カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

大菩薩峠から上日川峠

2009-10-29 | ヤマのこと

続きです。

こんな天気の悪い日にテントなんていないだろう・・・と思ったら先客がいて嬉しかった。

福ちゃん荘」のブランコから下の広い部分がテント場なのだけど、
稜線以外は風がなかったのに、なんと!このテント場は風の通り道!
強い風が吹き荒れていて寒い寒い!ウロウロすること5分、
なんとか風をよけられそうな笹に囲まれた場所を見つけ、テントを張りました。
後から来た若者8人は、真ん中に張ろうとしていたけれど、あまりの風の強さにテントが張れず、断念した様子・・・あれからどこへ行ったのだろう?


(30は張れそうな広さ・向こうに見えるのが福ちゃん荘)
テント代金@¥300 今までで一番安いかも。
お酒も何でも売っているのでラクラクです。
今回は秋晴れのテント場でまったり、のつもりだったので今日はエアライズ3持参。
ところが強風のおかげで中が温まらず寒い!やっぱり冬場は小さいテントのほうが温かいみたい・・・

 
まだ抜歯後の糸が絡む&若干腫れている口の中。
たくさん噛む物は食べられないので今日はパスタとキャベツソーセージスープ。


(使用後の写真でゴメンナサイ)
初めて使ったこのソースがとても美味しかったので、忘れないように記録しておきました。

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18:00頃、強風が収まってきたかと思ったら今度は雨。
しかも強くテントを叩きつける雨
一晩中雨と強風の中、時折鹿の雄叫びを聞きながら・・・いつしか・・・朝。
目覚めると雪ではなく雨だった。また予報外れた・・・。

天気なら朝日を浴びる富士山を拝もうとここに泊まったのに残念。
今日は天気が悪いので、「もうひとつの目的」目指して下山するだけです。


7:30、こんな天気でも続々団体さんが上がってきます。
小雨になっていてくれたのがせめてもの救い。


「ロッジ長兵衛」に到着。ここでも多くの人が準備をしていました。
もう晩秋の風情ですね。


ほとんどの人はここからバスやタクシーに乗れるので、
もう歩いたりしないんでしょうね・・・私たちは2年前を思い出しながら歩いていきます。 

 
窪んだ登山道も落ち葉のじゅうたんのおかげですべることもなく、歩きやすい。
雨に煙ったこちらのルートの紅葉もなかなかなもの!キレイでした。

 
(右は栗の木にコハウチワカエデが根を張ったもの)
最近はお花の名前を少し覚えてきたので、今度は木を見分けられるようになりたいな。
色んな木を触ったり眺めたり、葉っぱを見たり・・・


難しくて・・・結局ブナしかわかりませんが

 
足元には今にも動き出しそうな「なんじゃこりゃ~?」なキノコがいたり、
雨に濡れたコケもより一層緑を濃くしていたり・・・


以前に比べたらあまり人が歩かなくなったであろうこの森。
でもそんな事僕らには関係ないよ、と静かに私たちを楽しませてくれました。

紅葉は標高1300m~1400mあたりが見ごろのようでした。


 
ちょっとゆっくり歩きすぎてバスの時間に焦ってきました・・・
結局誰にも会わずに車道に。
ちょっとひょうきんな顔のお地蔵様がいました。栗もたくさん落ちていました。


歩いていると車道脇の草むらで「がさがさっ」という音が。
行ってみるとキジのカップル?ではないですか!2m近く寄っても逃げていきません。
珍しいものに出会えました



 
そしてテント場から約2時間ちょっとかけて今回のお目当てに到着。
裂石温泉「雲峰荘
ここは日本秘湯を守る会の宿で、日帰り入浴は13:00までしか出来ません。
公共交通機関利用で12:00までに下山してくるなんて、普段の山歩きでは無理なので、
日帰りでもいけるところ、温泉に入りたいが為にあえてテント泊にしたのでした。


 
(ロビーには手作りのジャムやお菓子や野菜やいろいろ)
宿泊のお客様もまだいるのでとても賑わっていました。
私たちのような日帰り客も朝から結構いました。
内湯と露天風呂があって、露天風呂は混浴。どちらか1回1時間¥500です。
無色無臭の高アルカリ泉。肌がつるっとするいいお湯でした。
人懐っこいわんちゃんも3匹いました


雲峰荘からバス停までは徒歩5分。
湯上りにバスを待つ間、茶屋のお母さんとお話しながら、手作りの蓬もちを頂きます。
出来立てモチモチで美味しかった~。
その後、¥300バスに揺られ塩山駅へ。


こうして雨でも楽しい山歩きとなりました。
雨とか嵐とかトラブルとかあった山歩きのほうが、
天気で穏やかだった日よりなぜか印象に残るのが不思議です・・・。


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家に帰ってどんぐり広げてみたけど・・・ほとんど同じ木のどんぐりだった。
拾っているときは違うような気がしていたのにな~。
葉っぱもついつい拾っちゃうけど、いつも保管に失敗してカリカリになっちゃう。
やっぱり森にあるからいいんでしょうね・・・

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【交通機関】往路:新宿駅→奥多摩駅(¥1050) バス奥多摩駅→小菅(終点)(¥950)
       復路:バス大菩薩登山口→塩山駅(¥300) 塩山駅→新宿駅(¥1890)@¥4,190
【行  動】小菅大菩薩登山口→フルコンバ→大菩薩峠(登り約3時間45分(休憩含む))
       石丸峠~賽の河原散策後→福ちゃん荘 福ちゃん荘→上日川峠→裂石温泉→大菩薩登山口




