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バースデイ・ケーキ




今月上旬、ロンドンで迎えた誕生日前夜、ホテルのレストランで祝ってもらい、食事を終えて部屋に帰ろうとしたところであった。


ウィエイトレス嬢が、ろうそくの火がゆれるケーキを捧げてしずしずと向かって来たのである。

わたしは別段驚かなかった。
ホテルのサーヴィスの一環か、夫が頼んでいたのであろう、と思ったからだ。


ところが支配人嬢が言うことには「お嬢ちゃんが午前中にわたしどもの同僚に電話したのですよ。」

いかにも娘の仕業だったのである。


その日、夫が短時間出かけ、わたしがシャワーを浴びている間に、レストランへ内線電話をして

「ごきげんよう。わたしは○○○・○○○です。今日はママの誕生日で、晩ご飯はレストランで食べるのですけれど、サプライズにケーキを用意して頂けますでしょうか。3人ですからあまり大きなケーキでなくて結構です。」

と手配をしたそうである。
恥ずかしさと度胸が入り交じり、電話をすべきかすべきでないか、それともホテルのスタッフに直接話すべきか、長いこともじもじ考えていたらしい。


彼女はものすごくシャイで用心深く、初対面の大人と話すのがとても苦手な性格だ。相当の度胸がいったはずだ。
だからわたしの喜びもひとしおだった。

夫は...もちろん彼はカンドウしいなのでわたしよりも感動していた。そしてわたしはこの話を語るのは今日が初めてだが、彼は学校の先生にも美容師さんにも、会う人みんなに語って聞かせたそうだ。


チョコレートクリームとベリーのケーキだった。
一人前には大きすぎるピースをわたしも夫も完食した。



レストランには階段の陰に小型のピアノがあり、娘に「これで一曲弾いてくれたら最高のお誕生日なんですけどねえ」とニヤニヤしながら、からかうように言ったら、「他のお客さんに迷惑ですよ」と諭された。
ドビュッシーのアラベスク、弾いて欲しかった。
完全に舞い上がっていたわたしは、「どうです、うちの娘は!」と大きな顔がしたかったんです(笑)。

どんな小さな意味合いであっても、「親に大きな顔をさせてやれる」というのが子どもができる一番の親孝行なのだろう。たぶん。


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暖炉のある寝室




わたしの寝室は家の正面を通る道路側に面している。

道路といっても一方通行の脇道なので、普段は交通量は多くない。

しかし、この道路で初秋からずっと工事が続いているのだ。

朝6時に響き渡り始めるトラックのエンジン音や、デリバリー車両が出す落下音などのせいで、「あと15分!」の時に安息できない。
わたしにとってはこれが結構イライラの種になる。


それで南の庭側に面していて、鳥の鳴き声とカリヨンの音以外は何も聞こえないリビングルームを仮の寝室にすることにした。
簡易のベッドフレームを使用するので、お客のある時は撤去も簡単だ。


何がいいって、それは暖炉を入れて眠りにつけることだ。
薪のはぜる音も眠気を誘う。
また、大きな窓が3枚あり、カーテンをつけていないために外の木々の影が見えるのがいい。週末は、外が明るくなるまでごろごろしていられた。


クリスマスツリーを出したらツリーを見ながら眠れるのか...



そう考えると布団のシステムってすばらしいですね。
寝室、リビング、どこにでも敷け、さっと片付けられる。

わたしの場合、布団生活をしたことがないので、敷きっぱなしになりそうですけどね...


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de gournay




今の家に引っ越して来た7年ほど前に、縁あって英国の De Gournay に世話になった。
絹に手描きの壁紙専門店である。
主にアジアの柄を扱う。

わたしが好きな「西洋から見た洗練された東洋」。
帝国主義的/人種主義的オリエンタリズムをオリエント人が好むとはこれいかに。
うん、欲望とはそういうものなのである。



先日、宿泊したホテルがケンジントンで近所だったので、散歩がてら店を覗きに行った。

確定はしていないが、来年、家を移る可能性があるのだ。
それで、わたしのプライベートスペース(boudoirと書きたいけどやめておこう)に貼ってあるシルバー系シノワズリーの壁紙と同じものを再注文したいと思っている。
引っ越しに際して壁紙は持って行けないし、第一、湿気で布がボコボコに浮いて来ているのだ...boudoirどころか、ですよ。


