カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

降臨忘年山行in奥多摩

2010-12-15 | ヤマのこと

12/11(土)~12(日)奥多摩へ。

年内はこの先もう仕事で連休がない私たち。
今年最後のテント泊がしたくて、大好きな奥多摩小屋のテント場へ行こうと計画していたところ、
たまたまどこかでテント泊したいなぁー、と思っていたと言う友人から別件で連絡があり、
じゃあ一緒に忘年会でもしようか、と急遽決定した。


誰かとご一緒するのは今回が初めて。
超人見知りのダンナは誰かと歩くのが苦手、私は体力に自信がないから苦手・・・
だからいつも二人だったけど・・・今回は現地集合という無理のない形でスタートです。


約1ヶ月ぶりのテント装備、焼肉忘年会が目的なので一番ラクに行けそうな鴨沢からと決めました。

奥多摩駅から鴨沢行きのバスは大混雑で2台出ました。
バス停で合流し、9:30、歩みの遅い我らが先にスタート。


この日は気温18度になるとかで、朝から日差しはギラギラ。小袖へ行くまででもう既に汗だくです。
真っ青な空に見守られながら、もうすっかり葉を落とした初冬の登り尾根。
木々の間から見える石尾根目指し、A君&Jちゃんペアとは抜きつ抜かれつ進んでいきます。




堂所を過ぎると、富士山スポットです。
わ~い!ちょっと雲があるけどテカテカと光っている富士山に会えてよかった~



テント場に着いたらすぐに焼肉だから・・・と昼食をとらずにいたらさすがにパワーダウン・・・?
それとも久々のテントザックの重さにやられた?
七ツ石小屋への分岐あたりからすっかり足が上がらなくなりました、ヤレヤレ。



 
七ツ石小屋の「生ビール」ののぼりに惹かれる~~~この日すごく暑かったので今すぐ飲みたい気分・・・。
でも小屋を過ぎたあたりから、日影に雪が出てきました。

「七ツ石は巻かないからね!七ツ石山頂で集合だよっ

と、ねーさんぶって言ったは良いが、自分が一番バテてる・・・つ~の


ところで堂所あたりから気になることが・・・
時折、ご~~っと強い風がうなりをあげていたのです。
前方は真っ青な空で、とても穏やかに見えるのに。
尾根に着く頃には止んでくれるといいな・・・と思いながら登っていました。


  
休み休み、やっと石尾根に乗っかりました。雪が解けてどろんちょ。
みんなの姿を見上げながら、足重っ!と最後にやっと到着した私。



「こっちこっち~~」とJちゃんが嬉しそうに手を振っています。
わ~い、今日はじめてのピーク、疲れたけどやっぱりここに来て良かったね!
そうそう、私はこの風景が見たかったのよ!




と、言うなりザックを放り投げ、チョコを出して座り込みむさぼり食すのは誰・・・
更にJちゃんにおせんべいを貰い、無心に食べる私・・・なんだ、シャリバテですか(笑)

雲取山に続く尾根の風景が一番好きなのに、食べることに夢中になって、
写真を一枚も撮っていなかったことに後で気づきました・・・バカバカ

山頂は風が強く、休んでいると寒いので早々に退散。
七ツ石山頂から雲取方面の吹き溜まりは、20センチ位雪が残っていました。
フカフカの新雪が気持ちよかったです♪



七ツ石山まで来ればテント場まではあと少し。
みんな、たった一晩なのに重たいザック背負ってきたもんだからもう疲れた~~
「ビール♪ビール♪」とやっとこさ到着。



14:30、奥多摩小屋ヘリポート着陸~




この頃、富士山はだんだん雲に覆われ見えなくなっていました。

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私が水場に水汲みに行っている間に、テント設営完了。さあ、忘年会の始まりです。

この日は空いていて、テントもヘリポート側に4張り程度しかありませんでした。
小屋に一番近いベンチで宴会をしようとそこにテントを張ったのですが、
悪い予感的中で、風が止んでくれません・・・しかも強風・・・



ベンチはまともに強風を受けるので、テントの影に隠れて焼肉を始めました。
カルビ・しょうが焼き・ピーマンチーズ巻き・サラダ・鴨ロースト・ポテサラ・キムチ・苺etc・・・
出るは出るは
こんなに担いで来たからザックの重さが20kg越えだったのね、A君Jちゃん、ありがとう~~