小菅大菩薩道から大菩薩峠

2009-10-27 | ヤマのこと

10/24(土)
以前から一度歩いてみたいと思っていた奥多摩側からの大菩薩峠へ行ってきました。
昔、甲州と武州を結ぶ街道だったなんて、ちょっと歩いてみたい気にさせられるではないですか。

本当は丹波からの道のほうが尾根歩きで景色もよさそうなのだけど、
奥多摩駅からのバスが遅すぎて、登山口に一番早く着いて10:30。
この日の短い時期では到着が日没になることも予想されるので諦めて、
今回は小菅からの道を選びます。

奥多摩駅7:25発のバスに乗り、終点の小菅に8:30。
ガラガラのバス、降りたのは私たちと女性一人だけ。

快晴の予報はいつの間にか変わっていて、この日の予報は曇り。
明日の朝は雪と雨。なんてこった


来てしまったからには仕方ない。雨はもう慣れっこさ♪気分で出発。

 
里山の風情たっぷりの、どこか懐かしい風景の小菅の町。いい感じです。
ここからまずは林道歩きで登山口まで約1時間40分。

・・・と気合を入れ歩き出し、10分もしないうちに横に車が止まり、
「乗って行きませんか」
ここを車で行ってしまうと、早く着きすぎるのを知っていたので一旦はお断りしたが、
同じ方向だから、と単独の登山者、あまり断るのも失礼かと思い、
これも何かのお告げだろう、とお言葉に甘え、同乗させてもらった。

話してみると前回同様、またお隣の区の住民だった。奥多摩でご近所さんに出会う率高い^_^;
ほぼ毎週末、奥多摩に来ているとのこと。今日は地図にない道で大菩薩を目指すといっていた。



時間もたっぷりあるのでと、「白糸の滝」で下ろしてもらった。
ここまでの林道はすれ違う場所もないほど狭く、ずっと登りでダートな感じでした。
樹林帯で薄暗かったので、やっぱり乗せてもらってよかったかな?


 
徒歩5分程度で白糸の滝に着いた。ずいぶんりっぱな、人があんな小さいくらいの高さのある滝でした。
(右画像ここ、と書いてあるところに人が立っています)

 
寄り道終了。登山口へと歩くこと10分程度でした。
約1時間30分も短縮してしまい、9:30スタートです。


 
最初は緩やかに登ります。まだこの頃は日も差していました。



まだ青い木にだんだんと黄色が増えてきて・・・
紅葉ロードの始まりです。


登山口から45分ほどで、地図にはない分岐が。
日向沢、赤沢ってどこ?確かに下のほうに沢は流れていますが、登山道らしきものは見つけられませんでした。
久しぶりの重いザック、今回は大丈夫かな?と恐る恐る歩いています。
大事をとって今回はマメに休憩、ここで一休み。誰にも会いません。


足元にはどんぐりころころどころかゴロゴロと・・・
今年はここ数年来の「どんぐり豊作」の年だとか。


ついつい帽子をかぶったどんぐりを拾いながら歩いてしまいます。
登山道もふかふかでとても歩きやすい。

 
上を見れば、だんだん色が変わってくるのが良く解ります。
さきほどまではまだ緑+黄色だったのが、黄色+オレンジの紅葉ロードへ。
日本の秋って素晴らしいですね~。


 
そして足元も茶色から赤へ。
おー、とか、わ~キレイ、とか言いながら歩くのでなかなか進みません。
右も左も、どこもかしこも・・・紅葉だらけ


なんとなく、針葉樹林と広葉樹林が交互に来る様な感じの登山道。
そしてまた、地図にはない分岐が出てきました。
ノーメダワ、ということは丹波大菩薩道へ続いているようです。
手書きで標高1350、と書いてあって助かりました。
展望はなく、単調な樹林帯の登りなので、いまいち位置が解りにくかったから。


 
そしてまた紅葉の森になり・・・なんとなく・・・もうそろそろな感じ・・・と橋を渡ると、


「フルコンバ」到着。
今日はじめての展望のある場所です。



向こうに見えるのは・・・なに山??
天気が良ければもっとキレイだったでしょうが、ま、仕方ないでしょう。



大菩薩側はもう紅葉も終盤でしょうか・・・でも広々として気持ちの良い場所です。
昔、小屋があった跡?水場→の標識がありましたが、確認はしませんでした。
ちょうど12:05、ここで昼食にしました。
 
 
日が出ていないので、じっとしていると結構寒い。
15分ほどで切り上げ、大菩薩峠へ進みます。
ここでやっと降りてきた人に出会いました。塩山方面と比較すると全く静かな山歩きです。
全部で3人しかすれ違いませんでした。

歩き出してすぐ錆びた標識「ニワタシバ」に着きました。
ここから峠までは20分、と書いてあります。


20分じゃ無理^_^;30分かかって・・・見覚えのある大菩薩峠へ到着。
このルートはほとんど同じようなゆるい傾斜の登りでした。
登山口が標高850mくらいなので標高差は1000mあるのですが、
それほどの差は感じませんでした。
紅葉を満喫できる、静かで素敵なルートでした。(でもちょっと単調すぎて飽きるかも・・・ナンテゼイタク)


