少し寄り道をしました。陶胎七宝に戻ります。
陶胎七宝の沈香壷です。
陶胎七宝としては、大型の品です。
蓋の上には、沈香壷に定番の獅子が鎮座しています。
大きな窓絵の草花蝶紋が前、後ろに配置され、サイドは幾何学紋になっています。
胴径 16.4㎝、底径 9.0㎝、高 35.4㎝。重 1360g。明治初期。
18世紀、ヨーロッパへの輸出品の花形であった伊万里焼の沈香壷を、明治初期、陶胎七宝でリニューアルした物といえますね。
蓋と本体に分かれます。
クリーム色の素地や地を埋めるハート形の植線などからして、これまで多く紹介してきた京焼系の品であると推定されます。
蓋の把手(獅子以外)は、陶胎七宝です。
獅子は、色釉で彩色されています。
蓋の内側にも釉薬がかけられています。
一方、本体と接する部分は、無釉です。
蓋と同じく、本体の内側には上釉がかけられていますが、蓋と接する部分は無釉です。
本体の首と肩は、幾何学模様で装飾されています。
胴の窓絵は二種、いずれも草花に蝶の模様です。
サイドは、花の幾何学模様。
陶胎七宝沈香壷が、かつての伊万里焼にならって、ヨーロッパで再び人気を博したかどうか、定かではありません。ただ、明治初期に輸出された陶胎七宝のうち、沈香壷は珍しい部類に入ります。ということは、それほどの数は作られず、人気の輸出品ではなかったと思われるのです(^^;
コレまた立派な品ですね!!
本当に故玩館のコレクションは底なしすぎです(⌒-⌒; )
色々な品を見せて頂きましたがやはり色味が良いですね!
渋くて深い落ち着いた色合いがなんとも素敵です。
また、獅子は色釉だったり手が込んでいてこういうパターンもあるのかと勉強になりました(^^)
それと陶胎七宝独特の?ハートマークの柄もなんともかわいいです笑
沈香壷など、伊万里の十八番だったものを、チャッカリと取り入れています。
というより、作って、輸出してみたのでしょう。
でも、結果はアンマリだった(^^;
沈香壺まで作っているのですか!
二匹目のドジョウを狙ったのでしょうけれど、ヒット商品にはならなかったのですね。
おそらく、これだけの物を作るとなると、相当に原価がかかるわけですから、おいそれとは売れず、結局、普及しなかったのでしょうか、、、。
しかし、その反面、今となっては珍しいものになりますね(^-^*)
沈香壷は、もはや香木入れとして使う事などありえないわけですから、実際のところ、内側に釉薬をかける必要もないわけです。けれども、手抜きをせずに、本来の沈香壷を作っているので、それなりの価格になっただろうと思います。