寒い寒い言いながらも、とりあえず肉だけは外で焼いてしまおうと頑張って食べる&飲む4人。
風さえなければそんなに寒くなかったと思うのですが、残念です。

16:00過ぎるとさすがに寒さに耐えられなくなり撤収。
去年の同じ時期は雪があっても穏やかだったのになぁ?
富士山もシャンプーtime?アワアワ富士山になっていました。


強風で体感温度が低く寒いので、それぞれのテントに入り続きを飲みます。
テントは隣なので会話は出来ますが、やっぱり顔が見えないとつまらないもの。
覗きに来た友人に「こっちのテント片付いててキレイ~~」と言われ気づいた、
「そうだ、4人こっちに入って飲めばいいんじゃないか
と「エアライズ2」の我が家に合流し、宴会の続きが始まりました。



テントの中は温かくて心地よい。外は相変わらずの強風。
だけどおかげで大きな声でしゃべっていても、遠く離れたテントには多分声は聞こえないはず。
大声で話が出来る、空いたテント場なんてめったにないよね~~と、
4人とも酔っ払って大笑い&大はしゃぎ

ビール・焼酎・ワイン・梅酒etc・・・持ち寄ったお酒もとうとう空になり、
散々飲んでしゃべって酔っ払って20:00、そろそろお開きにしようか、
と話していたところに事件は起きたのでした・・・




「バン!」




「え?」


テントになにかぶつかった?!

この日、設営した段階から、テントが右に左に揺れるほどの強い風でした。
そして時折、ものすごい圧力で風がテントを押してくることも度々あったのですが・・・



まさか・・・



この音は・・・




そんなことが・・・








こんな真っ暗闇の中で起きるとは・・・・





「テントフレームが折れたぁ!!!」


と、強風に押されみるみるうちにテントの形がいびつになってくるではないですか

そこからがさー大変!
酔いが最高潮に達した時に起きた事件、手元足元おぼつかず、頭も働かなくなってる酔っ払い3人組。
とりあえずダンナが接続用のパイプをザックの中から出し、それで折れた部分を補強しようと、
地面側からフレームに通し、折れた部分へ送ろうと考えたのだ。


強風の中、果敢にも外に飛び出し、傾きかけたテントを押さえる勇者A君。
この寒さの中、じっとたってソレを支えることが、どれだけ辛いことか・・・
「早くーーー早くしてーーー寒いーーー」と叫び続ける勇者A君。


(イメージ画像:この上に外張りが張ってあります)

テント設置したままフレームをパイプにいれ、生地を少しずつずらしてパイプを破損部へ持って行く。
が、暗いワ寒いワ酔っ払ってるワ、で、なかなか思うように上がってこないのだ。

A君「まだー?まだー?全然こないよー!今どのへん?」
私 「おかしいなぁ、これかな?送ってるんだけどまだ届かない?」
A君「全然来ないよー寒いよー寒いよー凍えるよーまだーまだー???」






テントの中でパイプを下から上に滑らせて、A君の持つ所まで手繰り寄せようとする必死な私。
「頑張れー頑張れー!」と応援するJちゃん。
酔っ払ってまともに歩けなくなってサンダルかたっぽ脱げちゃってヘラヘラしているダメダメなダンナ・・・。



「なぜだ~なぜなんだぁぁぁぁ~~~ 夜の奥多摩に響くA君のデカ声・・・。


何だ?この状況・・・やっぱ早く直さないとまずいっしょ!!


しばらく同じことを繰り返したが、あまりに進まないのでだんだんイライラしてきて、

私「ホントにパイプ入れたの?ダンナぁ~!」
ダンナ「入れてるよ!」
私「どこから入れたのよっ!」
ダンナ「ここから・・・」
私「ここから入れてどこまで上げたの?え?・・・」






「・・・・・・・・・・・・・まだスタートにいるじゃん」


アホすぎる・・・



(後日撮影)
すっかり酔いが醒めた私はもう無理だから一旦フレームはずしてから、
破損部にパイプを通そうよ、と提案。
テントを平らにして、フレームを出してみるとこんな状態で折れていたのだ。
そして裂けた様になったその破損部には、パイプの直径が小さすぎて通らないことに気付いたのだった・・・。

