カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

ふるさとの山歩き・早池峰山

2012-07-10 | ヤマのこと

2012.7.7(土)やっと念願の早池峰山へ。

数年前から計画しては消え、を繰り返していた早池峰山。
ダンナの実家の帰省途中に河原の坊~門馬へ降り、宮古駅へ抜けるプランで予定していたが、
雨じゃヤダー、とか中止にしていたら、昨年の大震災の津波で宮古駅から実家への足、線路流出。
現在は代替バスもあるけれど本数はわずか。実現厳しい企画となってしまった。
あの時、行っておけばよかった・・・と昨年からずっと後悔していた。

今回も天気予報は徐々に悪くなり雨、翌週でも良かったけれど翌週に天気になる保障はない。
今行かなければ・・・次という日が本当に来るのか?機会を逃したらまた後悔するかも。
なんだか今まで後回しにしていたことがとても後ろめたいような気持ちになり、
今年は台風でなければ雨でも行く、と決めていたのでした。

金曜日の夜23:40、盛岡行きの夜行バスに乗りこみ6:30、盛岡駅到着。
天気予報は午前中雨、午後から日曜日は曇に、信じるしかない。


 
盛岡駅7:10発の季節運行「早池峰登山バス」に乗った時はしっかり雨、嫌な予感・・・
今回登山口に着いたとき雨だったら小田越からのピストン(花優先&1本しかないバスの時間までに戻れるか不安)
と決めていたので、河原の坊バス停はパスし、終点の小田越まで乗っていった。
乗客の9人のうち半分が河原の坊で下車した。


 
8:50、登山口に到着したときは横殴りの雨。
河原の坊はビジターセンターがあるらしいけど、こちらは仮設トイレと簡易テーブルと日よけ(雨よけ?)があるのみ。
雨宿りするスペースなどない。
販売中の携帯トイレを購入し、身支度をしていると次々に敗退してきた方々が集まってくる。
「雨と強風で諦めて降りてきた」と言う・・・

でもさすがに東京から今着いたばかりで帰る訳には行かない。
帰るにしても6時間後までバスはないし(笑)
第一目的の”ハヤチネウスユキソウ”だけでもひと目会いたい。
無理だったら戻ればいい、行ける所までは行こう、と9:15、出発。


 
最初は木道、その後は緩やかな登山道。
沢のようになった登山道をやや不安な気持ちで歩いていった。


 
?   エンレイソウ

 
ハハコ系?   オトギリソウ系?

 
登山道脇では”モミジカラマツ(紅葉唐松)?”がたくさん咲いていました。
お花に励まされながら進んでいくと、あっという間に樹林帯は終わり・・・



登山口で土砂降りだった雨が、少し止んできたかも



ここ早池峰山は主に”蛇紋岩(じゃもん)”で構成されている山。”至仏山”等と同じです。
蛇紋岩は植物の生長を妨げるマグネシウムが多く含まれているため、
同地域の他の山とは一風異なった植物景観が発達するらしいです。

一合目、と書いてありますが・・・何も見えないので分かりません。
足元をキョロキョロしながら進んでいくと・・・



 
あった!”ナンブトラノオ(南部虎の尾・タデ科)”早池峰山固有種。
淡いピンクがなんて可愛らしいのでしょう

ちなみに早池峰山は1917m、北上山地の最高峰。
標高1,300メートル以上の全域が、特別天然記念物に指定されている国定公園です。




足元に次々現れるお花たち。
ミヤマアズマギク(深山東菊)とキンロバイ(金露梅) ミヤマオダマキ(深山苧環)


 
チングルマ果穂&岩手くん看板。


 
キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)と・・・あった!会えた念願の
”ハヤチネウスユキソウ(早池峰薄雪草)キク科” 早池峰山固有種。



もうこの子に会えたから帰ってもいいや、と内心思ってた


 
この頃は幸い雨は止んだのですが、ガス、そして風が強くなってきて・・・



10:50、ウワサの”五合目・お金蔵”到着。



 
何がウワサかって、すれ違う人々に「五合目から引き返してきた」「五合目から上はもっと強風だよ」
と脅かされながらやってきたからです。
うーん、なるほど風が強い。岩陰で風をよけ、今後について相談しますが・・・



雨が止んだだけましでしょう、当然進む、ということに。
だって、足元にはこんなにお花たちがたくさん咲いているんだもん、上に行ったら何が咲いてるか気になる!


