ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

この記事は読んで欲しい(とくに経済学者などに)

2012年04月17日 01時24分16秒 | 社会・経済

 4月15日付の朝日新聞朝刊39面14版に「町工場が消える  東京・大田区 30年で半減」という記事が掲載されています。デジタル版には、同日の3時付で「大田区の町工場、30年で半減   生産の海外シフト響く」として掲載されています(http://digital.asahi.com/articles/TKY201204140485.html?id1=2&id2=cabcaebf)。

 この記事は、とくに消費税増税論者によく読んで欲しいと思っています。また、経済学者などに熟読して欲しいものです。いつも思うのですが、日本の経済学者のうち、どれだけの人が、日本の産業を本当の意味で支えてきたものが何であるのかを知っているのか、という疑問があるからなのです。

 最近はあまり言わなくなりましたが、私は「部品屋の息子」を自称しています。とくに大分大学教育福祉科学部に勤めていた時は、弁護士や税理士、さらには公務員などに対し、口頭で、あるいはメーリングリストで「部品屋の息子」という言葉を使っていました。その理由は、私の出自によります。小学生時代(など)に医療機器の部品の運搬を手伝ったことがありますし、その部品への塗装も手伝ったことがあります。上手く行っていたら、私も部品屋になっていたかもしれません。あいにく、あまり器用ではなく、図画工作も美術も苦手なために、私は最終的に法律屋となったのでした。

 大学院を出て、28歳で大学の専任講師となり、法律屋とか経済屋とかの人々と接したりしたのですが、こうした人たちは、接する機会が多いはずなのに、意外なほどに中小企業や零細企業のことを知らないので、川崎市に生まれ育った私は何度も驚かされ、呆れさせられました。川崎市は町工場の多かった所なのです。今住んでいる溝口の周辺はとくに多かったのですが、ここ20年ほどでかなり少なくなってしまいました。

 そんな私は、川崎市や東京都大田区から町工場が少なくなっていることを真剣に憂えている者の一人です。日本人の多くは、自分たちを優れた技術や知恵などを持つ国民だと、過剰なほどに思い込んでいますが(本当にそうであれば、どうしてインボイス方式の消費税に反対するのでしょうか?)、少なくとも一部分については当たっています。困ったことに、その当たっている部分は大企業が持っていると思い込んでいる人があまりに多いのです。たしかに、大企業は知識をたくさん抱えているでしょう。しかし、本当の技術と知恵は中小企業や零細企業が持っている。こういうことが多いのです。それは、東京都大田区や川崎市に多かった町工場が実証しています。

 電器製品を分解すればわかりますが、東芝、日立、松下、ソニー、シャープ、などの大手企業の製品の部品は、同じ会社が作っていたりします。どうかすると同じ型番です。そんなことも知らない人が多いので、私は驚いたのです。

 「これでよく経済屋をやっているな」

 「トウシロでもわかることがトウクロにわからないとはね」

 それはともあれ、先程記した記事は、現在の日本、今後の日本を考えるためには必読です。

 〔注〕

 法律屋:世間で言う法曹や法律家を意味する、私自身の言葉で、講義などで多用しています。かなりの部分で卑称となっています。

  経済屋:経済学者、経済アナリスト、公認会計士、税理士などの稼業を漠然と指す私自身の用語。

 トウシロ:いわゆる逆さ言葉で、素人のこと。トウシロー、藤四郎などとも記します。

 トウクロ:これも逆さ言葉で、玄人のこと。これは私自身の言葉ではないかと思います。藤九郎と書いてもよいかもしれません。


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