この後、無残な姿になったテントを置き去りにして、「奥多摩小屋」へ逃げ込んだのは言うまでもない。

こんな簡単なことに気付くまで約40分、
寒さと強風の中で山行至上最強のコントが繰り広げられようとは夢にも思わなかった・・・



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その強風はなんと午前0時ごろにはすっかり静かになり、夜中は満天の星空だった。
多分、日本海側を前線が通過するといっていたからそれだったのだろう。
奥多摩小屋は私たち2人だけだったので、広すぎて寒かったけどお騒がせしたので誰もいなくてヨカッタ。



翌朝外に出てみると、あの強風がウソのような静かな山の朝・・・富士山が微笑んでる・・・(失笑?)



事件現場に戻ると昨夜の格闘の跡が・・・(笑)
ここには昨夜、笑いの神が風に乗って舞い降りたに違いない。うん、きっとそうだ。

一晩中そこで我らのテントを見張っていてくれた友人に一応声を掛けに。

「雲取山頂行きますか?」
「行かな~~い」
「だよね~~~」

事件に全てのエネルギーを注いだ私たちは、山頂など踏まずとも十分満足であった
じゃ、ゆっくり撤収して帰りますか。



が!これで終わらないのが私なのだ!!



目が覚めて、現場に行ったのが5:00。
あれ?ずいぶん明るいなぁ?日の出時間、また私間違えたかな?
今から山頂じゃどの道間に合わなかったね~。



と小屋に戻り、テントで寒い夜を過ごした友人に温まってもらおうと、
昨夜食べる予定だった「白菜鍋」をダンナに準備させる私。
他に誰もいないので、小屋の土間を使わせてもらい、4人で朝食。

私「や~、昨夜は大変だったね。さあ、温まって♪
朝ごはん、こんなにゆっくり食べるの初めてだね。山頂行かなかったから時間ができてよかったね。
鴨沢のバスの時間に間に合うように8:00には出たいけど、あと1時間半あるからゆっくり・・・」

J「ん?ねーさん?今何時って・・・?」
私「今?6:40でしょ。だからあと・・・」
J「アタシの時計は7:40だけど」
私「へ?私の時計は・・・ええええっ?ウソっ?」
J「1時間遅れてるよ!」
私「なんだって?!あと20分で撤収して出ないとバスに間に合わないっ


「8:00に出発するって言ってる割にはゆっくりしてんなーと思ったんだ」
とA君。なるほど、日の出時間間違えたのじゃなくて、私自体が間違っていたのね・・・
またやっても~た・・・


 

20分で撤収できるはずもなく8:40、昨夜の騒ぎを小屋番さんに詫びて、大慌てで来た道を下山する。
七ツ石の巻き道はやはり凍っていてへっぴり腰だったけど、
なんとか時間に余裕が持てそうになった。



11:20、バスの時間に間に合った~。
初めての忘年山行、ドタバタな二日間が終わった。

この後、いつもの麻葉の湯でスッキリ汗を流し、いつものヒカステで打ち上げをして帰りました。

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なぜフレームが折れたのか?下山しながら考えました。
誰も入っていなかった時のテントは、ぐわんぐわん揺れていた・・・
4人でテントに入っていたことで、4隅のフレームが固定されたようになり、
強風でしなりたかったフレームがしなることが出来ずに・・・破損したのかな?
と推理しました。

アライテントのHP(より引用)にも
「テント用のフレームは曲がることによって、フレームにかかる力を受け流し、吸収しています。
これが、曲がらないほど硬いフレームだと、フレームにかかる力を受け流すことができないために折損してしまいます。
(受け流すのが間に合わないほど大きな力が働いた場合にも、フレームは折損します)」

と書いてあったのでそうかな、と。
営業小屋の側でのアクシデントだから良かったけど、何もない場所でこの事態だったら・・・
と思うと怖い。ちゃんと対処方法を勉強しておかなくちゃ。

でも何よりの原因は・・・やっぱり・・・皆さんのお気づきの通り・・ 多分それ正解。

こうして2010年の締めくくりにふさわしい山歩きが幕を閉じました。



* * * * *





強風と寒さの中、持てる力の全てを出し切って戦った4人の勇者たち・・・ありがとう。
私は今日の事を忘れることはないだろう。
そしてもう二度と・・・時計の使い方は間違え・・・ないとおもう・・



おしまい。