幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

『トラウマ「こころの傷」をどう癒すか』杉山登志郎著 ”トラウマ治療の最前線”

2025-02-14 19:36:18 | 本の紹介
・深刻なトラウマの最たるものが性被害を含む、子ども虐待の被害です。驚くべきことに、子ども虐待のような長期にわたり反復されるトラウマ体験は、脳の構造にもはっきりとした変化を起こします。長期反復性のトラウマがあると、一般的なカウンセリングではかえって悪化することが多いので、特別な対応が必要になります。

・従来開発されてきたトラウマ治療の多くは時間をかけて実施するタイプのものです。・・・
重症のトラウマの場合、治療中に「解除反応」もしくは「除反応」という、過去の辛い体験緒フラッシュバックが溢れ出し、収拾がつかなくなる現象がしばしば起きるのです。・・・
 筆者は過去10年あまりをかけて、安全で、誰でもできる簡易型トラウマ処理、TSプロトコールの開発に取り組んで来ました。この1~2年でその骨子がようやく固まり、ランダム化比較試験という科学的な判定方法を行い、効果がしっかりと認められました。(この本は2024年8月20日発行)

・その当時、トラウマの治療への有効性に関するエビデンスを持つ治療法は、認知行動療法による遷延暴露法EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)のみでした。・・・
 実はこの認知行動療法の暴露法もEMDRもどちらかというと単回性のトラウマへの治療に作られていて、両者ともより重症な複雑性PTSD治療のためには、基本的な手技にプラスした工夫がさらに必要になってきます。

・筆者はその後、自からの治療技法を高めるため積極的に様々なトラウマ技法の習得に努めるようになりました。また臨床の達人、神田橋條治先生の門を叩き、陪席に加わらせていただきました。さらに臨床催眠、漢方薬の活用、極少量処方の活用など、精神医学の王道からきっちり外れていくことになります。

・長期反復性のトラウマを抱えた被害者には、嗜好(喫煙、飲酒、違法薬物使用)が大変に生じやすいことが知られています。つまり、辛いフラッシュバックが繰り返されるので、その(誤った)自己治療として嗜好が生じるのです。

・筆者は、どんなところに行っても自閉症児や自閉症の成人を見つけてしまいます。こんなことが可能なのは、彼らに独特の行動特徴があるからに他なりません。

・メガファーマは、DSM-CD11などのカテゴリー診断が拡張的になりがちなことを最大限活用して、エビデンスがあるとされる医薬品をどんどん売り込んでいます。こうした姿勢に筆者は危惧を覚えます。

・われわれは、現在の診断名があたかも実体するものであるかのように扱う事をくれぐれも避けなくてはなりません。最近の研究が示すものは、現行のカテゴリー診断名は仮説に過ぎず、しかもどうやら非科学的であるという精神医学にとって不都合な真実です。

・重症のトラウマの真実
①トラウマには2種類あって、長期にわたる反復性のトラウマ(テアのⅡ型)は単回性トラウマ(テアのⅠ型)とはまったく違う症状と経過になる。
②長期反復性のトラウマの後遺症は、心身全体に及ぶ。
③それは、タバコ、酒、薬物などへの依存を引き起こし、寿命も短くなるなど、深刻な影響が起きる。犯罪にも関係する。
④子どもの場合は、しばしば発達障害の診断になるが、発達障害としての治療では良くならない。また症状そのものが一般的な発達障害より重症である。
⑤これらの症状を引き起こす張本人はフラッシュバックである。
⑥フラッシュバックは、本来は脅威を避け、生き延びるための、生体に備わっている防御反応である。
⑦長期反復性のトラウマの場合、自分では制御できないフラッシュバックがいつでもどこでも起きるようになる。
⑧このようなフラッシュバックはトラウマ場面の再体験に近く、それ自体大変に辛い体験になる。

・要するにトラウマの治療としては、傾聴型のカウンセリングもプレーセラピーも、無効どころか禁忌といって過言ではありません。


・TSプロトコールの概要
①TS処方
  向精神薬の極少量処方(気分転換、イライラ、攻撃的言動を軽減する)
  漢方薬(フラッシュバックを軽減する)
②TS処理
  トラウマ記憶の想起を禁じ身体的不快感を標的にパルサーによる左右交互刺激と呼吸法により不快感を抜く)⇒4セット処理 および手動処理
  催眠を避け人格間のコミュニケーションを目的に実施する簡易版

・簡易型トラウマ処理の原則は次の3つです。
①有効性より安全性が求められること。
②からだからこころへという治療の方向です。
③少しずつ治療を行うという原則。

・筆者が知る限り、長期的な働きで良い効果があるらしいことが示されている薬物はたった一つリチウムだけで、リチウムが水道水に交ざっている地域の人たちの自殺率が低いという報告が、世界のいくつかの場所から出ています。

・筆者は、もともと発達障害を中心に臨床を行ってきました。発達障害の基盤がある場合、子どもにしても大人にしても、通常の処方量といわれている処方を行うと、副作用ばかりが現れて、薬の効果があまり認められないということが頻繁にありました。むしろ処方量を控えめにすると有効に働くことが多く、特に発達障害にともなって一緒に起きる、精神科の問題(代表はASDの青年や成人のうつ病ですが)では、普通の処方の用量の数分の1という量できちんと有効に働くことが普通なのです。

・TS処方の中心は、フラッシュバックの特効薬である漢方薬と、極小量の向精神薬の組み合わせです。

・漢方薬はすごくふしぎで、からだに合っているときはあまり不味くなく、すっと飲めるのです。

・現在のろこと、お勧めできる眠剤は1種類でレンボレキサント(デエビゴ)です。最低用量の半分、1.25mgの服用から頓服(症状に応じて飲むこと)で用いるようにしています、

・気圧変動性の頭痛です。雨が降ると頭が痛くなるというあれですね。これらは漢方薬に特効薬があって、五苓散とい漢方薬を1包もしくは3錠を頓服で服用すると軽減します。






感想
 トラウマの治療は難しい。単回性と反復性のトラウマでは症状も治療も違うことがわかりました。
また従来の傾聴中心のトラウマ治療は逆に症状を悪くすることもあることも知りました。
 医者の診断名に囚われないことだと知りました。
 
