ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

弘南鉄道への財政支援/JR北海道への支援策

2021年01月25日 00時00分00秒 | 社会・経済

 今回は二題です。「鉄道関係二題」でも同じようなことを行っており、今回も北海道と青森県を取り上げますが、順番は逆になります。

 

 このブログで二度、弘南鉄道を取り上げました(「弘南鉄道の大鰐線が廃止されるか」および「鉄道関係二題」)。東急線に乗り慣れた者としては一度乗りに行きたいのですが、このCOVID-19の状況では難しいことも承知しています。二度目の非常事態宣言が延長される可能性(いや、蓋然性)が高いと言える状況なので、早くて今年の5月以降になるだろうと考えていますが、2021年中に弘前市へ行こうかと考えています。

 このようなことを書いたのは、朝日新聞社のサイトに2021年1月24日9時付で「弘南鉄道の支援拡大 沿線の4市村、路線の維持に 青森」という記事が掲載されているからです(https://digital.asahi.com/articles/ASP1R6QJLP1QULUC00P.html)。

 財政支援は、1月22日に弘前市長が明らかにしたことで、弘前駅から黒石駅までの路線である弘南線の線路、車両整備費などの一部を、2021年度から10年間、同線の沿線自治体(弘前市、黒石市、平川市、田舎館村)が負担するというものです。詳細は2020年度内に決めるようです。

 弘南線は2016年度まで黒字路線でした。そのために、一度も黒字になったことがないと言われる大鰐線を維持することもできたのです。しかし、弘南線が赤字では社内補塡もできません。

 記事には何時からということが書かれていませんが、弘南鉄道は設備整備費の補助を国、青森県、沿線市町村が分担して行ってきたそうです。そして、これまで補助されていなかった事項についても補助の対象にするとのことです。

 また、弘前市長は、1月22日に要望書を青森県知事へ手渡しました。これは弘前圏域8市町村によるもので、内容は弘南線への財政支援、国の補助率引き上げに向けた働きかけです。

 弘南線でも存続問題が発生しているようであれば、大鰐線はさらに厳しい状況に追い込まれていることは想像がつきます。歴史的経緯により、両線は弘前市を通っているにも関わらず、接続をしていません。これも原因の一つなのかとも考えるのですが、よくわかりません。

 ちなみに、弘南鉄道において現在使われている旅客輸送用車両は全て東急東横線などを走っていた初代7000系で、やはり東急東横線などを走っていた初代6000系も大鰐線の津軽大沢駅に留置されているのですが定期運用などはされていないようです。

 

 そして北海道へ飛びます。朝日新聞社のサイトに2021年1月24日10時30分付で「北海道が観光列車取得し無償貸与 JR北に異例の支援策」という記事が掲載されています(https://www.asahi.com/articles/ASP1R6W0NP1RIIPE00J.html)。読んでみて「これが有効な支援策なのか?」と思ったのですが、とりあえずは紹介しておきます。

 1月23日に北海道知事が「異例の支援策」を明らかにしました。JR北海道が導入する予定の観光列車用車両を、北海道高速鉄道開発という第三セクターが取得した上で、道がJR北海道に貸し付けるというものです。既に国は2021年度から3年度間で1302億円ほどの支援策を示しており、北海道も支援策を示した、という訳です。北海道高速鉄道開発は道内の鉄道路線の施設や車両を貸し付ける会社で、北海道やJR北海道が出資しています。宗谷本線などの高速化、札沼線(桑園〜北海道医療大学)の電化も手掛けており、設備を保有してJR北海道に貸し付けているので、今回の支援策は範囲を拡大したということになります。

 それにしても、どうして観光列車なのかと思ったのですが、JR北海道が2020年度か2021年度に40億円ほどを、しかも2種類を導入する予定であったということです。定期の旅客用車両で老朽化しているものが多いのだからそちらを更新するほうが先だろう、観光列車を増強してもそれほど集客力が増大しないだろう、定期の運用に使う車両がひどければサービスは低下するから乗客はさらに減るだろう、などと考えられるのですが、逆に定期の利用は減るだけ減ったから観光列車を新しくするしかない、ということなのかもしれません(これは相当に末期的な話ですが)。また、観光列車は宗谷本線や石北本線などの利用促進策として考えられているようです。

 観光列車以外の補助策はどうなのか。北海道、沿線自治体の財政負担が増えることになるものと予想されるので、支援策に含まれていないようです。


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