カンボジア経済

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デジタル通貨ランキング カンボジアが2位に

2021年04月29日 | 経済
 大手会計事務所の英プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した「中央銀行デジタル通貨(CBDC)グローバル・インデックス 第1号2021年4月」のリテール部門で、カンボジアはアジア第1位、世界第2位となりました。このインデックスの目的は、中央銀行デジタル通貨の普及に関する各中央銀行の成熟度を測定することにあります。対象となる中央銀行デジタル通貨は、一般国民が保有可能な「リテールCBDC」と、銀行間でのみ使用可能な「卸売りCBDC」の二つに分類されます。また、この報告書では、中央銀行デジタル通貨の2021年の注目すべきトレンドとして、CBDCプロジェクトが牽引力を得つつあること(60以上の中央銀行が検討中であり、国際決済銀行等の国際機関も注目)、CBDCが実際に取引され注目されていること(バハマとカンボジアの2カ国で実用段階)、ブロックチェーン技術が採用されていることの3点を挙げています。
 リテール部門のランキングは、第1位バハマ(スコア92点)、第2位カンボジア(83点)となっています。以下、中国(75点)、ウクライナ(71点)、ウルグアイ(71点)、エクアドル(71点)、東カリブ諸国連合(61点)、スウェーデン(58点)、韓国(51点)、トルコ(42点)の順となっています。点数の要素は、CBDCプロジェクトの現状、中央銀行の取り組み姿勢、一般の人々の興味の3点となっています。
 カンボジアのCBDCであるバコンについては、カンボジア国立銀行が2020年10月に公式に使用を開始し、国内11機関だけでなく、マレーシア等の銀行とも連携をテスト中として、評価しています。また、多くの国民が銀行へのアクセスが不十分な中で、スマートホンを活用した金融包摂の促進、銀行間即時決済、ドル化経済の中での現地通貨リエルの使用促進等にも効果があると分析しています。また、地方部の金融セクター開発や中小企業向け金融の振興にも役立つとしています。
 開発途上国では、先進国が一段ずつ登ってたどり着いた最新技術を一気に導入して、先進国に追いつき追い越していく「蛙飛び(リープフロッグ)」という現象がみられることがあります。カンボジアのCBDCバコンは、正にその好例ということができます。日本銀行は、銀行業界等への配慮もあって、CBDCについてようやく検討を始めたばかりです。カンボジアでは日本のようなしがらみが少ないため、最新技術を開発して一気に導入可能という利点を活かしていくことが可能であり、今後のこうした分野での発展が大いに期待されます。
(写真は、中央銀行デジタル通貨バコンの運用開始式典)

プライスウォーターハウスクーパースの報告書(英文です)
https://www.pwc.com/gx/en/industries/financial-services/assets/pwc-cbdc-global-index-1st-edition-april-2021.pdf


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