13:10、今日の大菩薩、もちろん曇り。
今日はどうしてもテントがしたくて、テント背負ってやってきました。
今日の行程はこれで終了。天気が良ければそのまままったり、でも良かったのですが、
雨が降りそうで寒い^_^;
ならば、と介山荘脇の休憩所にサックを置き、手ぶらで石丸峠のほうへ アレを見に行こうと・・・


 
5月にきたばかりのこの道なのに、もう懐かしい。
ここから今日は富士山はすその方しか見えませんでした。


そして・・・黄金のアレを求めてこの場所へ!!
あれ?ちょっと遅かったかな・・・

ガスが上がってきてしまいましたが、相変わらずここからの眺めは素敵です。
この尾根をずっと向こうに歩いていったんだっけ・・・
あの時は結構長かったけど元気だったな~、なんて近頃体調イマイチの私は寂しく感じたりもしました。



しばらく時の経つのも忘れ、黄金色の景色を眺めていました。


眼下に上日川ダム。天気が良かったら、輝くカラマツが見れたかもしれないです。

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休憩所に戻り、今度は賽の河原まで歩いていってみました。

 
こちらがわへ来るのは2年ぶりです。
あの日は全然雪があるなんて思わないで、こわごわ大菩薩嶺から下ってきたのでした。



尾根は風が通り抜け、寒いです。天気も悪いのでいかにも・・・な感じ。
 

 
避難小屋の偵察です。
スライド式の雨戸?を開けると明るかったですが、ここは登山者の安全ための施設で、宿泊施設ではありません、と書いてありました。
トイレも水場もないですしね・・・(介山荘まで約10分ですが)


偵察を終えて帰ります。
ここからの景色は何度見ても良いものですね。
こんな天気でも登山者がひっきりなしに往来していました。さすがは人気の山。

 
ぼやぼや~~~っと。アルプスは残念ながらお預け。

でも車に乗せてもらったおかげで、思いがけずゆったりとした時間が取れました。
いつもあくせくしているので、こんなゆったりした山歩きも楽しいものだな、と。
病み上がりの身体にもちょうど良かったかもしれません。


さて今日は終わりにしましょう。
まだ日帰りでも十分帰れる15:00、「福ちゃん荘」のテント場目指して降りていきます。


長くなったので続きます





秋を迎えに・・・赤城山

2009-10-18 | ヤマのこと

秋が降りてくるのを待つつもりでしたが、
日曜日、ピーカンの予報に待ちきれず出かけてしまいました。

昨日の土曜日は仕事だったので、日曜日はゆっくり・・・
と思っていたのですが、なぜかしら「どこかへ行きたい虫」が急に騒ぎ、
それなら毎年行きたいと思ってチャンスを逃していた「赤城山」へと、
急遽思いついて出かけてきました。
来週末10/24・25で今シーズンのバスも終了。ギリギリ間に合いました。


朝5:30に家を出て、電車、バスを乗り継ぎ赤城山ビジターセンターに着いたのは10:00すぎ。
大沼の脇の車道を20分ほど歩きます。既に暑いくらいの日差し。


「赤城神社」の赤い橋が眩しかったです。


 
10:30、黒檜山登山口出発です。


取り付きから急登り、でも振り返るとさっきの大沼が眩しく輝いていました。


 
先週の悪夢が蘇るようなイワイワな登りです。
きついけど今日は胸が締め付けられるような苦しさはない。
ああ、よかった。今日は何とか行けそう。
紅葉がきれいなエリアに入り、気持ちも明るくなります。


暑いくらいの日差しの中、色付く木々たち。



ん~~~、癒されます!やっぱり来て良かった!



ところどころ平坦な場所もあったけど、ほぼ登りっぱなしで約1時間半、
「黒檜山頂」到着です。
あー、やっぱりしんどかった(なぜか開脚立ち?)


山頂からはぼんやりですが、多分、皇海山、武尊山などが見えていました。



大混雑の山頂。お昼を食べてそそくさと下山開始。
帰りのバスの時間が気になるから(本数が少ない)。


ここも「関東ふれあいの道」だったのですね。


駒ケ岳方面に進むと、御黒檜大神、鳥居がありました。
こっちはガラガラ。ここでお昼がよさそうでした。


遠方に小沼が、あんなに高いところに見えています。
大沼はずっと下なのに。

 
木製の階段が延々続く下り。ちょっと膝が笑いそうになりました。



ススキを見ると、秋だなー、って思います。


大タルミあたりまで降りてきて、振り返る黒檜山。
とても綺麗な山肌でした。
もう少し早かったら、もっと色とりどりの風景を見せてくれていたのだと思います。
山の紅葉はもう終わりな感じでした。ビジターセンターから下の車道は素晴らしい紅葉でした。


駒ケ岳まではちょっとの登り返し。それがまたが辛いのなんのって
岩手ではあんなにたくさんのピークを越えてきたのに?
自分の足なのに同じ足とは思えぬ弱りっぷり。はーまた一からやり直しかな・・・いや、二くらい?

