アジア開発銀行(ADB)は、4月3日に「アジア経済見通し2020年版(Asian Development Outlook (ADO) 2020)」を発表しました。
新型肺炎の影響を受けて、2020年のGDP成長率は2.3%(前回6.8%)に大きく引き下げられました。2021年には5.7%にまで回復すると見ています。新型肺炎感染拡大の直接的影響に加え、中国経済の大きな落ち込み、先進諸国のマイナス成長、輸出市場の落ち込み等の影響を受けるとしています。第三次産業が観光客の減少や不動産の低迷により最も大きく影響され、成長率はマイナス1.7%と予測されます。輸出向けの縫製品製造業や建設業の低迷を受けて、第二次産業の成長率は、6.5%に留まります。農業の成長率は0.5%程度と見ています。
物価上昇率は、2020年2.1%(前回2.5%)、2021年1.8%と安定的と見ています。政府支出は、新型肺炎対策で増加するものの、公的債務の伸びは限定的で、対外債務については引き続き低リスク国となるとしています。経常収支の赤字は、対GDP比19.0%にまで拡大します。輸出の伸びの大幅低下、観光収入の減少等によるものです。しかし、外国直接投資等により、外貨準備は増加すると見られ、2020年末で206億ドル(輸入の9か月分以上)に達すると見ています。
リスクとしては、世界経済の不況による予想以上の輸出需要の落ち込み、不動産向けの銀行貸付の不良債権化等を挙げています。
最後に、アジア開発銀行は、カンボジアに対して、現地通貨リエル建ての国債発行を提言しています。国債発行によりカンボジアの債券市場を育成し、社債の発行増加による企業の資金調達の多様化、長期的投資を行う機関投資家の育成、リエルの使用促進等の効果が期待できるとしています。政府は既に政府証券法の改正に取り組んでおり、それを基に中期的な債券市場開発のロードマップを作成していくことが必要と提言しています。
なお、今次レポートでは、新型肺炎の影響の分析が中心ですが、「アジアでのイノベーション促進」についてのレポートも含まれています。
(写真は、ADBの発表より)
アジア開発銀行のサイト(和文)
https://www.adb.org/ja/news/developing-asia-growth-fall-2020-covid-19-impact
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新型肺炎の影響を受けて、2020年のGDP成長率は2.3%(前回6.8%)に大きく引き下げられました。2021年には5.7%にまで回復すると見ています。新型肺炎感染拡大の直接的影響に加え、中国経済の大きな落ち込み、先進諸国のマイナス成長、輸出市場の落ち込み等の影響を受けるとしています。第三次産業が観光客の減少や不動産の低迷により最も大きく影響され、成長率はマイナス1.7%と予測されます。輸出向けの縫製品製造業や建設業の低迷を受けて、第二次産業の成長率は、6.5%に留まります。農業の成長率は0.5%程度と見ています。
物価上昇率は、2020年2.1%(前回2.5%)、2021年1.8%と安定的と見ています。政府支出は、新型肺炎対策で増加するものの、公的債務の伸びは限定的で、対外債務については引き続き低リスク国となるとしています。経常収支の赤字は、対GDP比19.0%にまで拡大します。輸出の伸びの大幅低下、観光収入の減少等によるものです。しかし、外国直接投資等により、外貨準備は増加すると見られ、2020年末で206億ドル(輸入の9か月分以上)に達すると見ています。
リスクとしては、世界経済の不況による予想以上の輸出需要の落ち込み、不動産向けの銀行貸付の不良債権化等を挙げています。
最後に、アジア開発銀行は、カンボジアに対して、現地通貨リエル建ての国債発行を提言しています。国債発行によりカンボジアの債券市場を育成し、社債の発行増加による企業の資金調達の多様化、長期的投資を行う機関投資家の育成、リエルの使用促進等の効果が期待できるとしています。政府は既に政府証券法の改正に取り組んでおり、それを基に中期的な債券市場開発のロードマップを作成していくことが必要と提言しています。
なお、今次レポートでは、新型肺炎の影響の分析が中心ですが、「アジアでのイノベーション促進」についてのレポートも含まれています。
(写真は、ADBの発表より)
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