 トラウマ持つ人は多重人格の人も多いとのことです。
自分を守るためにそうしているのだと思います。
EMDRは知っていましたが、さらにいろいろな取り組みが行われているようです。

 子ども時代の虐待はトラウマになりがちで、子どもに大きな重荷を背負わせることがわかりました。
 虐待がどれほど、子どもたちに大きな傷を残しているかを改めて知りました。
ジャニー喜多川の性加害は改めて罪が重いなと思いました。

 薬の用量より少ない量で効果があることも初めて知りました。

TSプロトコールの手動のYouTube見ると簡単にできます。
これでトラウマが軽減できるのですね。
 心身一如と言いますが、身体と心、そして精神(考え方)が密接に絡んで相互に影響を及ぼしているのですね。
 うつ病になると散歩など出かけることが出来なくなりがちですが、出来る範囲でちょっと歩くだけでも心に良い影響を与えるのだと思います。
『うつヌケ』田中圭一著にある、起きたときに「私は大丈夫、何とかなる」と自分に言い聞かせることが効果あると宮島賢也先生の言葉を信じて実践したら、1か月過ぎるとなんとなく気持ちが変わり、そしてうつから回復されました。
 それまで医者にかかり、お薬を飲んでいても回復の目処も感じられなかったのです。
 TSプロトコールの主導のYouTube2分程度ですので、見られると本当に簡単だとわかります。
 肩こりや腰痛は今は半分はメンタルと言われています。
身体をマッサージや押す、叩くことできっと幸せホルモンオキシトシンがでて、それが心身に良い効果をもたらすのでしょうね。
TSプロトコールの手動も身体のいろいろな部分を軽く叩くだけです。

「オープンダイアローグ 私たちはこうしている」森川すいめい著 ”対話を進めるための言葉の魔術”

2025-02-12 18:46:46 | 本の紹介
・オープンダイアローグは、これら(治療方針)さえも脇において、「ただ対話をする」のです。

・同じ意見だったらいないのと同じですし、いないほうがいいです。

・「もしも〇〇さんがそちらの席に座っていて初めからこの話を聞いていたとしたら、〇〇さんは何と言ったと思いますか?」

・「私がどのように思ったかを話してみたいと思いますが、いいでしょうか?」
「私の思ったことは間違っているかもしれません。違うと思ったときは教えてください」

・「私はあなたの考えをもう少し理解したいと思っています。どうしてそのように思ったのかをお聞きしていいでしょうか」

・「いま〇〇さんのお話をお聞きして、私もいろいろなことを感じました。そのことを話してみたいと思うのですが、いいでしょうか」
「私の考えが正しいという思いで話すのではありません。この短い時間のなかで何かを判断するというのは難しいことだと思っています」

・もし自分の考えを話すことに慣れていない支援者がいたら、ぜひ「聞く準備はできている」というメッセージを伝えてみてください。きっと、その人は話すことができて、対話が生まれていくと思います。

・オンラインで参加する人とが混在してもいいように思います。対話の途中で招待したい人が思い浮かんだら、その人に電話をして動画で参加していただくこともいいでしょう。

・4つの質問をしてみる
①あなたの困りごとを知っている人は誰か?
②あなたのことを心配している人は誰か?
③あなたが一緒に話したいと思う人は誰か?
④当日参加してくれる人は誰か?

・なによりも「対話が終わったあとも対話が続くのを信じる」という感覚を大切にしています。

・診断名でものごとを考えてしまうと、ご本人たちの苦悩をちゃんと聞くことができなくなるように思います。

・妄想というものは困難な事態に関する本人なりの状況理解であり、幻覚は本人の人生のかかわった何かなのだとわかってきます。

・リフレクティングチームがやってはいけないことがあります。それは対話を止めてしまうことです。強い言葉によって傷つけられたときや、無視されたと感じて話す気を失ってしまうと、対話は止まります。
 たとえば、分析、客観的事実っぽい話、批判、ジャッジメントなどは、それを一方的に聞かされる人たちをひどく傷つけます。

・アバウトネス(~について考える)とは、自分たちと切り離されたこととして扱う話し方で、ウィズネス(~と一緒に考えること)というのは、自分たちのことを扱う話し方です。

・対話が困難になった関係性のなかで対話を聞く-ただそれだけを大切にしているのがオープンダイアローグだと私は思います。

目次の言葉を見るだけで、なんとなくオープンダイアローグの全体像が少しわかるように思いました。

はじめに
序章 オープンダイアローグはこうして生まれた
  診断と治療だけでは助けにならなかった
  オープンダイアローグの根源
  ケロプダスがオープンダイアローグを知らなかった頃
  オープンダイアローグが生まれた日
  Need-Adapted Treatmentと何が違うのか
  ビルギッタの一言
  ゴールは「対話そのもの」
  医学から対話へ
  まずは病棟で話を聞くことから
  話したい場所で聞く
  最初の調査
  オープンダイアローグは1日で誕生する
  Column 「私たちのやり方を真似しないでください」

第1章 ふたつの土台
  実際の「対話セッション」の様子1
 1 その人のいないところでその人の話をしない
  申し送りも相談も「その人のいるところで」
  「支援する/される」という力関係が対話を阻害する
  困っているそのスタッフが「本人」
  子どものことで相談している家族が「本人」
 2 1対1で話さない――専門スタッフは2名以上
  専門職の意見が一致しないことが大切
  ひとりで対話をする工夫――私のやり方
  Column 7つの原則をどう考えるか

第2章 つねに意識しておきたいこと
 1 一人ひとりが特別
  「接遇」以前のこととして
  話す機会を公平にする
  優劣のない関係性を守る
  「現場で決めていけないこと」だけを決める
  垂直の関係性を意識する
  相手の考えはつねに自分の理解を超えている
  「理解しようとする」態度そのものが助けになる
 2 ポリフォニーを意識する
  不安が声を押さえ込んでしまう
  自分の楽器を持ってジャズのセッションに参加する
  スタッフもまたひとりの奏者として
 3 不確かさの中に留まる
  すぐに答えに飛びつかない
  こう言って不確かさに留まる――私のやり方
  プロセスを信頼する
 4 透明性を保つ
  自分がどう思ったか話す「責任」が専門職にはある
  質問さえ脅威になる
  リフレクティングと透明性
  専門職がひとりのときにはどうするか
  Column 話すスペースをつくる

