11月10日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)と国際協力機構(JICA)は、カンボジアのドル化に関する報告書「Cambodian Dollarization: Its Policy Implications for LDCs’ Financial Development」を「を紹介するセミナーを開催しました。セミナーには、報告書を共同編集したNBCのチア・スレイ総裁、JICAの緒方貞子平和研究所の奥田英信客員研究員他多数が参加しました。
原始共産制を標榜したポル・ポト政権は、1970年代に通貨を廃止し、中央銀行も爆破して破壊してしまいました。ポル・ポト政権がプノンペンを追われた直後の1980年3月20日に、通貨「リエル」が再導入されました。しかし、その後の内戦等の混乱もあって、カンボジアではドル化が進み、2020年12月時点で外貨預金対通貨供給量(M2:自国現金通貨+自国通貨預金+外貨預金)の比率は84%となっています。
ドル化は、カンボジアへの海外投資誘致にはプラスの効果があります。一方、中央銀行による金融政策(政策金利や通貨供給量調節等)実施が困難であること、ドルと他通貨(円、ユーロ、中国人民元、タイバーツ等)の為替変動にさらされること等のドル化のマイナス面も目立ってきています。NBCでは、脱ドル化のプラス面として、地方部での金融アクセス改善、外貨準備の強化、通貨発行益の確保、偽札の排除等も訴えています。
NBCでは、脱ドル化を緩やかに進める方針で、公務員給与のリエル建て化、株式市場の建値のリエル使用等、リエルの使用促進を段階的に進めています。また、中央銀行デジタル通貨バコンによるリエル使用促進効果にも大きく期待しています。
報告書では、カンボジアのドル化の現状やこれまでのリエル使用促進の取り組み、他国の事例等を分析したうえで、今後のリエルの使用促進に向けた提言を行っています。NBCが日本等の協力も得つつ、今後とも地道な努力を続けていくことが期待されます。
(写真は、カンボジア国立銀行のフェイスブックより)
カンボジア国立銀行のフェイスブック(クメール語です)
https://www.facebook.com/nationalbankofcambodiaofficial/posts/pfbid0j9bR5AtaCg5P1Exf4k9FaiBjTunVQ3pPaJCNuUxyebyi2h7eqJSVUDJo9Fv8KcCzl
JICAのサイト
https://www.jica.go.jp/jica_ri/research/growth/growth_20131227-20170331.html
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原始共産制を標榜したポル・ポト政権は、1970年代に通貨を廃止し、中央銀行も爆破して破壊してしまいました。ポル・ポト政権がプノンペンを追われた直後の1980年3月20日に、通貨「リエル」が再導入されました。しかし、その後の内戦等の混乱もあって、カンボジアではドル化が進み、2020年12月時点で外貨預金対通貨供給量(M2:自国現金通貨+自国通貨預金+外貨預金)の比率は84%となっています。
ドル化は、カンボジアへの海外投資誘致にはプラスの効果があります。一方、中央銀行による金融政策(政策金利や通貨供給量調節等)実施が困難であること、ドルと他通貨(円、ユーロ、中国人民元、タイバーツ等)の為替変動にさらされること等のドル化のマイナス面も目立ってきています。NBCでは、脱ドル化のプラス面として、地方部での金融アクセス改善、外貨準備の強化、通貨発行益の確保、偽札の排除等も訴えています。
NBCでは、脱ドル化を緩やかに進める方針で、公務員給与のリエル建て化、株式市場の建値のリエル使用等、リエルの使用促進を段階的に進めています。また、中央銀行デジタル通貨バコンによるリエル使用促進効果にも大きく期待しています。
報告書では、カンボジアのドル化の現状やこれまでのリエル使用促進の取り組み、他国の事例等を分析したうえで、今後のリエルの使用促進に向けた提言を行っています。NBCが日本等の協力も得つつ、今後とも地道な努力を続けていくことが期待されます。
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