https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210730/k10013170101000.html 2021年7月30日 17時26分 NHKニュース
「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐり、安倍前総理大臣側が費用の一部を負担したのは有権者への違法な寄付で公職選挙法に違反する疑いがあるなどとして、安倍氏が告発され不起訴になったことについて、東京の検察審査会は、十分な捜査が尽くされていないなどとして「不起訴は不当だ」と議決し、30日公表しました。
これを受けて東京地検特捜部は再捜査を行い、改めて、起訴するかどうか判断することになります。
「桜を見る会」の前日夜に開かれた懇親会をめぐっては、主催した政治団体「安倍晋三後援会」の代表だった元公設第1秘書が、おととしまでの4年間の政治資金収支報告書に合わせておよそ3000万円の収支を記載しなかったとして、去年12月、政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、罰金100万円の略式命令を受けました。
一方、安倍前総理大臣は嫌疑不十分で不起訴になりました。
この問題では、安倍氏側が懇親会の費用の一部を負担したのは有権者への違法な寄付で、公職選挙法に違反する疑いがあるとして安倍氏らが告発されましたが、特捜部は「懇親会の参加者に寄付を受けたという認識があったと認めるだけの証拠は得られなかった」などとして不起訴にしました。
これについて東京の第1検察審査会は安倍氏と元公設第1秘書について「不起訴は不当だ」と議決し、30日公表しました。
議決の中で、審査会は「一部の参加者の供述だけで参加者全体について寄付を受けた認識がないと判断したのは不十分と言わざるをえない。安倍氏や秘書らの供述だけでなく、メールなどの客観資料も入手したうえで犯意を認定するべきで、不起訴の判断には納得がいかない」と指摘しています。
また、審査会は、実際に費用の一部を負担した安倍氏の資金管理団体の収支報告書に収支の記載がないのは、政治資金規正法に違反する疑いがあるとして安倍氏と団体の会計責任者が告発され、不起訴になったことについても「不起訴不当」と議決しました。
安倍氏については、会計責任者の選任や監督で注意を怠っていた疑いについて捜査すべきだとしています。
一方、元公設第1秘書が略式起訴された政治資金規正法違反の事件については、検察審査会は「不起訴は相当だ」と議決しました。
議決文の最後に審査会は「政治家はもとより総理大臣であった者が秘書がやったことだと言って関知しないという姿勢は国民感情として納得できない。国民の代表者であるという自覚を持ち、清廉潔白な政治活動を行い、疑義が生じた際にはきちんと説明責任を果たすべきだ」と指摘しています。
「不起訴不当」と議決された容疑について、東京地検特捜部は再捜査を行い、改めて、起訴するかどうか判断することになります。
仮に検察が再び不起訴にすれば、検察審査会の2回目の審査は行われず捜査が終わることになります。
安倍前首相「当局の対応を静かに見守りたい」
安倍前総理大臣は、国会内で記者団に対し「検察当局が厳正な捜査を行い、私や、私の事務所も真摯(しんし)に対応して全面的に協力してきた。その結果、不起訴という判断が示されたと承知している。今回、一部不起訴不当という議決がなされたが、私としては今後、当局の対応を静かに見守りたい」と述べました。
そのうえで、記者団が「議決の内容をどのように知ったのか」と質問したのに対し、「つい先ほど報道によって知った」と述べました。
懇親会費用の一部負担 安倍氏の説明
懇親会の費用の一部を負担していたことについて安倍氏は去年12月、国会で「飲食費などについては5000円の会費を徴収していた。不足分は会場費などで、私が預金から下ろして秘書に預けていた資金で立て替えていた。会場費などは、寄付や利益の提供には当たらないという総務省の見解がある」と説明していました。
申立人弁護士「今ある証拠の中では最大限の判断してもらえた」
検察審査会に申し立てていた弁護士などのグループは東京 霞が関で会見を開き、泉澤章弁護士は「一国の首相が違法行為をしている現状をだまって見てはいられないと告発し、検察審査会にも申し立てたが、その思いを正確に受け止めてもらえた。起訴すべきという議決ならもっとよかったが、今ある証拠の中では最大限の判断をしてもらえたと思っている」と述べました。
そのうえで、
「安倍氏の『秘書がやったことで知らなかった』という発言について、検察審査会は『国民感情として納得できない』と書いた。安倍氏はこの議決を受け止めて、国会でみずから釈明をし、議員辞職してほしい」と話していました。
東京地検 森本次席検事「議決内容を精査し適切に対処」
検察審査会の議決について、東京地方検察庁の森本宏次席検事は「不起訴不当とされた事件について再び捜査に着手し、議決内容を精査して適切に対処したい」としています。
立民 安住国対委員長「証人喚問にふさわしい事態」
立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「もう1回捜査をやり直せということで、これまで野党が主張してきたことが立証された形だ。安倍氏はこの事件をめぐり国会で118回もうその答弁をしたことも国民は忘れていないし、事件をこのまま闇に葬り去るわけにはいかず、証人喚問にふさわしい事態になった。速やかに臨時国会を開いてほしい」と述べました。
維新 遠藤国対委員長「国民の疑念に答えることがすべて」
日本維新の会の遠藤国会対策委員長はNHKの取材に対し「国民の間にも実態を知りたいという思いがあると受け止めている。どんなことが問題なのか、より明確、かつクリアになるようにしていくことが大事で、検察にはこれを機に透明性高く調べを進めてもらいたい。国民の疑念に答えていくということがすべてだ」と述べました。
共産 田村政策委員長「捜査は当然 証人喚問を」
共産党の田村政策委員長は、記者会見で「有権者に買収が行われたのではないかという疑惑であり、改めて捜査が行われるのは当然のことだ。安倍前総理大臣を国会に呼び、偽証が許されない証人喚問の場で究明を行う必要がある。また、当時、官房長官として、この疑惑にふたをし続けてきた菅総理大臣にも重い責任がある」と述べました。
国民 玉木代表「国会でみずから説明すべき」
国民民主党の玉木代表は、NHKの取材に対し「不起訴の判断に問題があると認定された意義は重大で検察には厳格に再捜査して適切な処分をしてもらいたい。安倍前総理大臣は政治的責任も問われていて最終的には衆議院選挙で国民に審判を仰ぐことだが、まずは国会でみずから説明すべきだ」と述べました。
感想;
最近、検察の不起訴が不適切との判断が続いています。
検察はきちんと、納得される判断を行って欲しいものです。
検察の信頼性が問われています。
高級国民や仲間には甘く、目を付けた人には偽造・偽証してまでも犯人にしてしまう体質を今一度見直して欲しいものです。
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