世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

ある母親からの訴え

2011年12月31日 | 人生
昨日


見知らぬ電話番号から


一本の電話がかかってきた。





不審に思いつつ


出ると




「○○の母親でございます」


と相手は名乗った。




「息子がそちらでお世話になっているそうで」


「いえ、いえこちらこそ○○君にはいつもお世話になっております」


型通りの挨拶が済むと




母親は、


「実は・・・」


と切り出した。




「その息子のことでご相談が」



そこで一旦母親は口ごもった。




「かじ様のことはかねがね聞いておりましたが


お電話を差し上げていいものかどうか



恥をさらすようで、


迷っておりました」






ボクは


やっときたか、


という気がした。






彼のことは


ずいぶん前にも


このブログで取り上げたことがある。





39歳になる彼は


今まで一切働いたことがない。




彼と知り合って


かれこれ7~8年になるが、




ここ数年


ボクをしたってきてくれている。





ボクは再三


彼に仕事を進めた。




彼には


才能がある。



頭がいい。




ただ


その使い方を知らないだけだ。







時に彼はお金を使う。




おもに

食べることと、


学ぶことに。




結構なことのように聞こえる。




「あの子は、お金を使うことが仕事なんです」


と、母親は言う。




月に


10万、20万は当たり前、



今月は



60万以上使った、と。





何とうらやましい限りではないか。



そんな大金がどこから出るのか。




もちろん


その母親が与えているからだ。



「お金をやらなければいいと


皆さんおっしゃるんですけど、




やらないと


暴力をふるったり、


物を壊したりで。




挙句、

年金暮らしの84歳の祖母のところに行って



お金をせびります」





なるほど。




だが何にそんなお金を使うのか。



「東京によく行くんです。


一昨年は14回、


昨年は17回、




今年は21回も行っています。



その都度飛行機代とホテル代がかかります」





もっともな話だ。




「ここ2~3か月は


関東の某大学の講義を受けるといって


毎週のように東京に行っています。




主人は、空港まで一時間以上かけて送り迎えをしております」





至れり尽くせりの


お坊ちゃま扱いだ。





彼は


携帯電話も持たなければ


パソコンも使えない。





ボクによく


検索を頼んでくる。




確かに


東京の施設や宿泊所などが多かった。




本の検索も多く、


歴史に関する内容が主だった。





彼は


歴史にめっぽう強い。





だから


ボクは



その道に進むよう

彼に示唆している。




彼も

その点は分かってはいるようだが



具体的に何をするのかが見つからない。





彼の向学心は


異常に強い。




いつまでも


学生でいたいのだろう。



それも


どうやら大学に憧れがあるようだ。






それを

母親の言葉から理解できた。




彼は


県下随一の進学高校でトップクラスにあった。


生徒会長もしたらしい。




彼は


東大の法学部を受験した。




合格するのが当然のように。





だから

滑り止めも、


浪人するなどということは




彼の頭な中には全くなかった。



そして

ものの見事に



滑った。





「そこからです、


息子がおかしくなったのは」





母親は

ため息交じりにつぶやいた。



まさに


絵に掻いたような



脱落パターンだ。





引き籠りにもよくあるケースだ。






ただ

彼の場合、



反対に

出たがりなだけである。




最近では


パーティやセミナーにもよく顔を出すようになった。




ボランティアも数か所で行っている。





それに


大食漢である。



「小さい時から


食べ物は何でも沢山与えてました。




今でもよく食べます。

恥ずかしいくらいです」




彼は


よく



バイキングを利用する。



それも


一流ホテルの。




ボクもよく彼から勧められた。





パーティーでも


よく食べる。




お開きになった後でも

まだ食べている。








本の虫でもあるらしい。




月に


数万円、


書籍代に使うそうだ。





母親の話から


彼の元凶がすべて浮かび上がってきた。





たぶん


彼の頭は

永遠の大学生で



思考停止いているのだろう。






「かじ様、助けてください。


私たちは


毎日泣いております。



親とお金はいつまでもないことを


息子に教えたいのですが



どうしたらいいのか分からないのです。



助けてください」





電話の向こうの母親の声は



悲痛な叫びになっていた。







「分かりました、


考えてみます。



少し時間を下さい」




ボクはそう答えて


電話を切った。




小一時間が


経過していた。

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