ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

国学院大学法学部「行政法Ⅰ」2011年度期末試験問題〔2012年1月27日出題〕の講評

2012年01月29日 21時10分37秒 | 受験・学校

 1月27日の15時から16時半まで行われた期末試験について、全体的な講評を記しておきます。問題文は http://kraft.cside3.jp/PrVwR33.htm に掲載しておりますので、御覧下さい。なお、大東文化大学の行政法1の後期末試験と同じ問題がありますが、これは意図したことです。

 私が予想していた通り、Ⅱを選択した学生が圧倒的に多かったのでした。これについては、大東文化大学のほうのⅢについてと同様のことが言えます。つまり、「ピントが絞り切れていない答案が目立ちました」ということです。ただ、国学院大学のほうが「行政庁の裁量処分に対する司法審査の方法」を記している答案が多かったことも事実です(但し、その差は僅かなものでした)。

 国学院大学のⅢも、大東文化大学のⅣと同じです。そのため、この問題についても大東文化大学の行政法1と同じことが言えます(http://blog.goo.ne.jp/derkleineplatz8595/e/f6c43f2f42ce1bdea3e23063b25a51b9)。

 国学院大学のⅠとⅣは、大東文化大学のほうで出題しておりません。

 Ⅰは、そこそこの出来であったとは思います。http://kraft.cside3.jp/verwaltungsrecht04-4.htm の東京高判昭和41年6月6日行裁例集17巻6号607頁、最三小判昭和62年10月30日訟務月報34巻4号853頁、熊本地玉名支判昭和44年4月30日判時574号60頁、および最三小判昭和56年1月27日民集35巻1号35頁に関する説明も参照してください(なお、租税法と信義則との関係については http://kraft.cside3.jp/steuerrecht07-2.html も参照してください。

 Ⅳも選択する学生が少なかったのですが、こちらは出来が分かれました。行政上の強制執行について、基本的概念の理解が不十分であったとも思われます。私は講義でしっかり説明したつもりではありますが、とりあえず http://kraft.cside3.jp/verwaltungsrecht19-4.htm も参照してください。

 極端に出来の悪い答案はほとんどなかったのですが、優れた答案もほとんどなかった、というのが総括です。

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大東文化大学法学部法律学科「行政法1」2011年度期末試験問題〔2012年1月27日出題〕の講評

2012年01月29日 01時49分02秒 | 受験・学校

 1月27日の9時半から10時半まで行われた期末試験について、全体的な講評を記しておきます。問題文は http://kraft.cside3.jp/PrVwR32.htm に掲載しておりますので、御覧下さい。

 私が予想していた通り、Ⅲを選択した学生が圧倒的に多かったのですが、それだけにピントが絞り切れていない答案が目立ちました。「行政庁の裁量処分に対する司法審査の方法について論じなさい」としたのですが、これについてあまり触れられておらず、要件裁量と効果裁量の概念の定義などに関する説明に費やされているのです。この問題については優れた答案が皆無であったと記してよいでしょう。

 Ⅲは司法審査の方法を問うているのですから、実体的な側面を審査する場合の方法、たとえば重大な事実誤認、目的違反、平等原則違反、比例原則違反などについて論じてほしかったところです。信義則違反もポイントの一つとなりえます。また、手続的な側面を審査する場合の方法についても論じてほしかったのですが、この点に触れている答案も皆無でした。

 次に多かったのはⅣへの解答でした。これは割にできていたと思われますが、行政契約との関係しか触れられていない答案もあり、行政指導との関係しか触れられていない答案もありました。また、「正当の理由」は不確定概念ですが、そのことから無理やり行政裁量論に引き込んでいる答案もありました。

 Ⅰについての答案も、割にできていたとは思います。これについては http://kraft.cside3.jp/verwaltungsrecht02-4.htm の最一小判昭和35年3月31日民集14巻4号663頁に関する説明も参照してください。

 Ⅱについての答案が最も少なく、1つしかありません。これについては http://kraft.cside3.jp/verwaltungsrecht06-4.htm の最一小判平成2年2月1日民集44巻2号369頁に関する説明も参照してください。

 極端に出来の悪い答案はほとんどなかったのですが、優れた答案もほとんどなかった、というのが総括です。

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