「駒ケ岳山頂」からの景色はこんな感じ。
人が一杯で、立ち止まれず降りていきます。


そこからは緩やかに下る尾根でした。
秋にはこんな優しい山もいいものですね。


途中から鉄製の急階段。
でも天気が良かったので、手すりもあるし、怖いところは全くありませんでした。


駒ケ岳登山口に予想外に早く下ってきて、バスの時間にあと5分!というところでタイムアウト。
次のバスは1時間30分後。諦めて、車道をゆっくり歩いていたら、バスが見えた。
渋滞で遅れていたようなので大慌てでビジターセンターまで走る~
ラッキーなことに間に合って、13:45のバス(10分遅れ)に乗り、前橋駅まで行くことができました。
本当は温泉に寄りたかったのですが、なにせ、遠い。
明日は仕事なので早めに帰ってきました。

まだまだ本調子までは程遠い感じのワタシでしたが、
久しぶりに気持ちの良い汗をかいて、気持ちのよい空気を吸って、
やっぱり山って気持ちいい
と思えた・・・片道5時間、往復移動時間10時間、行動時間3時間の赤城山でした。


紅葉=下界までは・・・まだ時間がかかりそうです。

【交通機関】新宿→池袋→赤羽→高崎→前橋(¥1890)
 関越交通バス前橋→赤城山ビジターセンター(¥1450)往路戻る @¥6680



痛恨のリタイア

2009-10-11 | ヤマのこと

10/10(土)、3連休は絶対ここにいくんだ!と一年も前から決めていた場所へ。

いつもだったら多少調子が悪くても、1時間歩けば上向きになるのだけれど、
今日は違う。
身体が重い、登りが特に辛い、フラフラしてたいした場所じゃなくてもよろける。
呼吸が苦しくて胸が締め付けられる感じ、頭の中は常に酸素欠乏状態らしく視界が悪い。

2時間登った。でも回復の兆しなし。
どうしたらいいんだろう、ダンナに申し訳ないという思いが頭の中駆け巡る。

3時間登った。一向に回復しない、むしろ悪化。今日の目的地まではあと2時間。
あと2時間歩く力はどこから振り絞ればいいんだ?というくらいフラフラ。
ここまで苦しくてほぼ会話のないまま登ってきて、昼食をとろうと休憩するが、一口も喉を通らない。
朝パンを食べたきりなのに、お腹が空かないのだ。いつもならハラペコ大魔王なのに。
そんな青い顔をした私に、山行至上初めてダンナから白いタオルが投げ込まれた・・・
「もう、帰りましょう、今ならまだ引き返せるでしょう?」

普段の私ならなにくそ!となって大丈夫!と進むのだが、なにくそという気持ちも湧かない。
どんなに登りが辛くても、歩いていると楽しいのに、今日は苦痛以外なにも感じなかった。
今夜泊まって明日の朝回復しているかは解らないし、無理をして誰かのお世話になるわけには行かないと、
悔しい気持ちのまま下山することを決めた。

13:00。三連休、みんなニコニコしながら登っていく姿を見ながら、
トボトボと下山する自分の惨めさやら情けなさやら、こんな辛いの初めて
明日は快晴、の天気予報なのに・・・・
出発前、体調に不安があったのは確かだけれど、気力で何とかなる、
と甘い考えへのしっぺ返しがきたのね。


稜線に上がることなくUターン。しかも雨とあられとガスでこんな景色しか見ていない。

先週ウイルス性胃腸炎を患って、38度の熱と関節痛で3日間寝込んだのがまだ回復していなかったらしい。
あれから1週間経つのだが、食欲がなくて困っている。
特にご飯が食べれなくて、口元に持ってくるともうダメで、無理やり食べるも気分が悪くなってしまう。
お菓子とか果物くらいしか食べたい、と思えなくなってしまった。(でもたいして痩せないのよ)
なによりビールが飲めなくなったのが、体調不良の証拠ですね・・・

やっぱり身体の基本は胃腸です!ハラに力が入らないとパワーは出ませんね

ということで、しばらくおとなしくします宣言・・・

ダンナは不完全燃焼だったらしく、今朝テントを背負って一人奥多摩へ行ってしまいました・・・
( ´Д⊂ヽエーーン オイラだって行きたかった・・・今季最後の2000m越えだったのに・・・
本当ならこの青空の下、素晴らしい景色をこの目に、のはずだったのに・・・
あー、チャンスを生かせない女だなっ。自分自身に腹が立つ


悔しいので買い物にでも行こうっと





裏岩手縦走路・資料編

2009-10-09 | ヤマのこと

何かのお役に立ちますように。


(小畚山へと続くトレイル)

【日程】2009.9.19-9.22  4日間
【交通】往路:東北新幹線・東京駅→盛岡駅 IGRいわて銀河鉄道盛岡駅→滝沢駅 タクシーにて馬返し
復路:バス(秋北バスまたは羽後交通バス)玉川温泉→田沢湖 田沢湖→秋田新幹線にて東京

※早い時期に予約が出来るのなら夜行バスを利用すると早朝から動けます。
「JRドリーム盛岡号」「秋北バスみちのく号」「羽後交通レーク&ポート号」など。

【交通費】新幹線:東京→盛岡 約¥11,300 田沢湖→東京 約¥12,100
 タクシー:滝沢駅→馬返し 約¥2,800 バス:玉川温泉→田沢湖 ¥1,420 TOTAL@¥27,620

※新幹線は株優を2枚利用すると片道40%OFFとなるので、帰省時我が家はいつもそれを利用しています。
今回の場合は東京=盛岡間 定価¥13,840のところ40%OFFだと¥8,300
株優チケットは相場1枚¥1500なので2枚利用で¥3000、あわせて¥11,300となり、
回数券利用より更に¥1,650ほど安く行けます。二人分となると今回¥8,000近く安くなりました。
但し、株優チケットを購入して行く場合、盛岡・秋田方面は安くなりますが、
新潟・仙台あたりですとほぼ同じか高くなる場合もありますので利用価値はありません。

