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Brugge Style
八重咲き
西側の庭で咲いているスモモ属であろう、桜に似た樹に、花よりもえんじ色の葉っぱの方が増えてきたら、前庭のこの八重咲きの花が満開になる。
イングランドも春だ。
特に明日は12月から続いているロックダウンが一部解除され、百貨店や美容室などの不要不急の商店や、屋外テラス席の飲食店の経営が始まる。
わたしが最後にスーパーマーケット以外の商店に行ったのは、去年のクリスマス前のロンドンでだった。レストランも、美術館も、オペラハウスもこの時が最後。
レストランの屋内営業と美術館は来月5月17日から、オペラハウスは6月21日から営業が再開される。
まだまだ先は長いが、明日からは百貨店に化粧品の実際の色を見に行ったり、インテリアショップに家具の佇まいを見に行ったりできるようになる!!
明日は早速ロンドンの個人営業の家具屋さんに、買い取ったものを引き取りに行くつもり。
この花、鳩に人気で、枝垂れた枝に休んではモビールのように揺らしている...
そのせいで枝がたわみ、一部折れてしまったので家の中にいけた。
こんな色で、こんな質感の、オーガンジーを八重咲きのように重ねたドレスを着て、早くどこか遠くへ出かけたい。
カラヴァッジョかフォロワーか
1500ユーロ(約20万円)だったら即決、お小遣いからでも買ったのに...
こんな絵が自分の家の中にかけてあり、一日中眺められるとしたら、わたしのような凡人でも開悟できそうである。
画面には天使も鳩も飛んでいなければ、神を象徴する天からの強烈な光もない。しかし描かれている人間の身体の中で、精神的な変遷が今まさに起きていることが感じられる。
昨夜のガーディアンによると、その日マドリッドのオークションに、17世紀スペインのカラヴァッジアンの画家ホセ・デ・リベーラ(José de Ribera)のサークルに属すると思われる長辺一メートルほどの絵画が出品されようとしていた。
予想落札価格1500ユーロ。
しかし待ったがかかった。
調査により、16世紀バロックの巨星、カラヴァッジョの作品では、という可能性が浮上、スペイン政府は輸出禁止令を出す。
もしカラヴァッジョなら、価値は、プラドなどの美術館に売却する場合で5千万ユーロ(約65億円)、個人に売却する場合で1から1.5億ユーロ(130億円から200億円)ですよ...!!
でももっと行くんじゃないかなあ。
ちなみに2017年、ニューヨークのクリスティーズのオークションで売却されたレオナルドのSalvator Mundi『世界の救世主』 約4.5億ドル(当時のレートで約508億円)で落札され、2015年に落札されたパブロ・ピカソの『アルジェの女たち バージョン0』の約1.8億ドル(当時のレートで約200億円)を抜いた。
すごい世界である。
夫とわたしはこの一年間(ロックダウン中)、美術史のコースを2、3とっていて、来月からは鑑定のさわりのコースに参加する予定。
今、そのコースに必要な美術鑑定用のルーペを物色している。
いつか世紀の掘り出し物を、通りがかった田舎のなんでもないブロカント(骨董市)で自分が見つけるという壮大な夢を見つつ、まずはルーペから!
神の子羊
生贄になった神の子羊(<イエスキリストのこと)の穢れのない血によって人間の罪はゆるされる。
と、聖書は言う。
このことから復活祭(今年は4月4日だった)には「生贄」お下がりの子羊を食べることが多い。
新しい生命の蘇り(つまり春)は、死(つまり冬)の後にやってくるのである。
神に捧げられる生贄とは、「死」を人為的に作ることによって、生命の復活を確実なものにする儀式だ。
わが家では、今年、その代わりに神秘の子羊のケーキを焼いた。
ケーキの中には「血」としてのフランボワーズジャムを仕込む。
去年からずっとかわいい子羊型のケーキ型を探しているものの、わたし好みのリアルなものがない。
気長に探して、いつか田舎のブロカントなんかでアンティークのが見つかるといいなあ。
ネットで購入したこの型は、凹凸が少なく(凹凸が大きいと型からはずすのが難儀)、子羊と言われなければいったい何なのかわかりにくい...十字架を添えることにより、「神の子羊』を演出。
ほんとうは子羊に十字架を持たせたかったのだが、串で作った十字架を胸に刺して「持たせる」よりもいいかと思い、宝石のついた十字架をリボンで結んだ。
光輪(天使の輪)のバージョンもある。ホーリー。
復活祭の卵がテーマの食卓。
イングランド 春の復活
Musée des beaux-arts de Tours トゥール美術館
去年の夏、南仏への旅途中でこの絵を見るために立ち寄ったトゥールで。
キリストの復活とは、すなわち冬が「死んだ」後の春の「復活」のことである。
みなさま、もうモエが繰り返すのを聞き飽きてしまわれたかもしれない。
イングランドは現在も、クリスマス前から続いている三回目のロックダウンが徐々に解除されている最中である。
