・セラピストの仕事は、新しい心のエネルギーの埋まっている鉱脈を、クライアントと一緒に探して行くことです。
じっとしていては見つかりません。セラピストは、クライアントと一緒に考えたり、揺らしたり、亀裂を入れたり、場合によってはとりあえう掘ってみたりします。そのうち、ふとした瞬間に、クライアント自身が、鉱脈を見つけるのです。それが、セラピーのプロセスです。
・私が初めてオープンダイアローグを知った時、「複数の専門家が関わって、クライアントが混乱しないのか?」という疑問を持ちました。でも、実際に摂り入れてみると、そうした混乱が起きることはありませんでした。先ほどのたとえで言えば、複数の人たちが新鉱脈探しに関わることになるわけで、むしろクライアントが興味をもつのです。
さらに、オープンダイアローグには、リフレクティングという独特のプロセスがあります。リフレクティングにおいては、専門家同士が(クライアントを交えすに)クライアントとのセッションで起こっていることについて話し合い、クライアントは、それをただ見ています。このリフレクティングでは、クライアントが自分の状況を俯瞰的に見つめることができるのです。これは、言わば、新鉱脈発掘の進捗状況と今後の展望を確認するような時間になります。
オープンダイアローグにおいては、専門家たちとクライアントによるセッションとリフレクティングの組み合わせによって、セラピープロセスがとても動きのあるものになります。
・「好奇心に伴う疑問」を投げかけるというのは、実は多くの日本人が苦手なことです。・・・
フィンランドでは「どうして?」という言葉がよく使われます。
・「この疑問は、この場にふさわしいものなのだろうか?」という考えを少し横に置く意識を持てが、「好奇心に伴う疑問」を自分に投げかけることができるようになります。
そして、「好奇心に伴う疑問」を投げかけることによって、対話がスタートするのです。
・対話とは
①私とあなたは違うということ(違いがあるからこそ、その違いについて興味が生まれ、対話が始まる)
②私とあなたは違う言葉を話しているということ(言葉には、人それぞれ、特有の背景がある)
③私は、あなたがわからないということ(「あなたがわからない」というところから始める)
④私が大事にしていることを、あなたも大事にしてくれているとは限らないということ(自分の大事なものを、他人にも理解してもらい、共有したい)
・セラピーは、ほとんどダイアローグで成立しています。ですから、ダイアローグができないとセラピーはできないと言ってもよりでしょう。
・オープンダイアローグの中で、
ポリフォニー(複数の声部が対等に扱われるもの)は、対話において中心的な立場を認めないという考え、を示しています。
・効果的なリフレクティング
①分析・解釈はしない。助言・予言はしない。判断・診断はしない。
②描写はOK
③断定的な話し方、批判は控える
④「ああもこうも」という対の言葉を用いることもある。
⑤多少自信のないような話し方でも構わない
⑥自分の体験を延々と話すのはよくないが、「そういえば、こんなことがあった・・・」程度のことはよい。
⑦ほかのメンバーの声に過度に同調するのは好ましくない。
⑧参加者について否定的なことは言わない。
⑨強い感情がわいてきて言葉に詰まっても、混乱しても、そのことに防衛しなければOK.。
⑩適度の間があること。
⑪リフレクティングが同室で行われる場合、チームメンバー同士で向き合って話す。
・なぜ、オープンダイアローグが有効なのか
①複数の対等なユニットが存在する
②多様な価値観・世界観をヒントにして、状況に合うサブパーソナリティを参照できる
③対等なので、簡単に答えが出ない(不確実性への耐性)
感想;
マンガの良いところは、入りやすいことですね。
そして文字だけでなく絵からも理解できます。
対話、これは大きいと思います。
心と心のキャッチボール、そこに
ラポールが生まれるとなおよいですね。
ラポール形成には傾聴は大切ですが、そこで「質問してはいけない」などという間違った考え方が入り込んでいる場合もあるようです。
対話(ダイアローグ)がとても重要なようです。
聞く、聴く、訊くのすべてを使って対話することなのでしょう。
もちろん、ベースに傾聴があることを忘れないようにしたいです。
この本は、斎藤環先生が監訳されています。ぜひ翻訳したいとヤーコ・セイックラ氏にお願いされ、まだ日本語に訳されていないこの本を訳されました。
「オープンダイアローグ」ヤーコ・セイックラ/トム・エーリク・アーンキル共著がオープンライアローグの入門書とするなら、詳細書(
目次)のようです。
なぜ対話なのか。(本のカバーの裏面)
・私たちは、それぞれが異なった、かけがえのない存在であるということ。
・その「違い」があるからこそ、私たちはたがいに共感し、対話し、ときに「愛」に至りうるのだということ。
・その意味で対話のニーズは、臨床の現場のみならず、私たちの日常のなかにこそあるのだということ。
そうしたことに思いをめぐらしつつ、いよいよ「対話の核」をめぐる旅を始めましょう。
そしてオープンダイアローグには、リフレクティングも大きな役割があるように思いました。
そして本人に考えてもらい、自分を少し客観視して、そして最後、自分で選択し、行動していくことのようです。
そこには、相手のために何とかしたいとの思いがやはり大切なように思いました。