【ルート】馬返し→岩手山→大松倉山→三ツ石山→大深岳→嶮岨森→八幡平→大深温泉→焼山→玉川温泉

※三ツ石湿原より松川温泉が裏岩手縦走路主脈ですが、
滝ノ上温泉方面(または関東森方面)に行くと乳頭山、秋田駒ケ岳まで縦走できるようです。

岩手山
岩手山登山案内
裏岩手縦走路


【避難小屋・岩手山~大深岳】
 ・岩手山八合目避難小屋 1泊素泊まり¥1,700 水場:目の前 
 販売品:カップラーメン・インスタントコーヒー・手ぬぐい・バッチ等 ジュース・ビールはありません
 貸出品:毛布 ¥500?      携帯圏外(docomo/au)
※岩手山9合目避難小屋は基本的に宿泊不可だそうです。

 ・大深山荘 無料 トイレットペーパーつきのきれいなトイレ 
 ロフト式 利用約20名収容可? 水場:小屋より割と平坦な道約10分 水量:多 携帯ok(docomo/au)

※裏岩手縦走路ルートにテント場はありません。
※このルートには他「三ツ石山荘」がありますが、水場は涸れていて利用不可。
姥倉山から大松倉山の間に1箇所(エアリアにはない)水場があるので(道標に「水場」の記載有り)
そこから持ってくるしかない。徒歩約1時間?

八幡平】レストハウス内に食堂、土産店等有り。
ビール、ジュース等購入可能。食べ物はお土産程度の簡単なものしかない。
陵雲荘に宿泊の時はここで水を汲んでいく。
※盛岡駅・田沢湖駅・鹿角花輪駅よりバス運行有り 秋北バス・羽後交通・岩手県北バス

大深温泉】秋北バス・羽後交通バス停=大深温泉 徒歩8分
オンドル小屋  1泊素泊まり¥2,000(入湯税込) 要予約(空いていれば当日も可)
 販売品:ビール・日本酒・ジュース・カップラーメン・調味料・石鹸・タオル等
 貸出品:毛布・鍋釜・ガス器具等  7月~10月のみ営業  携帯圏外(docomo/au) 日帰り入浴可

玉川温泉】外来入浴 ¥500 強酸性・無色透明・硫化水素臭
 蚊にさされて掻き壊した傷がめちゃくちゃ沁みた(~_~;)ホントに効きそう。
木造りの温泉は源泉50%、100%に分かれていてぬるめで風情があり、心から癒される雰囲気。

 
(左:食堂は広い・早い・安い(コレ八幡平ポーク定食¥850だったかな)・量が多い・美味しい!
 右:売店では日用品から生鮮品までなんでもあり)

食堂も売店もあり、いつか自炊部で湯治したいな、と思いました。



★お出かけの際は最新の情報をご確認ください。(このページの情報2009.9現在)


イーハトーヴの山歩き 【1本のトレイルの終わりへ】

2009-10-05 | ヤマのこと

1日目
2日目・その1 2日目・その2
3日目

4:30起床時刻。
寝る前に痛かった箇所が治っていなかったら今日はもう歩くのをやめよう・・・
と思っていたが、なんと、目が覚めたら痛みはほぼ和らいでいた。
やはりこの温泉の地熱のおかげか。すごい。

空はどんよりしていたがまだ雨は降っていなかった。
最終日、どうするか相談の結果、最初の予定通りゴールを目指すことにした。



朝、顔を洗っていると、「ねーちゃんはどこからきた」
とちょっと怖そうな面持ちのおやじさんが声をかけてた。

「と、東京からです」
「秋刀魚、食わねえか?昨日水揚げされたばかりなんじゃ」
「残念ですがもう今日は行かないとならないので・・・秋刀魚はどちらの港から?」
「宮古だよ」
「え?宮古?」
いつもダンナの実家に帰省する時に必ず通る町、そしておやじさんも宮古の方だと言うので嬉しくなった。

しばらく話をし、そして支度をして今日は早めの出発、6:00。
盛岡のお母さんも「もういってしまうの」と声をかけてくれた。



登山道が見当たらなくて、駐車場の辺りをウロウロしていたら、
さっきの宮古のオヤジさんがやってきて、
「ここを下っていけば後生掛温泉に出る。車道を歩くよりずっと早い。
出たら温泉の脇を上がって行くように登山道があるからね。
そのかわりこの道は熊が出る、十分気をつけていくんだよ、絶対気をつけてな」

怖そうな面持ちとは裏腹に、とても優しいおやじさん。
この地の人はなぜみんなこんなにも人が好いんだ。
お別れするのが辛くなるじゃない。


 
登山口に取り付いたとたんもう小雨がぱらついてきた。
熊に我らが歩いていることを知ってもらおうと、ラジオを最大音量で鳴らし、
大声で話しながら緩やかに歩くと、湯気が見えてきた。


