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ストーンヘンジで時間旅行




イングランドで最も有名なモニュメントの一つはストーンヘンジかもしれない。

ウィキペディアには「世界で最も有名な先史時代の遺跡」と書いてある。

紀元前3000年から2000年くらいの間に建設されたと考えられ、その間、何度も手が入り、誰が、どんな目的で建築したのかは今でもはっきりしないが、オープンな平原の小高い丘に忽然と現れる、円陣状の直立巨石。


この辺りは白いチョーク質の土地で、森がなく、空と大地に大きくひらけており、その点がこのモニュメントを建設する土地に選ばれたひとつだろうと言われている。

ドルイド教の儀式に使われたとか(ケルトよりも時代がかなり古い)、アーサー王の伝説にも登場する魔術師マーリンが魔法で建設したとか、UFOの基地だとか、世界から巡礼者を集めた巡礼地だったとか、そういったカラフルな解釈がされるのも、なるほど、気持ちは分かる...




天文学的知識に基づいて精緻に建設されており(上の写真。夏至と冬至の日に太陽が登る方向)、わたしは個人的には、人類にとって最重要だった「死と再生」を司る機能を持っていたのではないかと思う。

自然が死んだようになる冬の被害を最小限にし、確実に春が巡ってくるよう願い、春には太陽の復活を祝う。
再生のためには、嫌でも一度死ななければならないというのは古代の人々の経験知だったであろうと想像する。

そういった場所が、1000年くらいの時間をかけて、墓地にされたり、集会場所にされたり、巡礼地にされたりと多用されたのではないか、と。UFOも飛んできたかもしれない(笑)。

下の写真はストーンヘンジが建設されたよりも後の時代の古墳。ストーンヘンジが見える位置に無数に残っている。時代が下っても、ストーンヘンジが死者と関連づけられていたことが分かる。




ストーンヘンジ・墓地セオリーに関してはおもしろいな、と思った。英国人の考古学者が、マダガスカル人考古学者から「石造は死人の永遠の住処、木造は生者の住処」と言うヒントをもらったそう。現に近くにはダーリントン・ウォールという木造家屋集落が発見されている。


わが家からは車で1時間半ほどの、イングランドのウィルトシャーにあるユネスコの世界遺産「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」。
周囲には、ストーンヘンジとその前後の時代の遺跡が点々としており、一日ではとても全部は回れないが、サリー丘陵のハイキングで鍛えた(笑)健脚で、ハイキングコースなどを5時間かけて歩き回った。

特に、ストーンヘンジへの3キロの参道(今はすっかり牧草地になっていて、空から出ないと見極められない)を歩いたのにはジーンとした。

昨夜は疲れすぎて眠れませんでした(笑)。


下の写真は、森の半分が雲に覆われて暗く日陰になっている。とても気に入っている。




平日だからか、新型コロナウイルス禍で外国からの観光客がいないからかガラガラで、特にハイキングコースは、先史時代遺跡が横たわる平原にキンポウゲが風に揺られ、わたしたちと牛の群れと体の大きい黒い鳥しかいない。

タイムスリップというのはこういう雰囲気のときに起こるにちがいない...などと思われるほど。


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5月17日のロードマップ




昨日、帰り道に立ち寄ったスーパーマーケットWaitroseの新聞売り場。
高級紙もタブロイドも、ヘッドラインは「今までの努力を水の泡にしないようにしよう!」。賛成。



もえがこう書き始めるのには、みなさま飽き飽きされてしまったかもしれないが、イングランドは12月から継続する三回目のロックダウンを段階的に解除している途中である。

6月21日をもってすべてのロックダウン規制を全解除するロードマップになっており、昨日5月17日からは、一部海外旅行、飲食店の屋内営業、美術館や劇場の人数制限つき再開などが予定通り許可された。

ワクチンの接種も進み(一昨日の数字で18歳以上の約70%が一回目、約40パーセントが二回目を接種)、つい数週間前までは好調に見えたこの計画だったが、このところ、行く手を遮る不確定要素が浮上している。

英国でも広がりを見せているインド変異株だ。


ジョンソン政権は選挙を見据え、どうしてもロードマップ通りに規制解除して、成功を印象づけたいにちがいない。
人々が待ちに待った飲食店の屋内営業などを再開させなかったら、それがたとえ懸命な判断であっても、大きなマイナスとして国民に記憶されるだろう。


そこで出された案が、弱者(一定年齢以上、医療関係者、既往症のある人など)を対象に、二回目のワクチン接種を4週間前倒しにすることだ。
従来の接種の間の期間が12週間だったのを8週に短縮し、社会的弱者の免疫を強化するという方法と、インド変異株が流行っている地域で18歳以上に接種範囲を広げる方法だ。ちなみに現在、一般の36歳以上は一回目を接種できる。

わたしは年齢的に弱者のグループに入る。

この変更は週末金曜日に発表され、その夜、電話で問い合わせてみたら待機の指示があり(届いたばかりの政府からの文書を読み上げてくれた)、土曜日にワクチン予約サイトを見たら早速工事中、日曜日にはSMSでメッセージが届き、ネット上で予約の変更ができる仕組みに改修されていた。
早速予約を変更。

わたしの二回目の接種も当初の予定日よりも2週間ちょっと早まり、昨日午後、接種完了してきた。
発表があった金曜日から、土日を挟んで月曜日に接種できたのには驚いた。どなたかは知らないが有能。