6月21日に屋内のレストランや、劇場、大規模のコンサートなどの営業再開をゴールと定め、逆算的に3月から徐々に解除が始まった。
来週4月12日は、いよいよ4月のマイルストーンである、不要不急の商店、ジム、美容室の営業、飲み屋やレストランなどの屋外営業が許可される運びとなった。
月毎のマイルストーンに達するための評価基準には4つのチェックポイントがあり(ワクチン接種の進み方や感染者数など)、それがクリアできれば「解除」となるのだ。
英国の人口は6600万人ほどで、昨日の数字では3200万人近い人がワクチン摂取を受け(大人の6割以上)、感染者数はピーク時よりも6割減り、入院数は8割減り、週間平均の毎日の死者も47人(1300人から)に減っている。
つまり、4月12日のマイルストーン、達成。予定通り一部のロックダウンが解除される。
去年は、経済とがっちり手を繋いだ首相のボリス・ジョンソンが、「ロックダウンに入るタイミングは常に遅すぎ、解除をするタイミングは常に早すぎる」と批判されたのだったが、何度かのひどい失敗を経て、新型コロナパンデミックを克服するためには、経済が死ぬのではという心配よりも、とにかくまず感染者数を減らさなければ永遠に経済も厚生もグダグダの中途半端の終わらない泥沼と化す、と学んだのだろう。最近は科学に基づいた判断を下すようになった(と少なくとも毎回会見を欠かさず見ている方には見える)。
次の5月のマイルストーンは、美術館やギャラリーなどの営業、そして人々が待ちに待った海外旅行が許可されるかもしれないというので、昨日のニュースにも明るさがあった。
来週からはイングランドでは、誰でも週2回無料で新型コロナウイルス検査(LFTS検査で精度は低い)ができるようになる。
薬局、テストサイト、オーダーして自宅でも受けられるのは有難い。今まで検査は症状のある人以外には有料で、しかも比較的高価だった。
この検査で感染者を炙り出し、隔離し、ワクチンのさらなる接種とともに、5月17日によい結果で解除をする狙い。
というのは、来週4月12日には、飲み屋の屋外席、一般商店などが営業を始めるため、しかも気候はどんどんよくなっているので、繁華街だけでなく、ビーチや公園にも人々は押し寄せるであろう...
また、ワクチン摂取を済ませたのは大人の6割で、4割の18歳以上の大人は重症化しにくいとはいえ、感染者はまた増えそう...
ワクチン・パスポートに関しては、4月中旬からテストパイロット版が出る予定!
英国では、パスポートという名称を使わず、’Covid Status Sartification’の類になるとか。
こちらには免疫、ワクチン摂取の有無、検査の結果が記載される。
また、5月17日に海外旅行が許可されれば、旅先は青、黄、赤の信号システムに分類される。
例えば青信号の国は、ワクチン接種が進んでいるアメリカやイスラエルなどがこのカテゴリーに入る予定だそうで、青信号の国から英国に帰国する場合は検査後、隔離は必要でなくなる。
黄色信号の国から帰国した場合は、検査と10日間の自宅での隔離が必要になるが、5日目の検査で陰性なら隔離は終了。
赤信号の国からは、英国籍か在住者のみ帰国が可能で、一定期間、自己負担で政府の管理する宿泊施設で隔離される。
などなど。
今度こそは、と期待している。
チジック・ハウスでピクニック
イングランドのクリスマス前から続いている三回目のロックダウンは、6月中旬まで段階的に解除されていく。
先週の月曜日、3月29日からはついに家の中で隔離生活を続けなくてもよくなった。
それで昨日の復活祭は、美しいパッラーディオ様式の建物があるチジック・ハウス ChiswickHouseへお弁当を持って行ってきた。
卵サラダのサンドイッチ、スコーン、オレンジ、ブルーベリー、ナッツ、チョコレート、紅茶とコーヒーのお弁当。
わたしが公共の場所に出かけるのは、週一のスーパーマーケットでの買い物を除き、12月にロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスに出かけて以来!!
この公園の目玉は、上の写真の最初は17世紀に建てられた、今はパッラーディオ様式の邸宅だ。
わたしがパッラーディオに目がないのは、前から拙ブログを読んでくださっている方には「また?」という感じだろう。
男爵ジョン・ハービーは、建築当時のこの建物を評して、 "Too small to live in, and too big to hang to a watch" と言ったそう。
ピクニックをしていると、散歩中の犬が次々と匂いに誘われてやってくる。
全速力で芝生を走り回る犬や、遠くで歓声をあげる子供の動きを目で追っているだけで楽しい。復活祭のうさぎがエッグハンティングのゲームを催しているようだ。
ナッツをねだりにくる利口なカラス、子連れの鴨や、水辺に水を飲みに来る犬を威嚇する白鳥。ジョギングをする人。
ここに話の上手なドジソン氏がいたらなあ!
今度はトランプやボードゲームを持っていこうと思う。
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