朝日新聞のサイトに、今日の17時3分付で「『スマホやめるか、大学やめるか』 信州大入学式で学長」という記事が掲載されています(http://digital.asahi.com/articles/ASH44578MH44UOOB007.html?iref=comtop_6_06)。興味深いので読んでみました。また、16時44分付で「信州大学・山沢清人学長の入学式あいさつ全文」という記事も掲載されています(http://digital.asahi.com/articles/ASH455FQGH45UEHF004.html)。
山沢学長が何を専攻されている方かを存じ上げませんが、読みますと鋭いところを突いているし、「その通り」と同感します。まずは次の部分です。
「ところで、新入生の皆様は、本日、大学受験から解き放たれたことになりましたが、もう勉強はしなくて良いなどとは考えていませんよね。」
昨日、電車の中で「大学に入ったらどの程度まで遊べるのか」などとほざいている連中がいました。大学(学部)の新入生なのか高校生なのかはわかりませんが、少なくとも理系の学部の新入生ではないようです。頭の中には遊びとアルバイトしかないようで、言葉を傍らで聞きながら「何を考えているんだ?」と言いたくなりました。
学長の「入学式あいさつ」に戻ります。
「創造性を育てるうえで、特に、心がけなければならないことは、時間的、心理的な『ゆとり』を持つこと、ものごとにとらわれ過ぎないこと、豊か過ぎないこと、飽食でないことなどが挙げられます。
自らで考えることにじっくり時間をかけること、そして時間的にも心理的にもゆったりとすることが最も大切となります。」
いずれも非常に大事なことで、それだけにバランスを取るのが難しいのですが、物事に慣れすぎてはいけない、あふれる物などに浸かりすぎてはならないということは言えるでしょう。学長は、脳科学者のDavid Eaglemanを引用して、周囲の世界に見慣れてしまうと脳の情報摂取量(さらに力)が少なくなるという趣旨を述べています。
そして、見出しに関わる部分です。ここは少し長めに引用します。
「残念なことですが、昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらでも無為に時間を潰せる機会が増えています。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの『見慣れた世界』にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。
『スマホやめますか、それとも信大生やめますか』 スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます。」
少し前に流行ったゲーム脳の話ではなく(いまだにテレビなどで主張している人がいて、血液型占いと同じようにあまりにひどい非科学性に辟易します)、ツイッターだのソーシャルブックだのと、電車の中であろうが歩きながらであろうが、時も場所も構わずスマートフォンをいじっている人が多く、一種の生活習慣になっているので、このことを病的であると表現しているのです。学生などと接しているとわかるのですが、これらに没頭しているというより、これらのことしか考えていない、頭にないような人が多いのです。もっと記すならば、人数の多寡はともあれ、一定の範囲に接触が限定され、その結果として入ってくる情報量も少なくなるし、質も低下するでしょう。結局、狭く閉じられた世界に自らを投げ入れ、意図とは関係なく、その世界から出られなくなってしまいます。
iPhone6を持っている私がツイッター、ソーシャルブック、ラインなどをやらない理由も、以上に記した点にあります。
今の学生に限らず、多くの人に望みたいところが、信州大学学長の「入学式あいさつ」に表現されていました。
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