昨日(2023年9月27日)の7時30分付で、朝日新聞社のサイトに「働く女性の割合、福井トップ『世代を超えて働く風土』 最下位は奈良」という記事(https://www.asahi.com/articles/ASR9Q5VHLR9QULLI001.html)が掲載されていました。興味深い記事だったので、取り上げておきます。
タイトルには「働く女性の割合」と書きましたが、これには条件があります。「配偶者がいる女性」ということです。以下、原則としてその意味で女性と記します。
今年の7月21日に、総務省が「令和4年就業構造基本調査」の結果を公表しました。そのうち、女性の有業率が最も高いのは福井県、最も低いのは奈良県です。京都府を挟んでいる訳で、南北でこうも違うのは何故か、ということです。
全国平均は56.3%でした。その上で、上位5県と下位5県を示しておきます。
①福井県:64.6%
②石川県:61.5%
③長野県:61.3%
④鳥取県:61.1%
⑤富山県:60.7%
(6位から42位までは省略されています。)
㊸宮城県:53.5%
㊹和歌山県:53.4%
㊺兵庫県:52.5%
㊻北海道:51.4%
㊼奈良県:49.1%
上位5県のうち4県が日本海側にあり、3県が北陸地方にあること、下位5県のうち3県は太平洋側にあり(兵庫県は太平洋側というより大阪湾側、瀬戸内海側ですが)、奈良県だけが50%を下回っている点が、非常に興味深い点です。
福井県がトップであることについては、埼玉大学の金井郁教授による「福井は歴史的に製造業が多く、通勤しやすい近さに職場がたくさんある。祖父母が同居していたり近くに住んでいたりして子どもを預けやすく、世代を超えて女性は働くものという規範が強い風土だった」という解説が載せられています。福井県の場合、「全国の生産量の9割を占める眼鏡産業や繊維、機械といった製造業で働く割合は16.7%を占め、全国平均の10.8%を大きく上回る。正社員の割合も46.4%と、全国平均の41.9%よりかなり高い」とのことです。但し、福井県における女性の管理職の割合は13.8%で、全都道府県で34位でした。
一方、奈良県が47位であることについては、東洋大学の鈴木孝弘名誉教授による「県内に事業所が少なく、大阪や京都などに働きに出る人が多い」という指摘が載せられています。これを読んで、少々古いデータですが、2012(平成24)年度決算額に基づく「人口一人当たりの税収額の指数」を思い出しました。地方法人二税〔法人道府県民税、法人市町村民税および法人事業税(地方法人特別譲与税を含まない)の合計額〕で指数が最も高いのは東京都で247.2であるのに対し、最も低いのは奈良県で43.5でした(ちなみに、福井県の指数は99.2です)。このことと無関係ではない話が上記朝日新聞社記事に書かれています。奈良県の「県外就業率は27.3%と全国3位(20年の国勢調査)で、平均通勤時間は全国7位の46分だった(21年の社会生活基本調査)」というのです(ただ、奈良県の地理を考えると、南部にはあてはまらないのではないでしょうか)。地方法人二税の指数との関連で記すならば、福井県、奈良県の事業所数をも示していただきたいものです。
また、福井県と奈良県の違いは、年齢別の女性の有業率にも示されています。奈良県の場合は、25歳〜29歳の有業率が最も高く(それでも全国平均より低い)、30歳〜34歳の有業率が低下すると、50歳〜54歳のところまでほぼ横ばい、それより上の年齢層になると急激に落ち込みます(ちなみに、「奈良は『夫が働き、妻は家庭』という家庭像に肯定的な人の割合が、全国で最も高いという結果が、2015年に内閣府がまとめた男女共同参画白書で出ていた」とのことです)。これは全国平均にも見られる傾向ですが、福井県には全く異なると書いてもよい顕著な特徴があります。それは、女性の有業率が最も高いのは40歳〜44歳および45歳〜49歳であり、かつ、25歳〜29歳から55歳〜59歳まで、女性の有業率が80%超のままということです。福井県の事情をよく知る者ではないので、かなり気になる点です。
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