第3章 対話の場を設定する
 1 いつ行うか
  即時に応答する
  電話を受けることに集中できる体制をつくる
  電話口にはシフト表――その場で決める
 2 誰を招くか
  招待するという感覚
  4つの質問をしてみる――ソーシャルネットワークが見えてくる
  最初から参加も、途中から参加も
  対話の場に医師が参加することは少ない
  担当スタッフはずっと同じ
 3 準備はしない
  事前の打ち合わせ、事後のカンファレンスはしない
  すべては「その場」で考える
  「いないところで話す」必要があったらどうするか
  対話中はメモをとらない
 4 どこに座るか
  本人が話したいと思う場所にする
  輪になって話す
  座る席を選んでもらう
 5 時間はどうする
  60分でさえ難しい……
  対話のあとに対話が続くことが大事
  必要があれば連日開く
  時間差で対話する
  Column 精神科訪問看護を利用してみよう

第4章 セッションを始めよう!
 1 オープニング
  チェックインを確認する
  自己紹介を2回するくらいのていねいさ
  対話の場を温めるための準備運動
  最初に経緯と期待を聞く
  2回目以降はどう聞くか――私のやり方
 2 全員の声を聞く
  なぜ全員に聞くのか
  それぞれの必然性に従った「公平」
  ひとりで話したいと言われたら――私のやり方
 3 リフレクティング
 4 クロージング
  細心の注意が必要
  最初に終わりの時間を確認する
  残り15分でどうするか
  最後は本人たちの声で終える
  むずかしい対話場面の終え方
  次を決めることでチェックアウト
  Column 統合失調症の患者数はさらに減る

第5章 対話を促進させる工夫
 1 話すことと聞くことを分ける
  たとえばこんな言い方をする
  話す順番の決め方
  誰が話者なのかを明確に示す
 2 話したいことを話せるように
  臨床でよくある場面
  ジャッジされたら二度と話さなくなる
  話したいことと話したことは違うかもしれない
  話を聞くことで精神状態が不安定になるとは?
 3 話し手が自分の声を聞くのを助ける
  話していることをいちばん聞いている人は誰か?
  間にはさまざまなものが生まれる
  沈黙に戸惑ったら聞けばいい
  聞いたことを繰り返してみる
 4 精神医学的問題をどう扱うか
  診断名はいったん脇に置く
  妄想は結果
  最初の3回は抗精神病薬を処方しない
  ケロプダス病院での薬の位置づけ
  抗精神病薬をやめるときは慎重に
  睡眠薬は最初から数日間処方することがある
  「そのように感じたのはいつからですか?」
  Column 暮らす場所によって薬の量は変わる

第6章 リフレクティングを身につける
  実際の「対話セッション」の様子2
 1 リフレクティングはなぜ必要なのか
  専門職の意見は聞きたいが……
  リフレクティングという工夫
 2 リフレクティングの基本的な考え方
  内的会話と外的会話
  「話す」と「聞く」を構造的に分ける
 3 リフレクティングに役立つ小さな工夫
  やってはいけないこと
  話された言葉をそのまま使う
  話されなかったことは話さない
  ちょうどよい差異を意識する
  リフレクティングチームの話は短めに
  参加者は聞いていなくてもいい
  2回目の中断があったらリフレクティングはやめる
  視線は合わせない
 4 リフレクティングの始め方と終え方
  始めるタイミングは?
  ていねいな言葉で始める
  本人たちの声で終わる
  Column あるリフレクティング

第7章 対話的な組織になるために
 1 対等に対話をする試み
  先生と呼ぶのをやめてもらった
  スタッフ間での会議を対話的にした
  私自身が対話のトレーニングを行った
 2 組織としてのチャレンジ
  仲間づくり
  対話トレーニングプログラムをつくった
  話し合い続ける
  Tolerance of Uncertainty(あきらめない)
  Column 1回目は意思決定をしない会議

おわりに



感想
 実際の不登校の男子生徒にオープンダイアローグを行っている、言葉が紹介されており、オープンダイアローグの全体像が伝わってくるようでした。
 PCから変な音がする。監視されている。外出すると監視されているから外出できない。など、こういう症状があると統合失調症が疑われ薬の投与がされます。
実際薬が投与されるけど、本人は飲みたがりません。母親は薬を飲むように説得しています。
 対話により、本人の不安が具体的にでてきて、PCについては電気屋で見てもらったら、ファイルが多く限度になっていたので、そのアラームが出ていた。ウイルスに汚染されていない。ファイルを整理したら、PCの問題はクリアしたことで、監視されているとの思い込みが和らいだようです。
 通信制の学校に転校して本人も学ぼうと意欲が出て来ました。

 対話をすることで、良くなることが実際にあるのは驚きです。
薬より、まずはオープンダイアローグを試してみる方が効果が大きいように思いました。
 
 薬は症状を抑えるだけで解決にはなりません。
場合によってはたくさん飲むことで、その人らしさが消えてしまいます。
かつ副作用も伴います。

 患者さんが眠れないときは睡眠導入剤を処方することはあっても、すぐには精神のお薬は処方しないようです。  

 電話での話を聴くのは短くして、実際に会って対話をするようです。
電話で長く聴くことはスタッフの時間を取られることから、すぐに対話で対応するようにしているそうです。

 電話応対にこのオープンダイアローグの考え方を導入することは出来ないだろうかと思います。傾聴は大切ですが、対話でもって本人の気持ちを聴くことができるように思います。それにより、さらにより良い傾聴が広がるように思いました。
 ナラティブセラピーもそうですが、オープンダイアローグの言葉の魔術を垣間見るように感じました。