後生掛温泉の脇に出た。
こちらは有名な温泉らしく、立派な旅館と広い駐車場に車が一杯だった。

 
ちょっと迷いながらも、宮古のおやじさんの言うとおり温泉の建物の方へ行って見ると、
宿の廊下?のドアの上に「登山道」という文字としめ縄。扉を開けると・・・


【7:00】「焼山登山口」が現れた。さあ、今回の旅最後の登りだ。


最初は緩く登って行くが、だんだん岩が増えてくる。
それでもここはハイキングコースというだけあって、途中木道があったりで歩きやすい。


【8:05】国見台到着。眺めが良いらしいが何も見えない・・・


 
エアリアの地図で見ると次の「毛せん峠」までわけない感じだったが、
歩き始めるとやけに遠い。約30分かかって到着。
多分展望が良いらしいが強い風と雨で、稜線らしきところではからだをかがめるほどの時もあった。
こんな時は、
「大深温泉から目的地までバスで行けば35分、歩いていけば5時間。
 こんな雨の日に、私は何の為にこんなことしているんだろう?」
と急に冷めた目で今の自分を考えたりするのだった。
実際この日、山では誰一人会わなかった。


 
強い風とガスで濡れてしまい、風をよけて休憩する場所もない。
避難小屋を求めて黙々と進み、見えた、まさに避難小屋に避難。

この「焼山山荘」避難小屋は雨戸?が閉まっていたようなのと、入り口にペンキの缶があったり、
補修作業中だったのだろうか?利用は出来そうだが。
でも風とガスをよけられたので助かった、行動食で元気を付けた。

 
山荘から少し登ると右手が「鬼ヶ城」ガスの向こうに奇岩のようなものがぼんやりと。


【9:30】小屋から20分ほどで「名残峠」
そこからすぐ左にぼんやり見える登山道のないところが「焼山山頂」らしかったが、
風と雨が強いのでもうここで十分、と「焼山」を後にした。
せっかく登ってきたけれど、ごめん、焼山の良いところを見れずに下山します。
天気が良かったら多分素敵な風景が広がっていたと思う、紅葉と共に。


なんだか火山のような(何も見えないので)白くザラザラとした歩きにくい箇所を越えると、
木々が増え樹林帯に、そして緩やかなブナの森へと景色は一転した。

 
ああ、そういえばスタートもブナの森に迎えられたっけ。



終わりもブナの森で迎えてくれるんだ。
秋田県のそれも、むせかえるほどの美しいブナの森だった。



濡れた木道や大岩で2回も転びながら、
前方に煙が見えてきたら・・・いよいよ旅の終わりが近づいてきた証。
しみじみと胸に込み上げてくるものがあった。



焼山登山口到着。くじけそうになったけど予定通り最後まで歩ききれた。



多くの火山のおかげで、多くの名湯が点在する十和田八幡平エリア。


橋を渡ると、本当の下界に着いた。



初めて訪れた「玉川温泉」
岩盤浴で湯治する方達の横を、全身ずぶ濡れ、靴は泥だらけの二人が通るが、
あまり嫌そうな顔をされないのが、この土地の人々の温かいところなのかな。


【11:11】ゴール。
全長(直線)約40km、4日間、私にとっての長い旅が終わりました。

ダンナの故郷である岩手の山、そして長く続く裏岩手縦走路というトレイルを、
いつか必ず歩いてみたかった、思いがかないました。

このトレイルでは宮沢賢治の童話を思い出し、
まるで自分が金色のぴかぴかした、赤いずぼんのどんぐりたちと一緒にわあわあ言っているような気になったり、
手拭いをかこんだ鹿踊りを見た嘉十の森の姿を、山の中に見たような気持ちになりました。
イーハトヴ童話の情景がふと浮かんでくる、想像通りに素敵であたたかな道でした。


親切にしてくれた山岳会の皆さん、辛い登りで声をかけ応援してくれた人々、
晴れ男だったパトロールのお父さん、
狭いスペースを開けてくれた明るい山ヤ達、いもっこ汁をくれたおかあさん、
熊が出るからと心配してくれた宮古のおやじさん、オンドル小屋の皆さん、
皆さんの優しさがあったから、この旅を完歩することができました。
ほんとうに感謝の気持ちで一杯です。

人に優しくしてもらうと、心が芯から温かくなる。持っている力が120%出せる。
わたしもこれから先出会う誰かが、温かな気持ちになれるように、
山で出会う全ての人に優しくしよう、声をかけよう、そう強く心に思ったのでした。



(今回歩いたトレイル・右下から左上へ)


ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、
ただそれっきりのところもあるでしょうが、
わたくしには、そのみわけがよくつきません。
なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、
そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、
おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、
どんなにねがうかわかりません。---宮沢賢治





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注:文中の方言は正しいものではありません。私の耳に残った記憶で書いています。

資料編へつづく。

イーハトーヴの山歩き 【八幡平へ】

2009-10-05 | ヤマのこと

1日目
2日目・その1 2日目・その2

夜中には星が綺麗だったらしいが、疲れて起きれなかったのと、
ロフトの2階に寝ていたので、階段を下りるのがおっくうでみんなが起きるまでじっとしていた。

この小屋も快適で、ご覧の通り新しくてとても綺麗。ストーブはなかったけれど、
1階に10人、2階には12人程度は寝れるくらいのスペースがあった。
泊まっていた方達はここでもまた物静かで、静かに淡々と支度をして出かけていった。
このエリアは静かな方が多いのだろうか?大声で騒いだり、我が物顔で振舞う人もいない。
私にとっては居心地の良い山だ。

