〔今回は、2012年12月3日付で、私のホームページの「待合室」に第503回として(12月11日まで)掲載したものを再掲載します。但し、文章の一部を変更しています。また、以前このブログに掲載した記事と重複する部分もあります。〕
内部から12時35分発の近鉄四日市行きに乗りました。南日永駅のホームに「交通調査実施」の案内がありました。11月6日に行われるとのことでしたが、どのような結果になったのでしょうか。時期が時期だけに、廃止か存続かを判断するために行われる調査であることは明らかです。
12時45分、日永に到着しました。ここで八王子線に乗り換えます。八王子線の電車は、西日野行き、近鉄四日市行きのどちらも3番のりばに到着します。12時48分に日永駅を発車し、12時51分、終点の西日野に着きました。日永の次の駅ですので、すぐです。距離はわずか1.3キロメートルとのことです。
西日野駅です。無人駅で、自動改札機などはありませんので、ICカードも使えません。自動券売機はありますが、この写真では見えません。駅名標の真裏のような場所にあり、運賃表は反対側の壁にあるという、非常に使いにくく、わかりにくい配置となっています。この日は、御覧のように小学生が駅に入ってきました。遠足か社会科見学かはわかりません。
八王子線の終点はこの西日野駅です。内部線との分岐点である日永の次の駅ですから、線名にある「八王子」という名称の駅はありません。これだけでは昔の国鉄のローカル線などと同じということになりかねませんが、実は、かつて、西日野の先には室山と伊勢八王子という駅があり、伊勢八王子が終点でした。そのために、現在も八王子線という名称のままとなっています。もっとも、地元では西日野線とも言われているようです。
1974年、四日市市は集中豪雨に襲われました。この時、八王子線のそばを流れる天白川が氾濫し、八王子線は運休します。近鉄はこれを機に八王子線の全線廃止を打ち出すのですが、1976年、日永から西日野までは復旧し、運行を再開します。一方、日永から伊勢八王子まではそのまま廃止されました。この折に西日野駅は移動しており、日永から西日野までの距離も少しばかり短くなっています。
西日野駅前には自転車置き場があります。御覧のように自転車が多く、ほぼ満車という状態です。自転車置き場は他にもありました。この台数からして、廃止が議論されるような路線の駅とは思えません。どう見ても、この自転車は八王子線を利用する乗客の物です。平日の日中や休日はともあれ、通勤通学の時間帯にはそれなりに多くの客が八王子線を利用するはずです。
右側には昔ながらのおなじみの柵があります。その右側が廃線跡ということになります。この先、天白川に沿う形で伊勢八王子に向かっていたのです。
内部線の終点である内部駅の周辺とは違う雰囲気ですが、駅前には住宅が多く、通勤・通学のために八王子線を利用しうる住民は少なくないものと思われます。つまり、潜在的な利用客は少なくない、ということです。これだけ自転車が多いとなると、バスで処理するには大変かもしれません。
駅前の道路です。こちらはあまり通行量が多くないのか、閑散とした雰囲気が漂います。幹線道路とは言えないので、自動車が少ないのかもしれません。平日の日中という時間帯のためでもあるのでしょう。ただ、渋滞さえなければ自家用車を利用するほうが速い、ということは言えます。
バス停がありますが、本数などを確認していませんので、どのような状況であるのかはわかりません。水害のためとは言え、西日野から伊勢八王子までの路線が廃止されたことが、八王子線の輸送力を低下させたという可能性もあります。そうであるとすれば、八百津線の廃止によって広見線の新可児~御嵩まで廃止される可能性が出てきた名古屋鉄道と同様に、廃止による悪循環が生じるということも考えられます。
今となってはわかりませんが、八王子線はこの道路に沿う形で伊勢八王子まで走っていたのでしょう。上の写真では道路の左側に天白川が流れており、室山駅、伊勢八王子駅もこの川の沿いにありました。西日野駅も、元はこの交差点の右側、上の写真では右側の少し奥の辺り(ガードレールの右側)にあったようです。
私が日永から乗った電車です。ここで折り返し、そのまま近鉄四日市行きとなります。ク163、サ123、モ264の3両編成で、ク163はオレンジとピンクが混ざったような色、サ123はピンク色、モ264は黄色です。パステルカラーということなのでしょうが、やはり、こうも色がバラバラであるといかにも寄せ集めのような感じがしますし、車両の保守管理の面でもコストが高くつくような気がします。
幼少時から東急線のファンである私としては、せめて編成毎に色調を統一していただきたいものです。1990年代から、東急各線では、色といい、車両数といい、編成の統一が図られているため、非常によく均整がとれています。その点では大手私鉄でも美的感覚がとくに優れているのではないかと感じています。近鉄内部線・八王子線も、かつては近鉄の通勤車両の標準である色で統一されていました。そのほうが格調高いような気がするのです。