ネットにも多くの報告がありますね。

「人はどう死ぬのか」久坂部 羊著 ”多くの臨終に立ち会って来られた終末医療の医師からのメッセージ”

2025-02-11 17:44:00 | 本の紹介
・家族や自分の死が間近に迫ったとき、最良の方法を選び、亡くなったあとに悔いを残さないようにするには、やはり死の実際を知ることが大切でしょう。
 だから私はこの本を、「死に関する新しい教科書」のつもりで書きました。
 大丈夫。恐くありません。不吉でもありません。慣れます。ときに笑えます。死には滑稽な側面もありますから。
 一回きりの死を失敗しないために、多くの人が死の恐怖から解放され、上手な最後を迎えられることを、心より願っています。

・看取りのコツは「慌てず、騒がず、落ち着かず」だと、伝授されました。
「慌てず」というのは、新米だと見破られないためで、「騒がず」というのは、騒ぐと医療ミスを疑われかねないからですが、あまりに落ち着いていると、患者さんを見捨てているように受け取られるので、適度な緊迫感が必要なため、「落ち着かず」ということになります。
 もう1つのポイントは、あまり早くに臨終を告げないこと。

・助かる見込みがあるのなら、病院で治療を受けたいと言う人は、悲惨な延命治療になるリスクを受け入れる必要があります。

・足るを知る。これが私が父(医師)から受け継いだ上手に死ぬための秘訣です。

・人の死が人生における厳粛かつ重大な出来事であるのはまちがいありませんが、ある意味、自然なことでもあり、受け入れることはさほどむずかしいことではないと私は思います。
 逆に言うと、死を恐れたり、いやがったたりする人は、死に接する機会が少ないから、拒絶的な気持ちになるのではないでしょうか。

・死の恐怖の理由は、自分が消えてしまうことの恐ろしさや、家族や親しい人との別れの悲しさ、自分の実績や人生の結果が無になることの口惜しさなど、いろいろあるのでしょうが、最大の理由は、死後がどうなるかわからないという不安でしょう。
 死んだあと、どうなるかわかっていれば、心の準備もできますし、ある種の納得も得られるはずです。
 死後の世界については、“何モナイ派”と“何カアル派”に大きく分けることができます。

・ほんとうに死は恐いものなのでしょうか。

・死の恐怖は幻影
 当たり前のことですが、死んだら何も感じません(一応、死後“何モナイ派”の立場で話を進めます)。・・・
 死の恐怖の理由に、自分の存在の消えてしまうことや、親しい人との別れ、二度と楽しい思いができないことへの未練などもあるのでしょうが、死ねばそういうことを感じる自分も消えてしまうのですから、恐怖を感じようにも感じられません。
 すなわち、恐れているのは、死を意識している今の自分だけということになります。
 私は朝、目を覚ましたときに、よくこう思います・
-昨夜、眠りについたまま死んで、今朝、目が覚めなかったとしたら、死ぬのはぜんぜん平気だな、と。・・・
 死んだあとに地獄のようなものが待ち構えているのなら、そこへ行くのを恐れるのもわかりますが、何もないものを恐れる理由がどこにあるでしょうか?
つまり、死の恐怖は実態のない幻影です。
 私はそう考えますが、理屈では感情は抑えられないという人も多いのでしょう。

・死の恐怖を免れる方法は二つ。
①死のことをなんか考えないようにすることです。
②人によっては少々つらいでしょうが、死と向き合い、できるだけリアルに死を意識して、死の恐怖に慣れる方法です。・・・
 苦しみから目を逸らして、最後にツケを払うか、早めに苦しい思いを乗り越えて、人生をうまく仕舞うか、いずれかということです。

・心肺停止でだれにも看取られずに亡くなりかけていたKさんを、見事、蘇生させて、家族が死にに目に会うことを実現させられたと、いささか誇らしげに書いてあったように記憶します。
 たしかに家族は喜んだかもしれません。きっと感謝したことでしょう。しかし、亡くなったKさん本人はどうだったでしょう。
 一般に心肺停止の蘇生処置がどういうものか、具体的に知らない人が多いでしょうから。・・・
 人工呼吸のための気管内挿管は、咽頭鏡というステンレスの鉤付きの器具を口に突っ込み、舌をどけ、咽頭を持ち上げて、口から人差し指ほどのチューブを気管に挿入しします。意識がない状態でも、反射でむせびますし、咽頭を持ち上げるとき、前歯がてこの支点になって折れることもままあります。そうなれば口は血だらけになります。
 そのあとのカウンターショックは、裸の胸に電極を当てて、電流をを流すもので、往々にして皮膚に火傷を引き起こします。心臓マッサージも、本格的にやれば、肋骨や鎖骨を骨折させる危険性が高く、Kさんのように高齢でやせている人なら、骨折は一本や二本ですまなかったと想像されます。

・死に目より大事なものは、ご想像の通りそれまでの時間、すなわちふだんです。

・死に目に会う必要はないなどと、言うつもりはもちろんありません。ただ、死に目に会うことに執着してしまうと、さまざまな弊害があることを知ってほしいと思います。

・メディアはウソは報じませんが、都合のいいことしか伝えません。世間の共感を得て、メディアとしての信頼を高め、最終的には収益につなげることが目的だからです。・・・
 老いと死に話をもどせば、気持ちのいい情報ばかりで安心するのは危険です。不愉快なことでも知っておいたほうがいいこともあるし、より成熟した人間としては、イヤなことにこそ目を向け、しっかりと心の準備をしておくべきでしょう。実際、それは起こり得るのですから。

求めない―― すると 失望しない
求めない―― すると 心が静かになる
求めない―― すると それでも案外 生きてゆけると知る
求めない―― すると いまじゅうぶんに持っていると気づく

