ジゼル』と『ロメオとジュリエット』と『リゴレット』を足した感じ? という印象を持った...
あるまじき雑さ...
つまり物語の筋としては、身分違いの恋と嫉妬、親と子のしがらみで、みなが不幸になる「よくあるメロドラマ」ではある。
が、そこはヴェルディ、甘く切なくどこまでも美しい旋律、これぞオペラ。
それにふさわしい悲劇の若きカップルの声がすごかった。
どこでこんなタレント見出してきたの...ルドルフォ役はテナーのDavid Junghoon Kim(ロイヤル・オペラの新人発掘プログラムRoyal Opera Jette Parker Young Artistの出身)、演技力はこれからついてくるのかなと思ったが、まるで樽のような内部を持つ楽器を思わせる声の持ち主。
ルイザ役のソプラノElizabeth Llewellynの美声、コロラトゥーラには特にゾクゾクさせられた。あんな声、どこから出すのか。
なんだか頭の悪い感想で失礼します。
舞台は現代(Regietheater、つまりオリジナルそのままではなく監督の「私家版」といった意味)の、とても抽象的な村で、すべて白と黒のスタイリッシュでシンプルな作り。
しかもルイザとルドルフォの「ピュアな精神」が、彼らが子供だった頃の姿になって舞台に現れ、狂言回し風の役割を演じる。
同時に舞台に設置された真っ白な壁が墨色でどんどん汚されていくのは、彼らの猜疑心の高まりと、周囲の悪巧みに汚される関係を表しているのだろうか。
また、ルドルフォの父親伯爵の悪行が抽象的な方法で表現されているだけだとわたしは思ったシーンも、観客がそれぞれ深い意味をそこに見出そうとしていて、他人の解釈や感想を聞くのはおもしろいと思った。
王道の演出を一度も見たことがないので、これは一回見てみたい。
疾患しないために、美しいものを聞き、美しいものを見て、おいしいものを食べ、面白い話にゲラゲラ笑い、よく寝る生活に邁進中。
(カーテンコールの写真撮影は奨励されています)
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