Mr.Dashのぶろぐ館

奈良・大阪・日本アルプスの山々が大好きな、Mr.Dashのブログです。

2012年4月29日(日)愛媛・瀬場谷(下部)遡行(1)「落石」

2012年05月12日 | 沢登りの記録
今年のゴールデンウイークの山行予定は、四国・愛媛の赤石山系の沢を
巡ることだった。しかし、気持ちよく晴れたのは28日の移動日だけで、
あとは悪天候に阻まれ、計画変更の連続となった。

元々は、二ツ岳北側の、浦山川わさび谷の遡行を最初のターゲットにしていた。
順調に林道に向かったのはいいが、中ノ川登山口の手前5キロ近くのところで
林道は一部崩壊のため通行止め。地元のおっちゃんが軽トラで通りかかり、
状況を聞いたが、やはり入れない状態だとのことで、わざわざここまで来たのに
断念の憂き目。

途方に暮れつつも、しばらくガイド本と地図とにらめっこをして検討した結果、
銅山川瀬場谷を目指すことにした。

ぐるっと山域をクルマで回り込む。途中、マイントピア別子を通り過ぎる。
別子銅山の遺構を観光資源として活用しているテーマパークである。
ここからさらに、延々と続く山道を進み、筏津山荘へ。
ここは東赤石山の登山口でもある。



筏津山荘はこの4月に突然閉鎖されたようだが、まだ駐車は可能だった。
そこでクルマの横にテントを張り、まずは落ち着いた。
地酒の梅錦を飲みながらの宴会は、皆、先週の仕事と今日のハプニング疲れからか、
早々に寝てしまった。

29日の朝は5時に起床。さあ、いざ、瀬場谷へ!
メンバーはMr.Dash、ともちゃん、F山さん、ノブちゃんの4人。

瀬場谷は2級上のレベルらしいが、途中に3度、一般登山道が横切る。
登山道との交差がこれほどあるのに、「2級上」という高い難易度であると
いうことは、途中で結構、いやらしい箇所があるに違いない。
地形図には八間滝が記されており、これの50mの巻きがポイントの一つで
あることは間違いなさそうだ。

今年最初の足慣らしということもある。そこで、今日は完全遡行は最初から捨て、
登山道が横切る最初のポイントで遡行完了、もし、あまりにアッサリ行ける
ようならば2番目のポイントまで行くということにした。



瀬場谷川にかかる橋は、下流側に川床に下りる階段があった。
橋の下をくぐり、いよいよ遡行スタートである。
なんとなく、水量は多そうである。しかも冷たいっ!
足元のぬめりも強い。あまり濡れないように、慎重に行こう。



いきなり3段の滝があるが、釜が立派過ぎる。濡れたくないので迷わず巻く。



4段15mの滝は、左右にくねった姿が非常に美しい。
水量がもっと少なかったら、直登もできそうだが…ここも右岸を巻く。

たまたま、ともちゃんが先頭になり巻きにかかったが、
屹立した巨岩に阻まれ、うまく巻けない。
Mr.Dashが「あっ、これはもしや」と思った場所を20mほど登った地点で
見つけたのだが、さらに上部で、かなり不安定な斜面を黙々と登り続ける
ともちゃんに、それを合図しながら、結局はストップをかけなかったのが、
CLとして、後で非常に悔やまれる。

ボロボロの急峻なルンゼになり、右側へのエスケープはまだない。
ともちゃんは進退きわまり、岩にへばりついたまま、登れず、降りられずの
状態になり、ヘルプが発せられた。
Mr.Dashは、ともちゃんすぐ左横の、ものすごいボロボロルンゼの凹部を
モンキークライム気味に直登し、5m上で確保可能な立ち木を見つくろい、
お助け紐を投げたが、そのとき、登山靴大の石が足元から崩れてしまった。

下で待ち受けるメンバーを実際にかすって落下していったが、
まともに当たっていたら恐ろしいことになる。
これを見て、F山さんとノブちゃんは、ルンゼの凹部にいたら危険と
判断し、左岸にできるだけ退避したが、結果的にこれが超ファインプレーと
なるのだ。

Mr.Dashの左足の甲には、先ほどの落石の余波で、まだ、靴サイズの石が
乗っかっていた。「う、動けない」セルフビレイしつつ、左手をフリーにし、
岩を除去した。ここにいては危険。まずは自分が、ビレイした立ち木の上部に
エスケープせねばならない。

そう思い、次の足場に体重を乗せた瞬間、そこが崩れた。
一瞬、身体が浮く感じ。落ちる!
ビレイの手を引きつつ、立ち木にすがりつく。
電子レンジ大の落石が、下にいる3人目がけて2つ…

「ラク!」と叫んだときは、岩はもう3人の真横を過ぎ、轟音を立てながら
遥か谷底に飛んでいった。

「大丈夫か!!」ようやく立ち木の上に逃れて叫ぶ。
脳裏には、アタマが砕けたり、指がつぶされたメンバーの血まみれの姿がよぎる。
視線を送る。3人いる。とりあえず岩と一緒に落ちてはいない。
本当に幸いなことに、3人は無傷。本当に肝を冷やした瞬間だった。



「ごめん」と、ひたすら謝りながらも、まだ危険箇所は続くので息は抜けない。
ザクザクの岩場を若干、左に回り込みながら、結局は右の巨岩が切れるまで、
巻くこと50m。15mの滝のために、何をしているんだと大いに反省しつつ、
最後は懸垂下降で、もとの谷筋に戻ることになった。

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