「平常心を失わない技術」 保保坂隆著 より 引用(であるをですますに変更)
トラブルや試練にはごほうびがついている
一生安泰で平穏無事などという人は、この世に一人もいないと断言してもいい。
日本を代表する画家、故・平山郁夫さんは瀬戸内海に浮かぶ広島県瀬戸田町(現・尾道市)に生まれ、広島の中学校在学中に原爆投下に遭いました。
だが、その試練と戦ううちに、平山画伯は、玄奘三蔵の仏教伝来の道をたどる苦悩の旅に思いを馳せるようになり、「仏教伝来」を描きあげ、それが院展に入選し、画家として世にでるきっかけをつかみました。
平山画伯といえば、シルクロードをくまなく旅し、その光景を描いた作品で知られていますが、初めてシルクロードの旅を思い立った時には、旅行会社さえ、タクラマカン砂漠に行くルートがわからないほどの秘境だったそうです。40年以上も昔の話です。言葉が通じなければ、飲み水の確保さえむずかしい。そんななかを同級生だった奥さんと二人で、文字どおり手を携えて旅をしました。
人一倍苦労した人、試練の荒波をかいくぐって来た人には、大きなご褒美が与えられているのかもしれません。もちろん、誰も彼もが、平山画伯のような大成功を収めているわけではありません。だが、試練を乗り越えた人は、たとえば、ほんの小さなことにも感謝できる、そんな心の持ち主になれます。人の情けが身にしみるようりなります。大失敗はしたけれど、どっこい、まだ自分はがんばっている。そんな自分に大きな自信を持てるようになる・・・。試練はこんなすばらしいごほうびを持ってきてくれるものなのです。
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」で一世を風靡した映画評論家の故・淀川長治さんの口グセは、「ウエルカム・トラブル」「トラブルよ、いらっしゃいと思っていると、実際にトラブルが起こってもあわてないし、元気に乗り越えられるものですよ」と言っていたそうです。おまけにそのトラブルがごほうびを持って来てくれます。
感想;
ふしぎなもので、苦労したことが大きいほど喜びは大きいように思います。苦労があったからこそ、喜びを味わうことができるのかもしれません。
この本にはいろいろな事例が紹介されています。
小見出しのタイトルには以下のようなものが63あります。
生き方に関する本はかなり読んで来ましたが、推奨する本の一冊です。
イライラし過ぎると平常心が失われる
自分は自分、他人と比べない
他人をうらやましがらない
コンプレックスを含めて自分を好きになる
「いい日だった」と思えば、その日はいい日になる
無理して人とつき合う必要はない
他人に弱みを見せることを恐れない
「ありがとう」を気楽に口に出す習慣を
人のせいにするのはすっぱりやめる
ツキのないときはジタバタしない など