ポータブルシーケンサーの名機 YAMAHA QY70
を オーバーホールしてみました。
目的は
1.バックアップ用の電池が切れてしまった。
2.ボタンの接触が悪く、PATTERN ボタンなどは全く機能しなくなっていました。
3.電池を入れるケースカバーが無くなって、穴が開いたみっともない状態
これを、一挙に解決しようということです。
電池交換については、結構インターネットに方法が上がっているのですが、その後のオーバーホールについては、分解手順を詳しく説明したものが見つからなかったので、自力で行った分解方法を詳細に記録しておきます。
1.まず、裏側のねじ5本を外します。
ただのプラスのスクリューねじです。このごろヘキサゴンだの、なんだの、個人では分解しにくい構造のものがあるのに対し、さすが、1997年製造のMADE IN JAPAN 製(発売当時の希望小売価格: 51,450円(税込) )。メンテナンスに対する配慮もばっちりです。
ただし、このねじがむちゃくちゃ固い。かつ、ねじ山も小さいので、精密ドライバーでは力が入らず苦しいです。 ラチェットドライバー必須です。
2.あければ、すぐにバックアップ用電池にアクセスできます。
100均ショップの100円ボタン電池。CR2032。中国製の2個入りもありましたが、信用できないので、マーレーシア製の1個入りを購入。この交換作業情報はインターネットにたくさん上がっており助かりました。
ただ、重要なことが書いてありません。このボタン電池、交換の時に金属のピンセットなどを使うと、電池がショートして一挙に電池容量が少なくなる可能性があります。腕時計電池交換用のプラスチック製ピンセットがあればこれを使いましょう。
前の電池は錆ていましたが液漏れしてなくてよかったです。交換は数秒で終わりました。
一応、ここで電源を入れてみて、FACTORY SET の画面が表示されることを確認します(リセットされますのであとは、普通に使えます)。これで、バックアップ電源復活です。
3.ここから、さらに分解を進めます。
周りにキラキラの縁取りがある穴にささった上方のねじを左右2つ(赤の矢印)を外します。ところが一向に基盤が外れません。どこかに隠れたねじがあるのかと目を凝らしますが、どう見ても外したねじのみです。
少し無理して持ち上げると、なんか向かって下のほうがくっついています。無理して基盤が壊れると困るのでハタと困ってしまいましたが、何回かやるうちに、何のことはない、ねじ穴のプラスチック部品(黄色の矢印)がしっかりと基盤にはまっていただけのことがわかりました。そこでここにドライバーをあてて、基盤をまっすぐ持ち上げれば力を加えなくとも外れます。
4.液晶をとめている金属プレートが現れます。
外した基盤との接続コードに気を付けてさらに止まっているねじをすべて外します。液晶のねじ(青いたくさんのコードがつながったところ)は外したくなかったのですが、これを外さないと、金属プレートは外れないようです。
5.液晶のついている基盤に気を配りながら、金属プレートを持ち上げると、ゴムボタンスイッチ用の基盤が現れ
さらにねじを外して、この基盤を取り去ると、とうとうゴムのボタンスイッチの部分に到達します。
他の方のブログにもありましたが、ゴムスイッチは1枚のプレートになっています。大量生産に向いた構造ですね。
どういう仕組みでスイッチが入るのか文科系の私にはわかりませんが、見るからに受け側の基盤の素子(というのでしょうか)がくすんでいかにも接触不良になっている感じです。
この際徹底的にゴムのプレートを中性洗剤を湿した綿棒、布を使ってきれいにしました。もしかしたら水気は問題だったかも。よく拭き取ってドライヤーで乾かします。
その後、接点復活剤を綿棒に湿して、基盤側、ゴムスイッチ側をよく拭きます。基盤の素子にゴムの成分が付着して黒くなっていたのがわかります。これが接触不良の原因だったのでしょう。
![]() KURE/呉工業 接点復活スプレー 220ml/NO1424 |
ここで、本当に接点が復活したか、スイッチの基盤を仮止めし、電源を入れて動作を確認します。
OKです。スムーズに画面が変わります。大成功です。
あとは、外したねじを忘れないように止めながら基盤を戻していけば完成です。
最後に無くした電池カバーをアルミ板を加工したもので塞げばオーバーホール完成です。
ちょっとフランケンみたいですね。
ずっと押し入れにしまっていた方、試してみてください。QY70は現在でも現役で通用するツールですね。