カンボジア経済

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中央銀行 リエル建て口座開設を促進 全ての法人対象に

2024年11月22日 | 経済
 11月1日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行とカンボジア商業省は、リエルの使用促進に関する通達を連名で発出しました。この通達では、すべての金融機関において商業登記済の企業がドル建て口座だけでなくリエル建ての口座も保有するように促進していくとしています。このために金融機関やリエル建て口座を持たない企業に協力を呼びかけています。
 カンボジアは高度にドル化された経済であり、金融取引の8割、預金の9割以上が外貨建て(主に米ドル)となっています。
 ドル化は、カンボジアへの海外投資誘致にはプラスの効果があります。一方、中央銀行による金融政策(政策金利や通貨供給量調節等)実施が困難であること、ドルと他通貨(円、ユーロ、中国人民元、タイバーツ等)の為替変動にさらされること等のドル化のマイナス面も目立ってきています。NBCでは、リエルの使用促進(脱ドル化)のプラス面として、地方部での金融アクセス改善、外貨準備の強化、通貨発行益の確保、偽札の排除等も訴えています。
 カンボジア国立銀行は、リエルの使用促進に向けて、リエルに対する信頼感を高める努力、金融リテラシーを向上させるための活動、中央銀行デジタル通貨バコンの導入、統一QRコードであるKHQRの導入等によるリエル建てデジタル決済の推進等に取り組んでいます。
 カンボジア国立銀行のチア・スレイ総裁は、高度にドル化されたカンボジア経済において、慎重に時間をかけてリエルの使用促進を進めたいとしています。具体策として、労働者への給与のリエル化を促進したいと意欲を示しています。
 高度にドル化した経済が「脱ドル化」することは、大変に難しい政策課題の一つです。一歩間違うと、アルゼンチンやトルコのように自国通貨の暴落や激しいインフレ等の弊害を招く可能性もあります(アルゼンチンペソは、2000年には1ドル=1ペソでしたが、最近は1ドル=1000ペソ程度にまで減価しています)。カンボジアが少しずつ着実に脱ドル化を進めていくことが期待されます。
(写真は、建設中のカンボジア国立銀行本店)



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