・視野を広く持てば、すべてはうたかたの諸行にすぎず、目先の比較で一喜一憂しても仕方がないとも言えます。
 できれば、人生の最後の残り時間には、思い切り自分に都合よく、自己肯定の悦楽に身を任すのも悪くないでしょう。
 いや、どうしてもそうはできないと言うのなら、今一度、感謝の気持ちに立ち戻ることも一法です。これも父に教わったことですが、感謝の気持ちを深めれば、不平も不足も不満もかすみ、自分に与えられた多くの恵みや親切、幸運に気づき、穏やかな気持ちになれる可能性が高いです。
 何やら最後はお坊さんの説教のようになってしまいましたが、やはり上手な最後を迎える秘訣は、いろいろな方策を求めることではなく、自分の都合を捨てて、あるがままを受け入れる心のユン日が肝要ということではないでしょうか。

感想
 小学校の5年生頃、「死んだらどうなるんだろう?」と考え不安が大きくなり始めました。
 『夜と霧』の著者でロゴセラピー創始者のヴィクトール・フランクルが9歳のとき父親の死を経験して、「死」というテーマについて深く考え始めたとそうです。
私は、 「死」を考えないようにしてきました。
私も深く考え始めていたら、・・・。

「死」は恐怖です。怖いです。
居ても立っても居られない気持ちになることもあります。
 そのときは他のことを考えて気を逸らすことをしていました。
歳をとり、今は「やりたいことをすることが、死の恐怖を和らげるのではないか」と思えるようになりました。それは38歳で胃がんになり胃を2/3切除し、死と対峙したからかもしれません。
 「時間は有限」と気づき、学生時代にやってみたかったボランティアを始めました。
その前から「目の不自由な人に手紙や本を読むボランティア」は始めていました。
そして「入院児との遊びのボランティア」も始めました。そのきっかけは、将棋や囲碁などをやれる人を募集していたからです。文京区のボランティアまつりに日本語ボランティア(来日している人に日本語を教える)を仲間と一緒に紹介したとき、他のボランティアの展示を見て出会いました。まさに将棋や囲碁は私の趣味でした。

 生きているから「死を恐れる」のだと気づきました。この本にも書かれています。
もう一つは、死後の世界があると信じることではないでしょうか。
わからないことだらけです。
『パンセ』パスカル著に下記がありました。
神の国があるかどうかは分からない。
神の国があると信じて生きる。
 ⇒神の国があれば「やったー」(天国/極楽)
 ⇒神の国がなければ、何もないだけ
神の国がないと信じて生きる。
 ⇒神の国があれば「しまった!」(地獄/閻魔様)
 ⇒神の国がなければ、何もないだけ
だったら、神の国があると信じて生きた方が良い。

 『蜘蛛の糸』芥川龍之介著
夏、蝉がよく道でひっくり返っています。
そのとき、まだ生きていると助けて草の上や木に止まらせます。
死んでいると道の端に移動します。
助けた後、「もし地獄に落ちたら、数十匹の蝉が私を助けに来てくれる。また増えた」とにんまりしています。
 犍陀多は道ばたの小さな蜘蛛を一度だけ助けたのです。
一匹は少なかったです。
もっとたくさん助けていたら、蜘蛛の糸も太かったと思います。 

アルフォンス・デーケン先生が「死生学」を日本で始められました。
それは「死」を忌み嫌い、避けるよりも、「死」を考えて生きた方がより良い人生を送れるとの確信から始められました。
その通りだと思います。
デーケン先生の講演を何度か聞きましたが、常にユーモアたっぷりのお話でした。
『よく生き よく笑い よき死と出会う』など、デーケン先生の本を何冊か読みました。 

胃がんになり時間は限られていることを実感しました。
やりたいことは将来できるとの保証はありません。
だったら今からやることなのだと思いました。
そして周りの目を気にすることよりも、やりたいと思ったことをすることが「死の恐怖」を和らげることも知りました。
もちろん何をやりたいと思うかがその人にとってだけでなく社会にとっても意味があるかどうかが問われますが。
その人を知るには、その人が大切な「時間」と「お金」を何に使っているかを知ればわかると言われています。

「人望が集まる人の考え方」レス・ギブリン著 ”一つでも二つでも出来ると今より人間関係が良くなりそう”

2025-02-06 04:24:24 | 本の紹介
・人間の習性をよく理解し、相手の願望を満たす。

・人はみな人生でふたつのものを手に入れたいと思っている。それは成功と幸福である。
 成功と幸福をもたらす最大の要素は、人間関係の技術である。

・9割の人は人間関係で失敗する。

・仕事の失敗で失業した人より人間関係の失敗で失業した人のほうが2倍多い。

・人間関係の技術にたけた人は、優秀な学業成績を収めて人より収入が約15%上回り、人間関係の技術がつたない人より約33%も多くの収入を得ていた。

・人間関係の4つのルール
①すべての人は程度の差こそあれ自分本位である
②すべての人は自分に最も強い関心を抱いている
③すべての人は自分が重要だと感じたがっている
④全ての人は他人に認められたいと思っている

・自尊心が満たされていないと、人びとは摩擦やトラブルを起こしやすい

・気難しい人にはほめ言葉をかける

・正論を説くより自尊心を満たす

・自分の「隠れ資産」を気前よく与える

・心理学者のJ・C・スタール博士は多くの調査を分析し、企業に勤める人々の不満の原因を突き止めた。重要度の高いものから順に列挙しよう。
①功績を認めてくれない
②苦情を処理してくれない
③励ましてくれない
④人前で叱る
⑤意見を求めてくれない
⑥進捗状況を伝えてくれない
⑦えこひいきをする

・相手に重要感を持たせる3つのルール
①相手を重要な存在とみなす
②相手に注目する
③相手に対して威張らない

・相手に好印象を与えたいなら、自分のすごさをひけらす必要はない

・相手に感銘与える最も効果的な方法は、自分が相手に感銘を受けたことを伝えることだ

・相手の怒りを鎮める方法
聞き手が話し手の声の調子から逃れることができない
①自分の声の調子によって相手の声の調子をコントロールできるという事実
②腹が立つから大きな声を出すのか、大きな声を出すから腹が立つのかという議論と関係がある。確実に言えるのは、大きな声を出せば出すほど、ますます腹が立つという事実だ。

