11月12日、ASEAN 関連首脳会議のためにカンボジアを訪問したバイデン米国大統領は、フン・セン首相と首脳会談を行いました。会談で両首脳は、ワシントンで開催された米国ASEAN特別サミットの成功や、米国ASEANの包括的戦略パートナーシップの確立等を歓迎するとしています。また、ミャンマー問題やロシアのウクライナ侵攻についても協議されました。
首脳会談で、バイデン大統領は、カンボジア南部のリアム海軍基地問題を取り上げました。米国等は、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると批判しており、中国軍の拠点拡大の兆候として警戒しています。リアム海軍基地は、シアヌークビル空港の南の海岸にある小規模な基地で、現在は、桟橋が1本あるだけです。また、周辺海域は、水深が浅く、大型船舶の入港は現状では困難と見られます。直ちに中国軍の軍事拠点となるのは難しいものの、タイ湾の湾口を押さえる重要な戦略拠点となりうる場所にあり、万が一にもこの基地が中国の手に落ち、中距離ミサイル等を配備された場合、タイや周辺諸国との海上サプライチェーンの安全保障に重大な脅威となりかねません。また、3300メートル級の滑走路を有する空港が近いこともあり、航空輸送で展開可能な電子戦部隊の進出等も危惧されます。
米国としては、絶対に譲れない一線(レッドライン)を明確にカンボジア側に伝える意図があるものと見られます。また、米国が何度も執拗にこの問題を取り上げているのには、それなりの理由があるものと推測されます。本件の取扱いはカンボジアにとって非常に重要なものとなりかねません。米中対立激化の中で綱渡り外交を続ける小国カンボジアにとって、慎重な対応が必要な状況と見られます。
米国ホワイトハウスの発表(英文です)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/11/12/readout-of-president-joe-bidens-meeting-with-prime-minister-hun-sen-of-cambodia/
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首脳会談で、バイデン大統領は、カンボジア南部のリアム海軍基地問題を取り上げました。米国等は、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると批判しており、中国軍の拠点拡大の兆候として警戒しています。リアム海軍基地は、シアヌークビル空港の南の海岸にある小規模な基地で、現在は、桟橋が1本あるだけです。また、周辺海域は、水深が浅く、大型船舶の入港は現状では困難と見られます。直ちに中国軍の軍事拠点となるのは難しいものの、タイ湾の湾口を押さえる重要な戦略拠点となりうる場所にあり、万が一にもこの基地が中国の手に落ち、中距離ミサイル等を配備された場合、タイや周辺諸国との海上サプライチェーンの安全保障に重大な脅威となりかねません。また、3300メートル級の滑走路を有する空港が近いこともあり、航空輸送で展開可能な電子戦部隊の進出等も危惧されます。
米国としては、絶対に譲れない一線(レッドライン)を明確にカンボジア側に伝える意図があるものと見られます。また、米国が何度も執拗にこの問題を取り上げているのには、それなりの理由があるものと推測されます。本件の取扱いはカンボジアにとって非常に重要なものとなりかねません。米中対立激化の中で綱渡り外交を続ける小国カンボジアにとって、慎重な対応が必要な状況と見られます。
米国ホワイトハウスの発表(英文です)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/11/12/readout-of-president-joe-bidens-meeting-with-prime-minister-hun-sen-of-cambodia/
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