カンボジア経済

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新型肺炎で カンボジアでも中国からの原材料調達に影響

2020年03月03日 | 経済
 新型肺炎で経済停滞が続く中国からの原材料輸入が滞り始めており、カンボジアの産業界、特に縫製業に影響が出始めています。カンボジア縫製製造業協会(GMAC)によりますと、カンボジアの縫製産業では、中国からの原材料調達率が60%以上を占めるため、新型肺炎の影響による中国の工場の操業停止等により、カンボジアの縫製工場の原料調達に影響が出ているとしています。既に10社程度の縫製工場が操業停止となっており、3000人の労働者に影響が出ているとしています。また、3月一杯この状況が続いた場合、200工場で原材料の在庫が底をつき、操業停止等で16万人の労働者が影響を受ける見込みであるとしています。なお、一時帰休の労働者に対しては、最低賃金の6割が支給されることとなっています。最低賃金の4割は雇用者負担、2割は政府負担で支払うスキームとなっています。
 日系企業にも影響が出ている模様で、プノンペンに進出している日系企業では、原材料の調達元となる中国の工場再開が延期されており、近隣諸国で代替調達先を探しているとしています。また同社は、中国の自社工場で生産する商品のカンボジアでの代替生産も検討中とのことです。JETROの調査によりますと、カンボジア進出の日系製造業の原材料・部品の調達先は、ASEAN(27.5%)、中国(26.9%)、日本(25.4%)の順となっています。周辺諸国と比べても、中国への依存が高く、中国の生産停滞の影響を直接受ける可能性が高いものと見られます。
 こうした中で、フン・セン首相は、中国の王文天駐カンボジア大使に対し、中国からカンボジアへの原材料輸出の支援、具体的には、中国から船舶に加えて航空機を活用した原材料の輸出支援を要請しました。王大使は、「原材料供給についてはカンボジアを最優先に、中国の関係方面から特別な対応を検討している」と応え、カンボジアへの原材料供給について小規模ロットは空輸で、大規模ロットは船便での対応を検討していると述べたとのことです。
 カンボジア縫製業は、EUの特恵関税制度EBAの一部停止に加え、新型肺炎問題による世界経済の停滞、中国での原材料等の生産停滞等の影響を受け始めており、官民での対策強化が必要となっているものと見られます。



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