・相手を信頼していることを知らせれば、相手は自分が信頼に値する人間であることを証明しようと努める。
 ある警察官がこんな話をしてくれた。容疑者から情報を得る最善の方法は、「噂では君は喧嘩っ早くて何度もトラブルに巻き込まれたそうだが、けっして嘘をつかないというもっぱらの評判だ。私はそれを期待している」と本人に告げることだという。

・問題児は教師から「これから数分間、教室を離れるので、戻ってくるまでクラスを監督してほしい」と言われると、期待に応えて監督役を務めようとする。

・他人をけなす人は悪い印象を与える。
「夫や妻が配偶者のいやな部分について話すたびに、その配偶者よりその人自身の本性があらわになっているように感じる」
 つまり、他人についてネガティブな発言をすると、自分について悪い印象を相手に与える結果になるのである。

・相手にイエスと言わせるための最善の方法は、相手を「イエス」と言いたくなる気分にさせることだ。それにはネガティブな雰囲気ではなくポジティブな雰囲気をつくる必要がある。

・アルバート・ブルックス博士に人を動かす秘訣を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。
「私は誰かに何かをしてほしいとはめったに言いません。私はその人がそれをしたくなる理由を見つけ、その人がそれをやりたがっていると想定するようにしています。そして、その人がそうしてくれるのを確信していることとその人の能力を信頼していることを伝え、あとはその人の自主性に任せています。その人の様子を絶えず監視すると、相手を信頼していない証になりますから、そんなことはしません。私は相手がすばらしい仕事をしてくれると想定しています。その結果、失望するようなことはまずありません」

・人々をひきつける3つの条件
①相手を受け入れる
②相手を認める
③相手を尊重する

・相手を尊重していることを示す方法
①できるかぎり待たせない
②すぐに面会できない場合、来訪を確認していることを知らせ、なるべく早く面会する
③相手に感謝する
④相手を特別扱いする

・人間関係の分野で最も確実に言えるのは、相手が好いてくれないと思い込んでいると、その信念が実体験しやすいということだ。しかし、もし相手が好いてくれると確信すると、その信念は現実になる公算が大きい。

・心の底からほほ笑みかける。

・経営コンサルタントのハリー・シモンズ氏は25年以上にわたってビジネスの現場での人間関係を研究した結果、仕事をする能力と同じくらい話す能力が成功に大きな意味を持つことがあるのを発見した。

・最も大切なのは相手に話をさせること

・悩みや不満を誰彼となくぶちまけてはいけない

・話を聞く人は「利口な人」と評価される。

・耳を傾ければ、相手の求めているものがわかる。

・相手の自尊心を傷つけずに議論に勝つ6つのルール
①相手に意見を述べさせる
②答える前に少し間を置く
③100%勝とうとしない
④控えめな態度で主張する
⑤第三者に代弁してもらう
⑥相手の面子をつぐさない

・アドバイスを求めると信頼も得られる。

・「ありがとう」と言うときの6つのルール
①心をこめて言う
②口ごもらずに、はっきりと言う
③相手の名前を言う
④相手の顔を見る
⑤相手に感謝する努力をする
⑥相手が思いもよらないときに感謝する

・ほめれば自分も幸福になる

・ほめ言葉をかけるときの2つのルール
①誠実な気持ちでなければならない
②相手そのものより相手の行為や性質をほめる

・相手に注意を与えて成果を上げるための7つのルール
①一対一で注意を与える
②ほめ言葉で前置きをする
③相手の行為に注意を与える
④正しい方法を教える
⑤要求でなく依頼をする
⑥注意は1回にとどめる

感想
 人間関係は大きいと思います。
人間関係で悩んでいる人も多いと思います。
そして難しいです。
自然に上手くされている方は、小さいときから学んでそれが身に付いておられるのでしょう。羨ましく思うこともあります。

 入社2年目で二人の女性(両方とも入社年度は上で、一人は私より年齢上、もう一人は下)のリーダーになりました。
 最初3人で上手くやっていましたが、一人とは関係がぎこちなくなりました。
それはその人は、手が空くと他のグループのところへ行き、おしゃべりをしていました。そのグループのリーダーからクレームが私に来ました。
 そこでその人の手が空かないように仕事を入れました。
きっと信頼してもらえてないと思ったのでしょう。ギクシャクして来ました。
どうしたら良いか?
悩んだ末に辿り着いたのは、周りからレベルの低いリーダーだと思われていい。
その人を信頼しようと決意しました。
不思議ですね。
そうするとギクシャクしていた年上の女性との関係も戻りました。

 嫌な人はやはりいます。
そのとき、「自分から嫌いにならない。その人の個性だ。相性が悪いだけ。その人にも家族がいる。私が関係する時間は短い。家族は長く大変なのにやっている」と思うようにして、出来るだけ気を遣うようにしました。
そうすると仕事には影響しない関係を維持できました。

 この本に書かれていること、出来ていないことがたくさんありました。
自分に出来ることを一つでも二つでも増やしてみると、人間関係は良くなると思いました。
 ただ、人望を集めることよりも、自分がやりたいことをすることの方が重要だと思います。人望を集めるのはそのやりたいことを円滑にするめるためのツールなのだと思います。
 瀬戸内寂聴さんがよく言われていた「亡己利他」を行うことなのでしょう。
自分が自分の幸福を求めても真の幸福には至らず、誰かのために何かのために行うことが回り回って自分の幸福に辿り着くとの意味です。
 それを失わずにやっていれば、周りからいろいろ言う人がいても、理解してくださる人がいると信じて行うことなのでしょう。

「精神診断に代わるアプローチPTMF心理的苦悩をとらえるパワー・脅威・意味のフレームワーク」メアリ・ボイル/ルーシー・ジョンストン共著 ”メンタルを病む理由を解き明かす”

2025-02-03 17:51:00 | 本の紹介
PTMF(Power Threat Meaning Framework )の基本的な考え方
 PTMFでは「どこが悪いのですか?」という問いを「何が起きましたか?」という問いに変化させます。