そして早速、わたし個人のNHS(国民保険サービス)のアプリ上には、接種状況並びにQRコードが表示されるようになった。ダウンロードして印刷もできる。


実は一回目接種の後、38度の熱が24時間ほど出たが、今回は接種カ所の筋肉痛以外、副反応は感じられない。前の症状から考えると今から熱が出るとも思えない体調だ。

2歳年下の夫は一回目後も二回目後もピンピンしていて、一回目後はペンキ塗りをしたほどだ。二回目後の今はパンを焼いている。
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芍薬の顔




庭の芍薬よりも一足早く、芍薬の切り花が店頭に並び始めた。

先日、芍薬が恐ろしいほど美しく咲いていると書いたが、芍薬の花の「顔っぽさ」といったらないと思う。
この顔コーナーに飾ってぴったりだ。

花の「かんばせ」とはまさにこのことである。


こちらには長年かけてなんとなく一枚一枚集まってきたFornasettiのTema e Variazioneを9枚かけていた。
が、リナ・カヴァリエッリの顔、増殖し続けてあまりに顔圧が大きくなってきたので、5枚は最近模様替えをした時に移動させて分散。

空いたところには、アフリカの祭祀のお面とか、日本の雅楽のお面などを飾ってミックスにしたい...
それらの収集はこれからで、ロンドンの店先ではなく、実際、旅先で買うのが夢! だからこれから何年もかけてこの顔コーナーを完成させるつもりだ。
そのうちまた他の趣向に気が移るかもしれないけれど...


フォルナセッティ、今年、もしも夏のメインの旅行に行けない場合は、清水の舞台から飛び降りるつもりで、だまし絵キャビネットを買おうと思っている。

このキャビネットを毎日眺めることがわたしの夢リストの上位にあるので(他にはムデハル様式の家に住むことなどがリストに入っている)、一つがかなってしまうかもしれない。

が、もちろん旅行の方が実現させたい...だってお面が買えるかもしれない!


顔っぽいといえばこの方も。
安い、華やか、長持ちの三拍子で常にうちにあるカサブランカ様。
実際、大袈裟じゃなく、娘の小さい顔と同じくらいの大きさ。

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let's do london




12月から継続中のイングランドのロックダウン、段階的に解除中。

4月には飲食店の屋外サービス、不要不急の商店、美容室などが営業を初めた。
そこで昨日はロンドンへ...12月にロイヤル・オペラ・ハウスにバレエを見に行ったのが最後だったので、5ヶ月ぶりだった。

何より、家庭料理でない食事ができたことが、わたしにとっては新鮮!!

屋外席を確保して営業している店は少ない上、限られたテラス席はすぐに予約で埋まってしまうので、第一希望は取れなかったが、ベルグレイヴィアのPantechniconのルーフトップのスカンジナビア料理のレストランへ。




この建物全体が、スカンジナビア・日本コンセプト。

おしゃれな和食店は営業停止中だが、日本の雑貨のあるセレクトショップや、カフェ・キツネは開いていて、日本の雑貨を見ながら強烈にホームシックになる。




ロンドンの人出はコロナ前に比較するべきもないが、想像したより人は多く、観光客にしか見えない方々もちらほら...


先日ロンドンは7ミリオン・ポンド(10億円)をかけて、ロンドンを取り戻す事業に打って出る計画、Let's Do London を明らかにした。

わたし自身も、三度の食事より好きな、美術館、バレエ、クラシックのコンサートなどに以前のように出かけて Let's Do London! ...の気持ちは満々だ。

厳しいロックダウンを経て、ワクチンも1回目接種をした人がほとんど55パーセント、2回目を受けて完了した人がほとんど30パーセントに近く、6月下旬には全ての規制を解除する予定もあり、この夏はいい夏になるかもという期待で胸は膨らむ。

しかし、ここに来てインド変異株の広がりが...(あれほどインドからの入国者を止めるように国民は言ったのに)

今日のロンドンの灰色の分厚い雲のように、悪い予感も広がるのだった。

四回目のロックダウンはもう精神的に無理。
イングランドのロックダウンは生半可でなく、出社しないのは当然、スーパーしか開いていない、エクササイズもローカル、同世帯以外の人とは合えないと超タイトなのです...


・・・・・・


英国では、政府のコロナ対策を検証する調査委員会が来年発足する。
独立調査機関が政府の対策を精査し、問題点や改善点が浮き彫りになる。
この報告によって国民は政権の良し悪しを判断できるだけでなく、将来にも役に立つ。

当然こういった調査は忖度なしで行われ、公文書が確実に保存されていなければならない。民主主義には不可欠のプロセスなのである。

英国にも問題点は多くあるが、こういうところは、わたしは評価している。
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ストーンヘンジを仰げば




昨日は、ストーンヘンジとその周辺に設けられているハイキングコースを周遊するつもりだったのに、朝からあいにくの雨模様で来週に延期した...

と書いたのだったが。

午後遅く出かけたウィンチェスターから西へ向かう道が、菜の花で黄金に染められて美しかった。

あまりにも美しいので車の窓を開けたらば、圧倒的で濃厚な菜の花の香り。
悦びにぎゃーぎゃー騒ぎつつ、黄金を追って飛ぶように車を走らせ、結局20時半ごろにはソールズベリー近くまで来ていた。

ここまで来たら帰り道はストーンヘンジ横の高速道路を走って帰るしかない。

友達から、近くで見るよりも高速道路から徐々に見えてくる方により感動するよ、と聞かされていた。

ほんとうだった。

周りに遮るものの何もない緑色の草原の小高い場所に、これまた遮るもののなにもないブルーグレーの空と交信するかのような孤独な建物が...
あまりに神秘的で、誰もが持って生まれるのであろう太古の記憶のような感覚が、腹の底から昇ってくるような気がした。

来週近くで見るのが楽しみ...
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