カンボジア経済

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2020年の最低賃金 190ドルで決着

2019年09月24日 | 経済
 2020年1月1日から適用されるカンボジアの最低賃金は、190ドル/月で決着しました。現在は182ドルで、4.4%の上昇となります。最近の最低賃金の上昇は、2012年61ドルから2013年80ドル(31.1%増)、2014年100ドル(25.0%増)、2015年128ドル(28.0%増)と急激なものがありましたが、労働諮問委員会で客観的基準を使用し始めた2016年は140ドル(9.4%増)、2017年153ドル(9.3%増)、2018年170ドル(11・1%増)、2019年182ドル(7.1%増)と上昇幅が落ち着いてきています。2020年は、米中貿易戦争等で世界経済に不透明感が広がる中、客観的基準に沿った、想定の範囲内の概ね妥当な金額となったものと見られます。
 最低賃金は、政府、雇用者、労働組合の3者の代表28名が参加する労働諮問委員会で討議されてきました。雇用者側は184.5ドル、労働者側は199ドルを要求していましたが、9月20日の会議で投票が行われ、政府案の187ドル(2.7%増)が多数を得て、労働大臣に答申されました。この結果を受けて、フン・セン首相は、毎度おなじみの鶴の一声で3ドル増額を加えることを決定し、最終的に190ドルで決着しました。使用者側からの意見もあって、フン・セン首相による追加額はこれまでの慣例だった5ドルから3ドルに縮減されました。
 内需振興のためにも、最低賃金の引き上げは必要不可欠ですが、急激な上昇は外国投資家の懸念となっていました。カンボジア政府では、最低賃金の検討に当って、労働生産性上昇率や物価上昇率等の客観的基準を2016年の最低賃金から使用し始めており、雇用者側も労働者側も納得感が高い決定方式が次第に定着しつつあります。ベトナムよりも高くなっているとの声もありますが、社会保険料や手当等を含めた実支払額では、カンボジアの方がまだまだ低いのが実情です。しかし、当面、労働集約型産業に頼る必要があるカンボジアとしては、周辺国との外資誘致競争に負けないよう、周辺諸国の賃金レベルも配慮する必要が高まっていると見られます。



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