お袋の下着を洗濯して干しながら、想った。
後期高齢者と呼ばれる79歳、老人保健施設で暮らしている。
すっかり気概をなくしたその母の姿が目に浮かぶ。
人はこうして皆歳をとって、一歩一歩死に近づいていくのだナー、って。
空しい感情を覚える。
思えば、ずいぶん苦労を掛けてきた。
記憶がボクの目頭を熱くする。
ボクが小学生のころ、両親は一度離婚した。
それから、母はボクを残して、単身上京して行った。
母は母なりに、そのときも一度青春や恋を見つけたかったのだろう。
母はその負い目をズット引きずって生きてきたのかもしれない。
父が死んで、一人になった母は 「死にたい」 と漏らしたこともある。
ある新興宗教にのめり込んでしまったこともある。
老いた今、車椅子の上でその負い目まで抱え込んでしまっているかのようだ。
今は、その言葉さえ吐く気力もない。
ジッとそのときがくるのを待っているかのように。
ボクの三人の子供たちも、親の背中をジッと見つめているのだろう。
模範になろうとは想わない。 また、なり得ない。
上の娘は、もうすぐ母になる。
自分を信じ、人の道に悖(もと)らない生き方をして欲しい。
後期高齢者と呼ばれる79歳、老人保健施設で暮らしている。
すっかり気概をなくしたその母の姿が目に浮かぶ。
人はこうして皆歳をとって、一歩一歩死に近づいていくのだナー、って。
空しい感情を覚える。
思えば、ずいぶん苦労を掛けてきた。
記憶がボクの目頭を熱くする。
ボクが小学生のころ、両親は一度離婚した。
それから、母はボクを残して、単身上京して行った。
母は母なりに、そのときも一度青春や恋を見つけたかったのだろう。
母はその負い目をズット引きずって生きてきたのかもしれない。
父が死んで、一人になった母は 「死にたい」 と漏らしたこともある。
ある新興宗教にのめり込んでしまったこともある。
老いた今、車椅子の上でその負い目まで抱え込んでしまっているかのようだ。
今は、その言葉さえ吐く気力もない。
ジッとそのときがくるのを待っているかのように。
ボクの三人の子供たちも、親の背中をジッと見つめているのだろう。
模範になろうとは想わない。 また、なり得ない。
上の娘は、もうすぐ母になる。
自分を信じ、人の道に悖(もと)らない生き方をして欲しい。