ウクライナが非常に気になっています。知識などがあれば、こちらについて書きたいほどですが、現段階ではその力量がありません。気になりながら校正作業を進めたりもしています。
川崎市の南部と北部を縦貫するJR南武線は、宮前区および麻生区を除く全区を通るとともに、川崎駅、武蔵小杉駅、武蔵溝ノ口駅、登戸駅という主要地点を結んでいます。国鉄時代から数少ない黒字路線の一つでもあり、とくに武蔵小杉駅から武蔵溝ノ口駅までの区間はラッシュ時の混雑が激しいことでも知られています。
その南武線は、やや大雑把ですが1980年代に武蔵小杉駅から第三京浜道路(武蔵新城駅と武蔵溝ノ口駅との間。但し、武蔵新城駅から徒歩10分程の場所です)までの間が高架化され、その後、矢野口駅付近から南多摩駅付近までの間も高架化されました。そして、現在、川崎市では矢向駅から武蔵小杉駅までの間の高架化事業を進めようとしています。
今年(2022年)の1月に川崎市がパンフレットを発行しており、概要を知ることができます。矢向駅は横浜市鶴見区にあり、しかもかつては電車区であった電留線があるので、ここは地上のままのようです。ただ、矢向駅を出るとすぐに高架区間に入り、鹿島田駅、平間駅および向河原駅が高架化される予定とされています。向河原駅と武蔵小杉駅との間に東海道新幹線および横須賀線・湘南新宿ラインの高架線があるので、向河原駅を出ると坂を下り、高架線と交差する地点付近で地上区間に入ります。距離はおよそ4.5kmです。
高架化により、塚越踏切など9箇所の踏切がなくなることとなっています。また、幸区にある南武線の駅が全て高架駅となりますし(尻手駅は既に高架駅ですが)、中原区にある南武線の駅も武蔵小杉駅を除いて全て高架駅となります。
川崎市は「計画目的」として「計画区間の踏切(9箇所)を除却し、踏切を起因とする交通渋滞の解消、地域分断の解消、高架下の活用による賑わいの創出などを図る」ことを掲げており、総事業費としておよそ1,387億円としています。ただ、実際に施工すればこの金額で済まなくなると思われます。
踏切の解消は確かにメリットを産み出します。交通渋滞に限りません。人身事故などの危険も減少します。
しかし、問題もあります。行政法の講義でよく取り上げられる小田急高架化訴訟では、騒音、振動の他に事業費もあげられました。この訴訟では地下化のほうがコストが低いと主張されたのです。最近では京王線の高架化事業についても同様の主張がなされています(緑風出版から刊行されている、海渡雄一・筒井哲郎『沿線住民は眠れないー京王線高架計画を地下化にー』が参考になります)。また、コンクリートの風化などの関係もあり、高架化より地下化のほうがよいという意見もあります(海渡・筒井・前掲書をお読みください)。
もう一つ、南武線の武蔵小杉駅から第三京浜道路までの間の高架化を間近に体験した者としては、本当に「地域分断の解消」や「高架下の活用による賑わいの創出」という効果があるのか、少々疑問が残ります。
この話題については、また、機会を見て取り上げるつもりです。
そう言えば、1970年代前半、東急田園都市線の高津駅も地上駅でした。
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