 
でも歩き出せばやっぱりこの風はなかなかしんどい。
時折息が出来ないほどの強い風にあおられ、汗をかいているからカッパの中も外も全身びしょびしょ、
立ち止まると寒い。
視界がほとんどきかない中、唯一の楽しみは足元のお花だけ。



イワベンケイ (岩弁慶)?


 
コメバツガザクラ(栂桜)?  チシマフウロ(千島風露)


 
赤い葉っぱは?   ミヤマキンバイ(深山金梅)

 
ナンブイヌナズナ(南部犬薺・本州では早池峰山だけ)?  ミヤマシオガマ(深山塩釜)

私は強風が辛くて写真も撮らず、もくもくと進んで行きました(この辺り写真はダンナ撮影)




するとガスの中から前方に金属のようなものが見えて・・・


 
これが例の梯子 よし!ここまで来たと言うことは山頂が近い?
がんばれワタシ


 
幸い梯子を登っている間は無風状態でクリア、さらに進むとなにやら道標が見え・・・
”御田植場(おたうえば)”らしきところに到着。


 
木道脇にはコバイケイソウ、イワカガミ


 
ミツバオウレン?   ハクサンチドリ(白山千鳥)


 
だいぶギリギリな感じの咲き残りチングルマ、イワカガミ・・・



以前予定していた”門馬”分岐に到着。
ロープがはってあり、よく読むと橋の崩落?かなにかで通行止めらしいです。
もともとこちらを歩く人は少なそうですもんね・・・でもなんか残念。


 
何の花~?


 
岩にびっしりチングルマ。シラビソの球果。


  
白い花は? きっとこの辺りはお花畑なんでしょうね。近くの花しか見えないのですが。


 
11:50視界が悪い為、ふと気づくと目の前に避難小屋がにょっと現れ、その奥にようやく山頂が

やったー!悪天候の中、ここまで導いてくれてありがとう、早池峰山!
思い続けた頂に立てたシアワセを噛み締め・・・る間もなく写真だけ撮ってそそくさと避難小屋の中へ。
ガスと強風で寒くてじっとしてなどいられなかったのです。寒いはずです、山頂の気温5度。


帰ってから調べたので大事な”開慶水”を見るのを忘れてしまったのですが(汗)
山名の由来は諸説あるようで、山頂の”開慶水”という霊池は、
観音経を唱えればどんな干ばつでもたちまちにして冷水が湧き出て常に枯れることがない、
と伝えられ、早く水が湧く池がある峰だから「早池峰」説ほか、
早池(ハヤチ)の語源のハヤチとは、疾風の意で、「風の吹き出す峰」ということ。(だから風が強い?)
『遠野物語』では、山頂付近で大きな風袋を持った男たちを見かけたという伝承があるそうです。


 
避難小屋に入ると満員御礼。カメラのレンズのくもりが取れないほどの湿気&熱気。
狭いスペース、譲り合って座りますが外に比べたら天国で、避難小屋のありがたさを感じました。
オールフリーを持ってきてたけど、とても外でザックから出せる状況ではなかったのと、
小屋の中でオーバーアクションなど出来ないので静かに登頂の乾杯。

こんな天気でも次から次から入ってくる方たちの為に、
体が乾く間もなくささっと昼食を済ませて場所を開けました。

滞在時間 約20分・・・ ホントは山頂から岩手山が見たかったなぁ・・・




展望もなく寒いので降りるしかありません、ピストンなので来た道を戻るだけです。
(河原の坊への悪天候時下山はなるべくなら控える様に、とのこと)
さっきの強風を考えるとこれ以上ひどくならないうちに五合目をクリアしたい。



写真も撮らずもくもく進み、梯子場を過ぎると・・・



写真で見るとまだ真っ白ですが、これでもずいぶん明るくなってきました。
風もだいぶおさまり、ガスも切れてきてほんのり温かさを感じるようになりました。



ようやくカメラをまともに出せるようになりました


 
ナンブイヌナズナ(南部犬薺)  なんの花?


 
ホソバツメクサ(細葉爪草)と ミヤマオダマキとミヤマヤマブキショウマ(深山山吹升麻)?



