カンボジア経済

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カンボジアで 900MWのLNG火力発電所の起工式

2024年10月23日 | 経済
 10月16日、カンボジア南西部のコッコン州で、900MWのLNG火力発電所の起工式が開催されました。発電所は、カンボジア最大手の財閥であるロイヤルグループが建設・運営するもので、総投資額は13億4000万ドル(約2010億円)に達します。450MWの2基のコンバインドサイクル発電設備で構成されます。1号機の商業運転は2027年4月を目指すとしています。
 カンボジアは、脱炭素化を進めるために新規の石炭火力発電所を建設しない方針を打ちだしており、ロイヤルグループが計画していた700MWの石炭火力発電所の代替としてLNG火力発電所を建設する計画に変更したとしています。
 LNG火力発電とは、液化天然ガス(LNG)を燃料として使用する火力発電のことです。LNGは、天然ガスを液化させたもので、環境面や経済性に優れた火力発電の燃料として利用されています。また、 LNGは、石炭や石油と比較して、燃焼時のCO2排出量が最も少なく、硫黄酸化物(SOx)や煤塵を排出しない点も石炭等と比べて有利な点とされています。通常は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電設備を使用し、発電効率を高めています。
 LNGは、輸入するにあたって、受け入れ基地が必要となります。カンボジアにはまだ基地がなく、現在はコンテナで輸入を行っています。今回の発電所については、火力発電所建設と合わせて、LNGを輸入するための陸上基地も建設したいとしています。なお、コッコン州沖のタイとの海上国境未画定地域では、カンボジアとタイとの合同での海上油田・ガス田の開発が交渉中であり、早期の交渉妥結による開発とガスの供給が期待されます。
 カンボジアにとって、電力の安定供給、低廉な価格での電力供給は、経済発展のために欠かせない重要な課題となっています。他方、脱炭素化のために石炭火力発電所の新設を行わないとすると、代替電源として、太陽光発電等の不安定な電源の割合が増えることとなります。LNG火力発電は、起動が早く発電量の調整も容易であるため、こうした再生可能エネルギーの不安定さを補強する点からも、必要性が高いと言えます。カンボジア政府のバランスの取れたエネルギー政策が期待されます。
(写真は、クメールタイムズ紙より)


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