娘はジャングル柄に心を完全に奪われてしまい、いずれ彼女の部屋にも、カラフル(渋いけど)な鳥が中心のパノラミックな壁紙を貼ってやると約束させられた。
娘は自分の部屋を鳥をテーマにした部屋に模様替えしようとしているのだ。
これはすてきな部屋になるわあ。
と、見るもの見るもの幻惑される。


この黒地に金色の竹も憧れ。
これを貼るならダイニングに入れたい。そうしたら、ミストレスと呼ばれたい(笑)。


右上のシノワズリー系にはたくさん種類があり、例えば赤背景では花と蝶のデザインでも全くガーリーにならず、強くてモダンで格好いい。
赤いソファにあわせて赤も取り入れるか...とか。


まだ家すら決まっていないのに、インテリアのことばかり考えている。
人間には家のことを主に考える人と、インテリアを主に考える人と二通りあるような気がする。



(右上の写真は拝借いたしました。わたしのはこれの銀バージョンです)

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クリスマスの街の美観は








クリスマスマーケット、ならびにスケートリンク設営中。

今年も去年と、そしてその前の年と同じように。


このブルージュのクリスマスマーケットを眺めていると、ワクワク感よりも「毎年クリスマスマーケットの設営が早なってない?」「ちょっとでも早く設営して、より薄利を多売しようってこと?」と荒んだ気持ちになってくる。

これは一大事ですよ。クリスマスマーケットが人々に荒んだ気持ちを与えるとは。

わたしを荒んだ気持ちにさせるのは、第一にブルージュのクリスマスマーケットに夢が完全に欠けているからだ。
夢のない百貨店、夢のない遊園地、夢のないキャバクラ。そういうものがあり得ないのと同じように夢のないクリスマス・マーケットはあってはならないはずだ。


まず、毎年思うことだが、もう少し美しく企画できないものだろうか。

ブルージュは、建築の高さやファサードの基準や道路の敷石の種類など、街の美観を厳しく取り締まっているわりに、移動遊戯場/クリスマスマーケットはこんなユルさである。
この隅々まで漂うこの場末感は何?ゴミひとつ落ちていないのにまるでゴミだらけのように見えるのは何故??背景の歴史的建造物までもが書き割りに見えるではないか。
この寂れ方はロンドンの水族館横のゲーセンの寂れ方に似ている...


しかし結局人々はこのクリスマスマーケットにぞろぞろ集うわけだ。たぶん美しいか荒んでいるかは関係なく、12月の気分に誘われて。
だからスケートリンクの氷が温暖化で溶け出していても、屋台のゴミのようなホットドッグが5ユーロしても当局はおかまいなしだ。
12月に入った週末のスケートリンクの混雑、夕暮れ時買い食いをする人、12月の楽しみ方を他に知らない子羊たちよ(ってわたしも知らないけど)。



もしブルージュが今後も観光立国(立市)としてやっていくつもりなら、考え直す機会ではないか。
ドイツの有名なクリスマスマーケットの真似(しかも劣化版)をするだけでは客は呼べないと思う。ロンドンのゲーセン型もだめ。どの街もまだやっていないような「クリスマス・マーケット」をするべきだね。



手始めに、こういう時にこそ、先日マルクト広場に月桂樹広場をデザインしたダニエル・オストなど、アーティスト諸氏にプロデュースを任せてはいかがか(<ああいうアートは夜中に立つ歩哨の手配が大変なんだそうだ)。
あるいは名誉挽回を狙うカトリック教会が音頭をとるのはいかがか。普段、トラピストビールを醸造しているカトリック僧など、大活躍できそうなんだが...


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ポーセリンの羽根








わたしが好きなモチーフ

羽根
タッセル
貝殻


デザインによって蝶、ヴィクトリア期のイラスト、影絵。



米国、roostというメーカーのポーセリン製の羽根!
わが家の白クリスマスツリーに、今年は黒い蝶を飾りたく、それを探しているうちに発見したのだ。

黒い蝶のかわりに、この羽根を黒く塗ってツリーに飾ろうか、とも思っている(なら追加注文しなくては!!)。



そうよ、もうそういう時期。
偉い先生が走り出す前に助走中。


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