・「どんなことがあなたに起きましたか?」
(パワーは人生にどのように作用しているのか)
・「その出来事はあなたに、どのような影響を及ぼしましたか?」
(そのことは、どのような脅威をもたらしているのか)
・「あなたはそのことを、どのように理解しましたか?」
(そうした状況と経験の意味はどのようなものなのか)
・「生き延びるために、何をする必要がありましたか?」
(どのように脅威への反応をしているのか)
・あなたのストーリーは、どのようなものですか?
・私たちはどのようにして、ここにたどり着いたのか?
(根本的な前提に疑問を投げかける)


権力脅威意味フレームワーク:
 概要 PTMフレームワークの主要原則 権力脅威意味フレームワークは、人々が時に、苦痛、混乱、恐怖、絶望、問題行動やトラブル行動など、さまざまな形の苦悩を経験する理由についての新しい視点です。
 これは、精神医学的診断に基づく従来型のモデルに対する代替案です。このフレームワークは、サービス利用者との共同作業により作成され、精神保健や刑事司法制度に関わった人々だけでなく、すべての人に適用されます。
 この枠組みは、人々の生活におけるさまざまな権力の役割、権力の乱用が私たちに及ぼす脅威の種類、そして人間として脅威にどう対応してきたかに関する多くの証拠を要約し、統合したものです。
 従来の精神保健の実践では、こうした脅威への反応は「症状」と呼ばれることがあります。この枠組みでは、私たちがこうした困難な経験をどのように理解するか、また、社会全体からのメッセージが私たちの羞恥心、自己非難、孤立感、恐怖、罪悪感をどのように増大させるかについても考察しています。
 この枠組みの主な側面は、個人、家族、社会集団に適用できる以下の質問に要約されています。
 ▪ 「あなたに何が起こったのか?」(権力はあなたの生活の中でどのように作用しているか?) 
▪ 「それはあなたにどのような影響を与えたのか?(これはどのような脅威をもたらしますか?) 
▪ 『あなたはそれをどう理解しましたか?』(あなたにとって、これらの状況や経験にはどのような意味がありますか?) 
▪ 『生き残るために何をしなければなりませんでしたか?』(どのような脅威への対応策を用いましたか?) 
 さらに、以下の2つの質問は、人々がどのようなスキルやリソースを持っているか、また、これらの考えや対応策をすべてまとめて個人的な物語やストーリーとしてまとめるにはどうすればよいかを考えるのに役立ちます。
▪ 「あなたの強みは何ですか?」(パワーリソースへのアクセスはどの程度ありますか?) 
▪ 「あなたのストーリーは何ですか?」(これらの要素はどのように関連しているのでしょうか?)
 PTM フレームワークの活用例 パワー・スレット・メカニズム・フレームワークは、人々が自分自身を非難すべき存在、弱い存在、欠陥のある存在、あるいは「精神疾患」であると考えるのではなく、自分たちの生活や直面した、あるいは現在も直面している困難について、より希望に満ちた物語やストーリーを創造する手助けとなる方法として活用することができます。
 このフレームワークは、貧困、差別、不平等などのより広範な社会的要因と、虐待や暴力などのトラウマ、そしてその結果生じる感情的な苦痛や問題行動との関連性を浮き彫りにします。
 また、明白なトラウマや逆境の経験がない人々でも、自己価値や意味、アイデンティティを見出すことに苦労する理由も示しています。
 この枠組みでは、人々が生き延び、自分自身を守り、基本的ニーズを満たすために、自動的な身体反応から、圧倒的な感情に対処するために意図的に選択した方法まで、さまざまな戦略を用いていることが説明されています。
 また、人々が前進するための幅広い方法も提案しています。
 ある人々にとっては、セラピーやその他の標準的な介入、あるいは、対処を助けるのであれば向精神薬などが当てはまるでしょう。
 また、他の人々にとっては、仲間からのサポート、アート、音楽、運動、栄養、地域社会活動など、実用的な支援やリソースが主なニーズとなるでしょう。
 この枠組みは、苦痛に関する新たな視点を提供しており、個人を超えた、より公平な社会を求めるより広範な闘争の一部であることを示しています。
 このフレームワークの最も重要な側面のひとつは、権力の負の影響に対する人々の反応の一般的なパターン、つまり脅威に対する意味に基づく反応のパターンを概説しようとする試みです。このフレームワークの一部は、他の部分と同様に、現在も発展途上にある。
 しかし、フレームワークにまとめられた証拠は、特定の文化に属する人々が、排除、拒絶、追い詰められる、強制、恥をかかされるといった特定の種類の脅威に対して、共通の反応を示す可能性が高いことを示唆している。
 これらのパターンを参考にすることで、人々の個人的なストーリーを構築するのに役立つでしょう。これらの一般的なパターンは、人々に受容と承認のメッセージを伝えるのに役立ちます。また、これらのパターンは、人々の真のニーズを満たすサービスの設計を支援し、診断の有無に依存しない支援や給付金へのアクセス方法も提案します。
 さらに、このフレームワークは、西洋の診断モデルに頼らず、文化特有の苦痛の理解について考える方法を提供しています。また、世界中の人々を支援する多くの独創的かつ非医学的な方法、および文化を越えて用いられている多様な語りや癒しの実践を尊重することを奨励しています。
 PTMフレームワークのさらなる発展 留意すべき重要な点として、Power Threat Meaningは包括的な枠組みであり、苦痛について現在考え、取り組んでいるすべての方法を置き換えることを意図したものではないということです。その代わり、すでに存在する多くの優れた実践例を支援し強化することを目的としており、同時に新たな前進の方法を提案しています。
 このフレームワークは、治療や臨床的な業務よりも幅広い意味合いを持っています。 メイン文書(下記リンク)では、サービス設計や委託、専門家の研修、研究、サービス利用者との関わり、公共情報といった分野において、建設的な代替案を提供できる可能性を示唆しています。 また、社会政策や、平等と社会正義のより幅広い役割に対しても重要な意味合いを持っています。これは進行中の作業であり、さらなる発展に関心のある個人、グループ、組織のためのリソースとして提供されています。このリンクから、FAQ、プロジェクト文書、サービスにおける1対1の作業やピアサポート/自助グループのための「ガイド付きディスカッション」にアクセスできます。