 
今日は短い行程なのでゆっくり支度をし、私たちが最後となった。
小屋に置いてあったノートを見ると、地元の方が多いのだと思っていたら、
驚くことに私たちのように関東圏から来ている人が多かった。
そして年代層が若い。昨晩の宿泊者も20代~50代前半。
岩手山8合目避難小屋の地元の方、子供や年配の方が多かったのとは対照的だった。

最後となったので掃除をして出かけた。たった一晩だが心に残る小屋となった。


外に出ると、昨晩親切にしてくださったパーティがまだ支度中だった。
小屋の中から、朝出発していく人たちに「いってらっしゃい!」と清々しく見送る元気な声が聞こえていた。
沢登のパーティかな?・・・昨晩のお礼を言うと人懐っこい笑顔で、
「今日もよい山旅を!いってらっしゃい」と私たちも見送ってくれた。

【8:00】出発。


 

昨日の疲れが残っているせいか、なんだかふわふわとした足取りだった。
今日からは天気が下り坂らしい。空もどんよりしていた。
まずは山荘から約一時間、右下にオオシラビソの樹海と「鏡沼」が見えてきて、
40分ほどで「嶮岨森(けんそもり1448.2m」ピークなのに「森」という名がかわいい。


そこから次のピークを目指し10分ほど歩くとひときわ尖った岩が。



今日はじめてのすれ違う人。岩を振り返ったらちょっと高山の趣き。
ここの紅葉は赤が濃いような気がした。


この区間は昨日より更に緩やかな尾根が続く。

  
途中背の高さくらいのヤブに入ると、まだ青さが残る葉。

 
もうすっかり秋の装いの深紅の実など、楽しみながら歩いた。


前諸桧手前の池。ミツガシワがたくさん咲くらしい。


「嶮岨森」から一旦下がり、ちょっと登り返したら「前諸桧」
まだ「諸桧岳」じゃない、身体が重い。



途中の「石沼」の水は涸れていた。



どんよりした空にも徐々に明るくなり、
「石沼」から先は視界がぱあっと開け、草原のように広い所に出た。
右手のとんがりは畚岳。


草原を渡りきった先が「諸桧岳1516m」


振り返るとここもまた、伸びやかで気持ちのよい尾根だったんだね。
途中までは振り返るとずいぶん長く「大深山荘」が見えるくらいゆるやかだった。



そこから約1時間で畚岳の分岐に到着。
ここはもう八幡平に近いというのがすぐ解る、軽装のハイキングの人が急に増えた。



「畚岳(もっこだけ)1577.8m」ここからの眺めも素晴らしかった。
あの湯けむりがごうごうと立ち込めている場所・・・今日の目的地は多分あの辺。



山頂を後にすると、ほどなく車道が見えてきた。
なんだか少し寂しい気がした。


八幡平樹海ラインの脇が、今回の「裏岩手連峰縦走路」の終わり。
まずは最低目標だったここまで来れたことで二人、握手をした。

その後は車道を歩き、見覚えのある「八幡平山頂レストハウス」へ。
山から降りてきて急に人気の多いところに迷い込み、面食らう場違いな動物のような我ら。
観光客でごったがえしている中、とにかくお腹が空いてまっすぐに食堂へ。
ちょうど12時を廻ったところなので、食堂も大混雑。
それでもずっとドライフードばかりだったので、3日ぶりに食べた温かい天ぷらそばの美味しさに夢中になって食べた。

お腹が満たされ元気が出たが、張り詰めた糸が緩んだのか同時に疲れもどっと出て、
なんだかわたしの弱気の虫が顔を出した。

ここからは目指す場所までバスで移動でき、ずいぶん時間短縮できる。
早く到着すれば、それだけ早く休むことが出来る。
また、今夜泊まるところから、最終目的地までもバスで移動できる。
もし明日が朝から雨だったら、もうバスで移動したら・・・

ダンナに相談してみたけれど、答えはNO。
今日バスを使ったら明日は歩き、今日頑張ったら明日はバスでもいいよ。

・・・答えの出ないまま、八幡平へ向かって歩き出した。



さすがに大きなザックで歩いている人はいない。
でも昨年、雨とガスの中で来たこの八幡平。
天気が変わるとこうも違うのか?素晴らしい眺めに出会うことが出来た。



「岩手山」の左手にちょこんと頭を出しているのが憧れの「早池峰山」
ここ八幡平は紅葉にはまだ少し早いようだが、広々とした景色が広がっていた。




このかれくさはやはらかだ
もう極上のクツシヨンだ---宮沢賢治


 
八幡沼をぐるっと歩いて、「陵雲荘」についた。
この避難小屋も中にストーブがありりっぱだった。
この界隈の避難小屋は2005年前後から順次新しくなっているようで、
ここまで見てきたどの施設も素晴らしかった。
途中でであった大勢のパトロールの方達や、山の整備をされている職員の方、
小屋の管理をされている方々のおかげだろう。
岩手県の避難小屋はこんなにすごいんだぞ、と、私はただ利用させてもらうだけなのに、
ちょっと自慢したい気持ちになっていた。



ここは駐車場から近いので利用する人は少ないのかもしれないが、
テラスから沼と山を眺めながら静かな時間を過ごせる贅沢な小屋かもしれない。



ガスのない山頂で記念に撮ってもらった。


ここからは岩手山、早池峰山、岩木山、秋田駒ケ岳が見える。
いつか歩いてみたいマタギの山「森吉山」も頭だけ拝むことが出来た。

「八幡平」は今は観光地かもしれないが、今から30年ほど前にはまだ山深い不便な場所であっただろう。
それにピークだけを目指して来たのでは、この八幡平の良さは解らないはず、
とちょっといぢわるく思ったりもした。


