後半戦に入ったリオデジャネイロ五輪。大会10日目の14日(現地時間)は、テニス男子シングルスで錦織圭選手が銅メダルを獲得。そして、レスリングの男子グレコローマンスタイル59Kgで太田忍選手が銀メダルを獲得しました。
テニス男子シングルス戦に出場している錦織は、この日の3位決定戦で元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン)と対戦。過去の対戦成績で1勝9敗と大きく負け越している相手と銅メダルをかけて争いました。
第1セット、第4ゲームまで錦織とナダルが共にサービスゲームをキープ。ナダルのサービスとなる第5ゲーム、ラリーの打ち合いから、ナダルドロップショット→錦織が拾う→ナダルがミスして、錦織が先行。その後、15-40と錦織ブレイクチャンスの場面で、ナダルが前に出るが、錦織がナダルの頭上を越すロブショットを決めてブレークに成功。これで波に乗った錦織は、第7ゲームもブレークに成功。第8ゲームもリードしてセットポイントを迎え、最後はサービスエースで第8ゲームも勝利。ゲームカウント6-2で錦織が第1セットを取りました。
第2セット、1-1で迎えた第3ゲームにナダルのサービスを錦織がブレークすると、第7ゲームも錦織がブレークし、第7ゲームを終えて錦織が5-2とリードし、銅メダルに王手をかけます。ところが、第8ゲームからナダルが執念の追い上げを見せます。第8ゲームと第10ゲームに錦織のサービスをブレークして5-5のタイに持ち込むと、第11ゲームでナダルがサービスをキープ。4ゲーム連取して5-6とナダルが逆転。第12ゲームは錦織がキープし、6-6のタイブレークに持ち込んだが、第13ゲームはナダルが6連続ポイントを奪い勝利(7-1)。ナダルが第2セット(6-7)をモノにします。
セットカウント1-1で迎える最終第3セット。2-1と錦織リードで迎えた第4ゲームに錦織がブレークを決める。第7ゲームは15-30とリードされますが、錦織が3連続ポイントを奪いキープに成功。ゲームカウント5-3で迎えた第9ゲーム、錦織が30-15からサービスエースを決めてマッチポイント。最後も錦織のサーブをナダルがうまく返せずゲームセット(6-3)。錦織がセットカウント2-1でナダルを下し、3位決定戦を制しました!
錦織選手が2時間49分に渡る激闘を制して銅メダル獲得。日本勢が五輪テニスでメダルを獲得したのは、1920年のアントワープ大会以来96年ぶりの快挙です。1セット目に第4ゲームから5ゲーム連続で奪い、2セット目も2度もブレークに成功したけど、その後に4ゲーム連取を許し、タイブレークにも敗れて逆転されたので、流れがナダルに傾くのかなと思いましたが、最後まで集中力を切らさずに戦いぬきました。この日はブレーク成功が5回もあり、サービスエースも7本決めました。最後のサーブなんかナダル選手の真正面に狙ってましたね。
あと、ナダル選手が錦織選手のトイレ休憩が長いという理由で審判に抗議したり、観客のマナーの悪さにイラつく場面もありました。観客もトイレ休憩を終えた錦織選手にブーイングを浴びせてましたね。それにナダル選手の応援も凄かったです…。テニスはマナーを守って見ましょう。
錦織選手はこの後、8月29日から始まる全米オープンテニスに出場。2年前は決勝に進出して準優勝を果たしたものの、昨年はまさかの初戦敗退。今年こそは日本人初の4大メジャー大会優勝を期待したいところです。
レスリングのグレコローマン男子59kg級の太田忍選手は、初戦から快進撃を見せました。
1回戦で前回のロンドン五輪で55Kg級金メダリストのハミド・スーリヤン(イラン)と対戦。第1ピリオドにスーリヤンがローリングで2点を先行、さらにバックを取って2点を追加し、4点を奪う。しかし、第2ピリオドに太田が反撃。相手が被さったところを返し技で2点を挙げ、残り1分15秒にはスーリヤンが3度目の「消極的姿勢」の警告を受けて太田に1点が入り3-4。そして残り10秒で太田がスーリヤンを場外に押し出して2点を挙げ、5-4と逆転。前回の金メダリストを破る大金星で初戦を突破します。
2回戦のアルマト・ケビスパエフ(ウズベキスタン)戦では、第1ピリオドに相手のローリング技を堪えると、逆に体を入れ替えて2点を先取。第2ピリオドでは反り技で2点、相手の投げ技を潰して2点を追加し、6-0で勝利。
準々決勝のスティグアンドレ・ベルゲ(ノルウェー)戦は、第1ピリオドにローリングで2点、第2ピリオドもタックルで倒して2点を加え、4-0で快勝。
勝てばメダル確定の準決勝は、ロンドン銀メダリストのロフシャン・バイラーモフ(アゼルバイジャン)と対戦。序盤から激しい組み手争いが続く中で迎えた2分過ぎに太田胴タックル→バイラーモフが投げ返して2点先取。しかしその直後、太田が起死回生の「がぶり返し」を決めて4点を奪い逆転。そのまま押さえ込んでフォール勝ち!鮮やかな逆転勝ちで決勝進出。
決勝戦は昨年の世界選手権で優勝したイスマエル・ボレロモリナ(キューバ)と対戦。第1ピリオドにボレロモリナが抱え込みからの投げ技で4点、さらにローリングで2点を挙げ、一気に6点を奪う。太田にとってはかなり苦しい展開。第2ピリオドには、ボレロモリナが太田のバックを取って2点追加。これで8-0となり、ボレロモリナがテクニカルフォール勝ちで金メダル。
初戦に金メダリストを破り、その後も格上を次々と撃破してきた太田選手。準決勝では先行されながらも逆転フォール勝ち。決勝では世界王者の前に完敗でしたが、銀メダルの大健闘。男子レスリングは女子に比べて隠れがちで、昨年の世界選手権でも惨敗。レスリング協会の会長も「男子がリオでメダル取れないと大変なことになるぞ」と言ってましたが、太田選手が銀メダルを取りました。これで男子レスリングは16大会連続でメダル獲得、グレコローマンに至っては2000年のシドニー大会以来16年ぶりのメダルです。
レスリングは今後、日本時間17日に女子48キロ級と女子58キロ級、18日には日本選手団主将・吉田沙保里選手が出場する女子53キロ級が行われます。吉田選手と伊調馨選手は五輪4連覇の偉業がかかっており、48キロ級の登坂絵莉選手は金メダルの本命と言われています。今大会のリオも女子レスリングの金メダルラッシュとなるでしょうか?