国連開発政策委員会(CDP)は3月4日から8日にかけて実施した後発開発途上国(LDC)リストの3年に1度の見直しで、カンボジアのLDCからの「卒業」を勧告しました。また、LDC卒業に向けた準備期間については、通常の3年から延長し、5年が必要としました。2024年を起点として5年の準備期間を経た2029年にカンボジアはLDC卒業となります。
また、3月19日、日本貿易振興機構(JETRO)主催のカンボジアLDC卒業セミナーがオンラインで開催されました。まず、名古屋大学のンガウ・ペンホイ氏より、卒業までのスケジュールと概要が説明されました。また、JETROプノンペン事務所の藤田奈緒氏よりカンボジアLDC卒業が日系企業に与えうる影響について、JETRO貿易投資相談課の石川雅啓氏よりカンボジアから日本輸出におけるEPA利用の流れについて説明がありました。
現在、カンボジアを含む46カ国が後発開発途上国に分類されています。後発開発途上国と認定される基準は、一人あたり国民総所得(GNI)(3年間平均):1018米ドル以下、HAI(Human Assets Index:人的資源開発の程度を表すための指標で、栄養不足人口の割合、5歳以下乳幼児死亡率、妊産婦死亡率、中等教育就学率、成人識字率を指標化したもの):60以下、EVI(Economic Vulnerability Index:外的ショックからの経済的脆弱性を表すための指標。人口規模、地理的要素、経済構造、環境、貿易のショック、自然災害のショックから構成):36以上、の3つとなっています。
また、後発開発途上国を卒業する基準(2024年)は、一人あたりGNI(3年間平均):1306米ドル以上、HAI:66以上、EVI:32以下となっています。カンボジアは、現在の暫定値で、GNI:1546ドル、HAI:77.7、EVI:23.3と、卒業基準を満たすレベルに改善していました。
後発開発途上国に対しては、欧米や日本から特別特恵関税等の優遇措置が与えられています。カンボジアもこの点を活用して、縫製品や靴を先進国に無関税で輸出し、輸出を増大させてきました。
カンボジアが後発開発途上国から卒業した場合には、こうした特恵関税の資格を失う等のネガティブな影響も大きいものと見られるため、政府として影響緩和策を検討し、着実に実施していく必要があります。具体的には、自由貿易協定の拡充や投資環境の整備等、十分な準備を行う必要があるものと見られます。また、民間企業にも二国間自由貿易協定やRCEP等に関する理解と活用が期待されます。このため、移行期間について、カンボジア政府は、通常の3年間より長い5年間への延長を求めていました。
なお、世界銀行が定める一人当たり国民総所得(GNI)による分類(2022年)では、カンボジアは、既に低所得国(貧困国)を卒業し、低位中所得国(一人当たりGNI:1046~4095ドル)となっています。カンボジア政府としては、2030年までに高位中所得国(一人当たりGNI:4096~1万2695ドル)への移行を目標としています。
(写真は、発展が続くプノンペン中心部)
JETROのサイト
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/03/606de1ec27928704.html
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また、3月19日、日本貿易振興機構(JETRO)主催のカンボジアLDC卒業セミナーがオンラインで開催されました。まず、名古屋大学のンガウ・ペンホイ氏より、卒業までのスケジュールと概要が説明されました。また、JETROプノンペン事務所の藤田奈緒氏よりカンボジアLDC卒業が日系企業に与えうる影響について、JETRO貿易投資相談課の石川雅啓氏よりカンボジアから日本輸出におけるEPA利用の流れについて説明がありました。
現在、カンボジアを含む46カ国が後発開発途上国に分類されています。後発開発途上国と認定される基準は、一人あたり国民総所得(GNI)(3年間平均):1018米ドル以下、HAI(Human Assets Index:人的資源開発の程度を表すための指標で、栄養不足人口の割合、5歳以下乳幼児死亡率、妊産婦死亡率、中等教育就学率、成人識字率を指標化したもの):60以下、EVI(Economic Vulnerability Index:外的ショックからの経済的脆弱性を表すための指標。人口規模、地理的要素、経済構造、環境、貿易のショック、自然災害のショックから構成):36以上、の3つとなっています。
また、後発開発途上国を卒業する基準(2024年)は、一人あたりGNI(3年間平均):1306米ドル以上、HAI:66以上、EVI:32以下となっています。カンボジアは、現在の暫定値で、GNI:1546ドル、HAI:77.7、EVI:23.3と、卒業基準を満たすレベルに改善していました。
後発開発途上国に対しては、欧米や日本から特別特恵関税等の優遇措置が与えられています。カンボジアもこの点を活用して、縫製品や靴を先進国に無関税で輸出し、輸出を増大させてきました。
カンボジアが後発開発途上国から卒業した場合には、こうした特恵関税の資格を失う等のネガティブな影響も大きいものと見られるため、政府として影響緩和策を検討し、着実に実施していく必要があります。具体的には、自由貿易協定の拡充や投資環境の整備等、十分な準備を行う必要があるものと見られます。また、民間企業にも二国間自由貿易協定やRCEP等に関する理解と活用が期待されます。このため、移行期間について、カンボジア政府は、通常の3年間より長い5年間への延長を求めていました。
なお、世界銀行が定める一人当たり国民総所得(GNI)による分類(2022年)では、カンボジアは、既に低所得国(貧困国)を卒業し、低位中所得国(一人当たりGNI:1046~4095ドル)となっています。カンボジア政府としては、2030年までに高位中所得国(一人当たりGNI:4096~1万2695ドル)への移行を目標としています。
(写真は、発展が続くプノンペン中心部)
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