新型コロナ カンボジアの状況 5月3日 ロックダウンを延長

　カンボジアは、新型コロナウイルスの感染は、他国に比べればまだ低いレベルにありますが、国内感染に歯止めがかからなくなりつつあります。5月2日の保健省の発表によれば、死者は103名(4月25日から29名増)です。累計陽性者数は1万4520名（同4545名増）となっています。治癒数は5369名（同1969名増）です。先週の新規陽性者のうち、4541名は2月20日市中感染事件による陽性者でした。それ以外の先週の海外帰国・入国者の新規陽性は4名でした。
　国内でのクラスターとしては、11月3日事変（陽性者4名：終息済）、11月28日市中感染事件（陽性者41名：終息済）に加え、2月20日市中感染事件が発生しました（4月25日現在陽性者1万3967名）。今回の感染は、中国人女性が隔離ホテルから賄賂を使って脱走し、クラブやサービスアパートメント等で感染を広げるという悪質なケースでした。なお、海外帰国者の陽性者も、空港での検査や2回目以降の検査等で引き続き発見されています。
　4月26日、プノンペン都及びタクマウ市のロックダウンは、4月29日から5月5日まで1週間延長されることが決定されました。この際、レッド、オレンジ、イエローの3種類のゾーンに各地区を指定して、イエローゾーンについては移動制限がなくなる等の規制緩和がありました。他方、レッドゾーンでは厳しい外出規制が敷かれ、特に貧困世帯等ではその日の食糧にも困るという例も見られた模様です。このため、政府では、商業省による食料購入のためのサイト開設や移動販売車の導入等を行いました。また、貧困世帯向けの食糧配布も行いましたが、届かない地区もあり、4月29日には食料をよこせと主張するデモも一部地域で起きました。その後、イオンのオンラインショッピングも利用できるようになりました。
　この他、酒類の販売・提供禁止は、4月25日から5月8日まで2週間延長されています。州を越える移動禁止は、4月25日に解除され、併せてアンコール遺跡の入場禁止も解除されています。
　ワクチンについては、4月28日に中国医薬集団（シノファーム）製の新型コロナウイルスワクチン40万回分が到着しました。5月10日には、シノバック製のワクチン100万回分が到着する予定とのことです。政府では、プノンペン等のレッドゾーンの住民に優先的にワクチン接種を進めることとし、軍も動員して5月1日から接種を開始しました。5月1日だけで、2万3658人に接種したとのことです。
　4月22日、カンボジア日本人商工会（JBAC）は、オウン・ポン・モニロット経済財政大臣と、プノンペン都のコウン・スレン知事宛に、新型コロナウイルス対策のロックダウン下の製造工場や物流の早期再開に関する要望書を提出しました。JBACでは、感染拡大防止策として厳格なロックダウンを実施する重要性は理解しつつも、2週間の稼働停止は事業継続に悪影響を及ぼすだけでなく、他国に発注がシフトすることで、カンボジア全体の雇用機会や投資機会が失われる可能性があるため、要望書の提出に至ったとしています。
　カンボジアでは、感染拡大に歯止めがかからないことから、夜間外出禁止・州を越える移動の禁止・酒類販売禁止・外食禁止等の規制を矢継ぎ早に導入し、ついにはプノンペン等のロックダウンに踏み切りました。カンボジアの陽性者数や死者数は、欧米や日本に比べると圧倒的に少ないのですが、医療体制が脆弱という弱点があり、いわゆる医療崩壊の懸念が残ります。なお、各種の規制は、頻繁に変更され、即時適用されることが多い上、州毎に異なりますので、日本大使館のサイト等を十分にご確認ください。
(写真は、ロックダウンと市場閉鎖で人影もないセントラルマーケット付近。4月29日撮影)

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在カンボジア日本国大使館のサイト
https://www.kh.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000431.html


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