ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

寂しい第214回国会

2024年10月04日 00時00分00秒 | 国際・政治

 2024年10月1日に第214回国会が召集されましたが、石破茂内閣総理大臣が、召集日に行われる内閣総理大臣の指名より前の段階で衆議院の解散を公言していたためか、少なくとも議案の点からすると寂しい国会となっています(もっとも、以前にも同じような国会はありました)。

 まず、新たな内閣提出法律案が一つもありません。衆議院のサイトには内閣提出法律案として「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が示されていますが、これは第213回国会の内閣提出法律案第53号です。

 次に、第214回国会においては参議院議員提出法律案が一つもありません(10月3日午前中の段階で)。

 また、衆議院議員提出法律案は多いのですが、新規のものは一つもなく、最も古いものは第207回国会に提出されたものです(衆議院議員提出法律案第2号、同第3号、同第10号および同第11号)。前回の通常会である第213回国会に提出されたものも17本あります(衆議院議員提出法律案第2号、同第6号、同第7号、同第8号、同第9号、同第11号、同第12号、同第20号、同第21号、同第23号、同第24号、同第25号、同第26号、同第27号、同第29号、同第30号および同第32号)。

 いずれも、衆議院が解散されるならば審議未了により廃案となります。

 衆議院のサイトをもう少し見ていくと、「承諾の一覧」および「決算その他」という議案があるのですが、いずれも新しく第214回国会に提出されたものではありません。

 「承諾の一覧」を見ると、「令和五年度一般会計原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)」、「令和五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)」、「令和五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)」、「令和五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)」および「令和五年度特別会計予算総則第二十一条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書」が議案となっていますが、いずれも第213回国会に提出されたものです。

 「決算その他」をみると「これはどうなのか」と思わざるをえません。いずれも「NHK決算」という分類がされているのですが、「日本放送協会令和四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書」は第212回国会に提出されたもの、「日本放送協会令和三年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書」は第210回国会に提出されたもの、「日本放送協会令和二年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書」に至っては第207回国会に提出されたものです。

 「承諾の一覧」および「決算その他」とされる議案も、衆議院の解散によって審議未了の故に廃案ということになるでしょう。

 こうなると、第214回国会は、自由民主党総裁に選出された石破茂氏が内閣総理大臣に指名されるための国会であり、その指名が妥当であったかどうかを国民に問うための国会とも言えます。しかし、衆議院が解散されるならば参議院も閉会されますし、衆議院議員総選挙が行われた後に特別会となる第215回国会が召集され、再び内閣総理大臣の指名が行われます。そして、現在の石破内閣は総辞職し、新たな内閣が組閣されることとなります。

 


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