ガスが薄くなり、花たちも鮮明に見えるようになりました。


 
何度見てもカワイイんです、ナンブトラノオとハヤチネウスユキソウ
この日はナンブトラノオのほうが少なく、ウスユキソウはたくさん咲いていました。



でも、雨の日は雨の日なりの・・・



色んな表情の植物達と出会えるから、やっぱり山は素敵です!



 
(マイヅルソウ  ミヤマツボスミレ?)
そんな素敵な山ともそろそろお別れ。


 
(右:タケシマラン)樹林帯に戻った時には風も雨も止み、すっかり静かな山に戻っていました。


 
ジャンボギンリョウソウに見送られ、14:30、ゴール。お疲れ様でした


 
結果的にはゆっくり花を愛でながら降りてきても、バスの時間に十分間に合いました。
河原の坊コースも今考えれば行けたと思うけど・・・朝の状態ではどうなるか解らなかったのでま、いっか。


山バッチが欲しくて”小田越山荘(係員がいらっしゃるだけ)で聞いてみると、
「峰南荘」にしか置いていないとの事、さすが岩手県、商売っ気ゼロだ

バスの時間までに歩ける距離ではないので、岳駐車場行きのシャトルバスに乗り「峰南荘前」途中下車。


 
(左:河原の坊  右:峰南荘)
ここでバッチを買っているうちに陽が差してきて
下山したら晴れるのはまずいパターン・・・やっぱり雨女かな?今年の私。

峰南荘は宿泊施設らしく食堂があってビールを売っていたのでついつい購入。
盛岡行きのバスが来るまで30分、岩手の大自然の空気を目一杯吸い込み、
いつまでもあの美しい花たちが伸び伸び咲いていられる山であって欲しい、と願いながらバスに乗りました。


雨とガスで全貌を見ることが出来なかったのは残念でしたが、
晴れに日に登ったら絶対感動するだろうなーーー



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この後、新幹線でその日のうちに東京へ戻る事も可能でしたが、ダンナの実家まで帰るのは不可能。
(なぜか盛岡から東京に帰るほうが近い・笑)
復興支援兼ねてやっぱり温泉に入りたいと、盛岡の繋温泉で一泊して行きました。
お湯はじゃばじゃばの源泉掛け流し、湯ノ花たっぷり、つるつるで素晴らしかったです。

散々飲んで食べて翌朝日曜日、部屋のカーテンを開けるとそこには・・・

 
目の前に快晴の空と岩手山・・・八幡平の山々・・
晴れるなんて・・・言ってなかったよね・・・



御所湖の公園から眺める岩手山からの稜線は、2009年に歩いた裏岩手縦走路かな。
わたしにとってあの縦走は一生忘れることのない素晴らしい山歩きだった。
あの日の事を思い出しながら、やっぱり岩手の山って優しくてふるさとを感じさせてくれると再認識。

どうしても一度歩きたかった、歩かなければ気がすまなかった早池峰山。これで少し心が落ち着きました。
まだ見ていないお花もある、景色も。少し時期を変えてまた来よう。
下界の車窓からは拝むことの出来ない早池峰山、もう一度全貌を見てみたいから。
来年以降今度は天気の良い日を狙うぞー、と再訪を誓ったのでした。


おしまい。


【行程】JRバスドリーム盛岡号:池袋23:40→盛岡駅6:30
    早池峰登山バス盛岡駅7:10→小田越バス停8:55
    小田越9:15~早池峰山頂~小田越14:30(お花の写真を撮りながらです)
    峰南荘前バス停15:33(小田越15:12)→盛岡駅16:55


※携帯トイレは河原の坊・小田越登山口で¥300で販売しています。
回収も登山口でしていますので必ず持参しましょう。

早池峰登山バスは6月10日~8月5日の土日祝のみ運行。
それ以外の時期はタクシー会社に予約すれば花巻駅=小田越間 片道約1万円で行ってくれるようです。
(メーターで乗ったら2万円以上かかる距離です)
★盛岡駅と花巻駅から路線バスがそれぞれ1日一往復のみ。
大迫(おおはざま)バスターミナルで石鳥谷駅へのバスはありますが本数はかなり少ない。
大迫~花巻駅間はタクシーで20分くらいの距離。
大迫~登山口まではバスで1時間20分くらいの距離。

※登山口にはなにもないと思ったほうが良いです、全て調達してからバスに乗りましょう。



オールフリーがボケボケ写真だけど、雨でも頑張ったと言うことで一応参加

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