昨日(4月5日)付の朝日新聞朝刊38面14版に「婚外子相続格差 秋にも憲法判断 最高裁、7月に弁論」という記事が掲載されていました。小さいのですが、見落とせません。
現在、民法第900条第4号に関係する訴訟が最高裁判所に2件係属しています。それらについて、4月4日、大法廷が弁論を7月10日に開くことを決めました。
事実としてはこれだけなのですが、大きな意味を持っています。判例が変更される可能性は高いのです。既に「今年8月24日に大阪高等裁判所が出した決定は、今後の判例になるのか?」において、裁判所法第10条を引用しつつ記したことですが、最高裁判所大法廷は1995年7月5日に民法第900条第4号を合憲とする決定を出したのですが、これには反対意見も付されており、問題の根深さを示していました。その後も、最高裁判所は合憲という判断を繰り返していたのですが、その度に反対意見が付されていたのです。
上記朝日新聞記事にも書かれていますが、2010年から翌年にかけて、やはり民法第900条第4号に関して大法廷が審理を行いました。この時は当事者間の和解によって裁判が終了したため、大法廷の判断が示されていませんが、審理を行ったという事実が重要で、その影響は小さくありません。2011年8月24日、大阪高等裁判所は民法第900条第4号を違憲とする決定を出していますし、同年12月21日には名古屋高等裁判所が、規定そのものは合憲としつつも事案への適用を違憲とする判決を出しています〔この判決については、当ブログでも「名古屋高等裁判所の違憲判決」において取り上げています〕。
裁判とは別に(と記すべきでしょうか?)、民法の改正案が国会に提出される可能性があるようです。時期は来年あたりということらしいのですが、あるいは最高裁判所大法廷の判断を待つということでしょうか。
いずれにせよ、民法第900条第4号については見直しが不可避であるということです。この問題については、おそらく見解が分かれるでしょう。当然のことで、どの立場から見るかによって意見が異なりうるのです。子の立場から言えば「子は親を選べない(親は子を選べるかもしれないが)」ということでしょう。大分大学教育福祉科学部在職中、何かとこの言葉を口にしていました。