 
【14:15】山頂標識から数歩戻ったところから、今日の目的地へと歩き出す。
CT1時間10分の緩やかな下りだが、疲れた足には大小の岩の道は歩きにくかった。


 
硫黄の臭いと共に、湯けむりが見えてきた。
昨年バスで通って、雨の煙る中荒涼とした雰囲気が「大地」を思わせるすごいところだな、と感じた場所だった。
やはりここだった。
「ふけの湯」のパーキングが見えたら、左に曲がり・・・


 
【15:40】今夜の宿「大深温泉」に到着。
5日前に電話をしたら、「連休だから混んでいるけど二人ならまだダイジョウブだぁよ」
と優しくて気のいいおやじさんが予約を受けてくれた。

受付に行くと電話に出てくれたご本人(オーナーさん)らしく、
「あ、東京の○○さんね。オンドル小屋は初めてかい?熱い部屋とぬるい部屋があるけどどっちがいい?」
と色々丁寧に説明し、案内してくれた。

寝泊りする小屋へ行く途中、湯治客ら5、6人が外で秋刀魚を焼いて楽しそうにおしゃべりの真っ最中だった。

「どこさか行ってきた?なーに、岩手山から?そりゃごくろうさんなこった。
ここの温泉はいいよぉ、ゆっくりあったまってくなんせ」

この人の温かさがたまらない。



オンドル小屋とは床下が温泉の地熱で温まっている上にござが引いてあり、
その上で湯治をする小屋、のことだ。

中央の土間が廊下になっていて、その両側に湯治客が寝転んでいる。
風呂敷包みやカゴなどに生活道具を入れ持ち込み、何日も湯治していくらしい。
ガラガラ、と開けて入った瞬間、子供だった昭和の時代にタイムスリップしたような感じがした。



案内された場所に荷物を置き、早速3日ぶりの温泉へ。
オンドル小屋から敷地内離れにある温泉はすばらしかった。
当たり前のようにどくどくと流れ入る源泉を、水で温度調節しながら入るが、
水のほうが少なく、かなり熱めのお湯だった。
これは効きそう・・・白濁した温泉の気持ちよさといったらなかった。

 
敷地内には温泉のお湯を自由に使って「温泉たまご」を作れるようなスペースが一つ。
外の小さな小屋は台所。水はざぶざぶ流れ、飲料用。小屋の外の流しは洗い物用。
台所では野菜や魚をスチロールケースなど利用して、自己責任で管理。
中央の水たまりの中に紐でぶら下げておくとビールもトマトも冷える、というシンプルなしくみ。
どれが誰のものだか、これもまた自己管理、互いの信頼関係で成り立っている。
でも昔ってこんな感じだったな。

湯上りに敷地内のベンチで心地よい風に吹かれながら飲むビールが美味しくて、
何度も受付までビールを買いに行ってしまった。

「いいお湯ですね、こんないいところがあるって知らなかった」
と言うと、
「そうだろー、いいんだ、ここは。だからビールも進むんだな・笑。 なあ、もう一晩泊まってお行きよ」
「本当にね。でも明日の新幹線の切符を取ってあるので行かなきゃならないんです」
「じゃあまた来月は?そうだよ来月おいでよ。いつもなら10月の2週までだけど今年は3週まで延ばすんだ。」
「あはは。毎月来るんじゃお金が大変、来年又来ますよ」
「ここはね、7月から10月までしか開いていないんだ。あとは雪の中。
 除雪車でがー、っとやればいいんだが我らだけではそんな金もない。
 アスピーテラインが除雪されるまではじっと我慢なんだよ」

と気のいいおやじさんが、ちょっと寂しげな顔で話してくれた。


小屋に戻ってご近所さんに今宵泊まることを挨拶し、夕飯の支度をしていると、
向かい側のおかあさんが、
「これ、いもっこ汁、一杯作っちゃったの、食べて」
とおわんで頂いた。温泉で茹でたと言う温泉卵も頂いた。

おかあさんの味がした。久しぶりの手料理が身体の隅まで染み渡った。

その後、横になっていたおとうさんも起きて来て、盛岡の市内に住んでいて、
年に一回は必ずここに来る、という話をした。
ダンナの実家の話をしたら、やはり離れていても同県内、よく知っているようで、
キノコの話や海の話で盛り上がった。

みんな温かな気持ちで助け合っているけれど、必要以上には干渉しない、
そんな距離感がとても心地よかった。

今日までの歩きでだいぶ疲れがたまっていて、腰も坐骨神経痛の辺りも傷むようになっていた私。
明日起きて雨だったら、バスで行こうよ。
と懲りずに又ダンナに言った。

本当は痛みよりこのオンドル小屋のあまりの心地よさに離れがたく、
朝もゆっくりと出発したい、という思いがあったから。



裸電球の温かな明かりの下、床下のぽかぽかがほどよく気持ちよく、
フリースをかけただけで、寝相の悪い私は右に左に大きく動きながら良く眠った。
3日ぶりにすやすやと眠った。

4日目へ

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【今日の行程】
大深山荘→嶮岨森→諸桧岳→畚岳→八幡平→大深温泉
行動時間:約7時間40分 移動距離:(直線)約12km