感想
 gemini(AI)に質問しました。
The Power Threat Meaning Frameworkについて詳しく教えてください 

パワー・スレット・ミーニング・フレームワーク(PTMF)について

PTMF(Power Threat Meaning Framework)は、精神的な苦しみや問題行動を、個人の内部的な問題ではなく、その人が置かれている社会的な文脈の中で捉えようとする枠組みです。

PTMFの考え方

PTMFでは、人間の行動や感情は、その人が置かれている社会的な力関係(Power)、そしてそこから生じる脅威(Threat)、そしてその脅威に対して個人がどのように意味づけをしているか(Meaning)によって大きく影響されると考えます。

  • Power(パワー): 社会的な力関係、経済的な力、政治的な力、文化的背景、性別、年齢、人種など、個人が置かれている状況における力関係を指します。
  • Threat(脅威): パワーによって生じる、個人が感じる脅威や危険。これは、物理的な脅威だけでなく、精神的なストレス、社会的孤立感など、様々な形で現れます。
  • Meaning(意味):個人が、自分を取り巻く状況や経験に与える意味づけ。この意味づけが、個人の感情や行動に大きな影響を与えます。

PTMFの特徴

  • 従来の医療モデルからの脱却: 従来の精神医学では、精神的な問題を個人の内部の問題として捉え、薬物治療や心理療法が中心でした。PTMFは、社会的な文脈を重視し、より包括的な視点から問題を捉えようとする点で革新的です。
  • 当事者中心: PTMFでは、専門家が一方的に診断を下すのではなく、当事者自身の経験や物語を重視します。当事者と一緒に、問題の原因を探り、解決策を見つけていきます。
  • 多様な視点: PTMFは、生物学的な要因だけでなく、社会的な、文化的、歴史的な要因も考慮します。
  • 関係性の重視: PTMFは、人間関係の重要性を強調します。家族、友人、コミュニティとの関係が、個人の健康に大きな影響を与えると考えます。

PTMFの応用

PTMFは、様々な分野で応用されています。

  • 精神保健: 精神疾患の理解と治療
  • 教育: 行動問題のある子どもの理解と支援
  • 刑事司法: 犯罪者の再犯防止
  • 社会福祉: 虐待や貧困問題への対応

PTMFのメリット

  • 包括的な理解: 個人の問題を、生物学的、心理的、社会的な側面から多角的に捉えることができる。
  • 当事者中心: 当事者の視点から問題を捉え、解決策を見つけることができる。
  • 柔軟性: 様々な状況に適用できる。
  • 予防: 問題が発生する前に、予防策を講じることができる。

PTMFのデメリット

  • 複雑性: 多くの要素を考慮するため、複雑な概念である。
  • 客観的な評価が難しい: 主観的な要素が多く、客観的な評価が難しい場合がある。

まとめ

 PTMFは、個人の問題を、その人が置かれた社会的な文脈の中で捉えようとする画期的な枠組みです。従来の医学モデルとは異なり、より人間中心的なアプローチであり、様々な分野で応用されています。

 PTMFを知ることで、私たちは、自分自身や他者の心の問題をより深く理解し、より効果的な支援を提供できるようになるでしょう。

 確かにメンタルの薬を飲んでも、状況は改善しません。
苦しさを忘れるためにお酒やギャンプル、ドラッグなどで一時的に忘れることができても根本的な解決にはなりません。
 その状況でどうするかが問われているのでしょう。
 問題が解決したら、ひょっとしたらメンタルの病も解消するか、あるいは緩和するかもしれません。
 問題を抱えていても生きることはできるので、いかに生きることを考えるかもあります。
 そして言えることは問題はその人が抱えているものであり、それを誰も代わりに背負うことはできません。本人が解決すると言うか、どうしていくかなのでしょう。
そのために周りがどう支援できるか。
 菅元首相が下記の順番で行って欲しいと言われていました。
①自助
②共助
③公助
 しかし、貧困などでは、自助、共助でどうしようもない部分もあります。共助、自助ができるように公助を先ずすることではないでしょうか。
つまり、頑張ることができる社会創りです。
 お薬は眠れないなら、それはきついから先ずは寝られるようにするためのものです。
不安あれば、お薬は不安に関する過敏は和らげても不安の原因を取り除くことはできません。
 なぜ眠られなくなったか。そこにはハードな仕事があるのかもしれません。

 ナラティブセラピーはカウンセリングで問題を本人に気づかせたり、どうしていくかを本人が、見つけるための支援です。
 今抱えている問題を人から離す(外在化)ことで、その問題を考えるようです。
 オープンダイアローグは、それをカウンセラー一人ではなく、本人も含めた関係する人々、ときには家族も入って一緒に考えて対話するなかで、本人が気付き発見するようです。
 ただ本人一人では解決できない場合は支援が必要です。

 不登校なら、不登校の問題を対話で解決する方法を見つけるもので、不登校にはメンタルの薬では解決できません。

 読んでいて思ったのは、自分がメンタルを病んでいても、自分で自分の精神の主人になることで、ひょっとしたら、生きて行けるのではないかと思いました。
 自分の心を知り(本人が一番わかっているが視野狭窄に陥っている場合もあり他の人の意見なども参考にしながら)、今どうするかなのかもしれません。

 意味づけ、困難にも意味が見つかると人は頑張れるのかもしれません。
意味を考えるのに助けになるのにロゴセラピーがあります。
意味は誰かのために、何かをしたいとの希望(夢)が、エネルギーになるかもしれません。
 今抱えている困難もきっと何か意味があると信じて生きていると、意味が生まれてくるのだと思います。
 意味がもう何もないと失望したとき、人はエネルギーが底をつくのかもしれません。
 誰かのために、何かのために、何かあるはずです。気がつかないだけかもしれません。
 ACジャパンの広告に、「救われた人は、救う人になる」と有村架純さんのナレーションで言っています。
社会を良くするには困っている人に自分の出来る範囲で手を差し伸べることなのでしょう。
それとやはり楽しい時間を持つことも大きいでしょうね。
手を差し伸べることが楽しくなるとステキですね。