こうして、初めての訪問にして内部線・八王子線の全線に乗ることができました。たしかに昔よりは乗客が減少しているであろう、ということは否定できないのですが、沿線の人口が絶対的に少ない地域を走るローカル線などと比べれば、内部線・八王子線は、まだ多くの利用客を得る可能性が高い鉄道路線ではないでしょうか。それに、BRT化して便利になるとも思えません。線路を撤去したところで、軌道敷の幅が広くなる訳でもありません。単線の鉄道ですので、道路化しても一方通行でおしまいというところです。バス専用道路にしても離合場所(交換場所)が必要になります。軽便鉄道で残し続けるには経費がかかりますので、改軌して残すことはできないのでしょうか。近鉄四日市駅で接続する湯の山線も、元はと言えば軽便鉄道ですが、名古屋線と同じ1435ミリメートル(世界標準軌)に改軌したことで、特急が乗り入れる路線にまでになったのです(現在は乗り入れていませんが)。
考えようによっては、近鉄の路線であったからこそ、内部線・八王子線は生き残ったのかもしれません。軽便鉄道は、戦前からその多くが姿を消しており、戦後に残った所もほとんどが1970年代までの間に姿を消してしまいました。1990年12月には岡山県の下津井電鉄線も営業を終え、それから、富山県の黒部峡谷鉄道を除けば三重県内の路線のみとなったのです。しかも、北勢線、内部線、八王子線は、いずれも三重交通→三重電気鉄道→近畿日本鉄道という歴史を経ています。そうでなければ、3線とも1970年代までに全廃されていた可能性も高かったものと思われます。
しかし、今も軽便鉄道のままであるということで、かつては低額の資金で運用できた路線も、現在は高くつくこととなってしまいました。線路の幅がJR在来線や近鉄南大阪線などと同じ1067ミリメートルか、近鉄大阪線や名古屋線と同じ1435ミリメートルであれば、他の路線の中古車を導入するようなこともできます。実際、近鉄から分離した伊賀鉄道伊賀線には元東急1000系が走っています。しかし、内部線・八王子線の車両を更新するとなると、よそから中古車を購入する訳にはいきません。新車を発注しなければならないのです。これではコストがかかります。
何故、三重県に最後まで軽便鉄道が残り続けたのか。何故、近鉄が軽便鉄道を維持し続けたのか。私には不思議に思われてなりません。
(2014年8月28日に動画を追加)
バス専用道は各地の現状から考えても長続きしないように思われますし、並行道路の拡張も困難です。現行車両の更新をクリアしても、名鉄岐阜の悪例があるので油断できません。まず、赤字の原因を徹底的に究明する必要があり、限界とされている合理化に正当性があるのかを確かめなければなりません。
バス専用道という選択肢は、短期的には合理的なものなのかもしれませんが、長く持たないのではないかという気もします。北九州市内では、何箇所か、西鉄北九州線の跡がバス専用道として活用されていますが、バスの本数、利用客数などはどのようなものなのでしょうか。政令指定都市(とは言っても人口が100万を切った所ですが)や中核市でないと、バス専用道とするにも採算が合わないのではないでしょうか。もとより、計算した訳でもなければ、試算結果などを参照した訳ではありません。
昨年11月に内部線・八王子線に乗り、そこで体験したことを記事にしました。やはり、バス専用道とするには難しいと言わざるをえません。鉄道と同じような通行方法として、所々で交換場所を設けるのでしょうか。それではバス路線として不便であるとしか思えません。奈良県の五條市にあった国鉄バスの専用道路と同じような末路になるのではないかと危惧しています。
また、私は東松山市きらめき市民大学で仕事をすることがあります。東松山駅からかなり離れたところにあり、通常のバス路線がないので、コミュニティバスを使おうと思うのですが、時刻表を見ると一日5本くらいしかなく、しかも、朝のバスではきらめき市民大学に着くのが早すぎ、次のバスでは正午頃になってしまうという、実に不便なバスです。仕方がないので、タクシーを利用するか、私が愛車を運転するしかないのです。他の地域のコミュニティバスもこうなのでしょうか。
昨年の交通量調査当日の話です。その日はたまたま内部線南日永への所用(バスのほうが近いのですが)があり、わたしは名古屋線駅で調査票を受け取り、四日市駅で乗り換えのため改札出口(内部八王子線は一旦出場です。)を出ようとすると、調査票の回収を求められました。内部八王子線乗り換え客は四日市駅乗降扱いなのです。内部線四日市駅では交通量調査票の配布もありません。すでに近鉄線ではないといった扱いには、釈然としないものを感じました。
11月6日の交通量調査のことは、かなり気になっていました。内部線・八王子線の調査のはずだったと思うのですが、名古屋線の改札口で調査票の回収とは、一体何の調査なのかわかりませんね。まして、内部線・八王子線の四日市駅では配布すらなされていないのでは。
ですので調査を別の日に設定した意図はともかく、白蛾さんの受けた扱いは正当なはずです。
調査については内部事情については存じませんが、個人的には直通データを取る必要性と人件費などの兼ね合いなのではないかと思ってます。物理的に直通できない線区の直通データを取った所で使い道は限られそうですし。
ただ個人的には当日見聞きした状況の方が気になります。というのは自分は11/6にフリーきっぷで利用して、ついでにスタンプラリーもやってきたのですが、ラリーポイントになっている商店で商店主が車で来ていたお客さんとの話の中で「なくなっちゃうんじゃないですかね?」と言っていたのを聞いたので、地元の方々も意外に冷めているというか期待していないような感じを受けました。