カンボジア経済

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カンボジア2027年にLDC卒業へ 影響緩和策の検討へ

2023年02月10日 | 経済
 2月2日、カンボジア商業省の年次会合で、オウン・ポン・モニロット副首相兼経済財政大臣は、商業省及び関係省庁に対し、2027年に予想されるカンボジアの後発開発途上国(LDC)からの卒業に対する準備に万全を期すように求めました。
 現在、カンボジアを含む46カ国が後発開発途上国に分類されています。後発開発途上国に対しては、欧米や日本から特別特恵関税等の優遇措置が与えられています。カンボジアもこの点を活用して、縫製品や靴を先進国に無関税で輸出し、輸出を増大させてきました。カンボジアが後発開発途上国から卒業した場合には、こうした特恵関税の資格を失う等のネガティブな影響も大きいものと見られるため、政府として影響緩和策を検討し、着実に実施していく必要があります。
 後発開発途上国と認定される基準は、一人あたり国民総所得(GNI)(3年間平均):1018米ドル以下、HAI(Human Assets Index:人的資源開発の程度を表すための指標で、栄養不足人口の割合、5歳以下乳幼児死亡率、妊産婦死亡率、中等教育就学率、成人識字率を指標化したもの):60以下、EVI(Economic Vulnerability Index:外的ショックからの経済的脆弱性を表すための指標。人口規模、地理的要素、経済構造、環境、貿易のショック、自然災害のショックから構成):36以上、の3つとなっています。
 また、後発開発途上国を卒業する基準は、一人あたりGNI(3年間平均):1222米ドル以上、HAI:66以上、EVI:32以下となっています。カンボジアは、現在既に、GNI:1377ドル、HAI:74.3、EVI:30.6と、卒業基準を満たすレベルに改善しています。このため、次回2024年に予定される国連のレビューで検討され問題なければ、カンボジアからの要請が必要ではありますが、レビューから3年間の移行期間を経た後の2027年にカンボジアは後発開発途上国を卒業することとなります。
 後発開発途上国からの卒業に備えて、自由貿易協定の拡充や投資環境の整備等、十分な準備を行う必要があるものと見られます。カンボジア政府の着実な対応が期待されます。
 なお、世界銀行が定める一人当たり国民総所得(GNI)による分類(2022年)では、カンボジアは、既に低所得国(貧困国)を卒業し、低位中所得国(一人当たりGNI:1046~4095ドル)となっています。カンボジア政府としては、2030年までに高位中所得国(一人当たりGNI:4096~1万2695ドル)への移行を目標としています。
(写真は、カンボジアからの輸出を支えるため、日本の円借款で整備されたシアヌークビル港)

国連の後発開発途上国のサイト(英文です)
https://www.un.org/development/desa/dpad/least-developed-country-category.html

世界銀行の途上国分類(英文です)
https://blogs.worldbank.org/opendata/new-world-bank-country-classifications-income-level-2022-2023


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