・今回、この本のお話をいただいたとき、私は戸惑いました。正直なところ、「またこの人か」と思われるのがとても怖かったのです。・・・。でも、もう一度自分自身に向き合ってみたとき、私の中には「性犯罪被害者」として伝えたいこと、書きたいことがまだまだあることに気がつきました。
・このとき、「何をされたの?」と聞く刑事さんに、私は「レイプ」という言葉を口にするのがいやで、確か、こう答えました。「何かを入れられた」と。刑事さんからは「陰茎を?」と聞かれたのですが、このとき、私は、「違うと思う」と、嘘をついています。受け止めきれない、認めたくないという気持ちと、話したくない、知られたくないという思いの中で、私はとにかく、混乱していました。
・結局、「強かん致死傷」「強かん致死」「強盗強かん」などの場合は、裁判員裁判で審理が行われることになりました。ここでひとつの疑問。これらの犯罪は裁判員裁判の対象になるのに、「強かん」や「強制わいせつ」だけだと裁判員の参加しない従来の法廷で審理されるのです。
・私の元にメールをくれる被害経験者のうち、警察に届けを出せた人が50人にひとりくらい。私のように犯人が見つからない場合や、せっかく犯人が逮捕されても、証拠不十分だったり、被害者と加害者の関係が密接なことなどで起訴猶予や不起訴になることも少なくありません。これまで私が知り合ったおよそ3000人の被害者の中で、刑事裁判まで進んだ人はたったの30人しかいません。だから私は、被害当事者の仲間たちと、裁判について話をしたことがあまりないのです。
・青森での(裁判員)裁判が前例となって、以後、性犯罪を扱う裁判員裁判は、事件の詳細については裁判員だけが資料を読み、朗読するのはその概要のみとするようになったり、事件を再現する写真や映像についても、裁判員には見せても、傍聴席から見えるモニターの電源は落とされるなど、それなりの配慮がなされるようになっています。
・「警察に通報したことで逆恨みされ、殺されるのではないかと思ったこともあります」
「犯人の”黙れ!“という怒鳴り声が、今も頭にこびりついています」
・「一般の人から選ばれる6人の裁判員が加わることによって、加害者が増えてしまう気さえする
のです」 これはある被害者の言葉です。
・大分のケースは、その「裁判員裁判」をいったん拒否したにもかかわらず、検察の判断によって、被害者がいつの間にかそれと向き合わざるを得なくなってしまったというもの(強制わいせつ事件の被害者には、想定外だった)。
私だったら、すぐに気持ちを切り替えることなど不可能だと思うのです。しかし一方で、裁判員制度の下で裁かれたほうが、犯人が重罰を科せられる可能性が高いという点も見逃せません。実際、大分のケースでも、地検は、加害者をできるだけ重い罪に問うことが、被害者のためになるという判断をしたとも考えられます。
・2008年の調査(内閣府)
「これまでに異性から無理やりに性交された経験」=強かん被害の経験を持つ女性は、全体で「1回あった」人が3.1%、「2回以上あった」人が4.2%の計7.3%となっています。調査対象の1675人の内、122もの女性が強かんされた経験を持っていることになります。
・加害者との関係
知らない人48% 顔見知り47%
・顔見知り加害者の内訳
職場関係16% 親13% 兄弟姉妹11% 恋人11% 配偶者5% 親戚4% 教師4% 祖父2%
・被害にあった年代
20代46% 10代33% 10代未満10%
・被害内容
挿入アリ(強かん、レイプ、セックスなど)53%、挿入なし15%
・被害にあった場所
自宅23% ホテル11% 車10% 道端の物陰9% 公園(トイレ含む)6%
・誰に打ち明けたか
(母)親13% 友人13% 恋人8% 夫2% 誰にも話していない57%
・相談先
警察4% 病院3% 弁護士2% 他民間機関4% どこにも届けていない85%
・性暴力は一般に、「聞いてはいけない」し、「言いにくいもの」「触れてはいけないこと」としてとらえられています。だから性暴力を受けた被害者は、「言ってはいけなくて言えないこと」なんだと自然と感じてしまうのが、今の社会ではないでしょうか。一方、加害者の側もそのことを知っていて、その行為や被害者の写真をビデオやカメラに撮ったりする場合もあるようです。
・性暴力の問題に真剣に取り組み、被害者にきちんと向き合ってくれる専門家が足りな過ぎるほど足りないのが現実です。
・私が被害にあった10年前に比べると、警察は窓口とした横のつながりがずいぶん整ってきているようです。
・“私自身が被害当事者の話を聞ける存在になりたい”-そう思うようになったのです。そこで私は心理カウンセラーを養成する専門学校に通い始めました。また、少しでも多くの犯罪被害者たちの声を聞くために、それまで勤めていた司法書士事務所から弁護士会の法律相談センターに転職しました。
・マスコミの人、とくに報道の人というのは、どんな時間でも連絡がつくのです。
・「性犯罪がこんなに人を傷つけるなんて知らなかった」というたくさんの感想。さらに、自身の被害体験を綴ってくれた人たち。「同じような目にあいました」「私同様、何年も苦しんでいる人の存在を知ったのははじめてです」そして添えられた、「ありがとう」の一言。感謝したいのは私のほうです。被害当事者の皆さんが送ってくれた「ありがとう」という励ましの言葉が、どれほど私の支えになっていることか。
・加害者を取り上げるのに、私に何ができるのでしょうか。事件の加害者を追いかけて取材することと、私とは何の関係もないはずです。
・私個人ではとても知りえない現実を知ることができたのも、彼らのおかげです。その意味で、私はマスコミの皆さんとお付き合いすることで、とても貴重な体験をさせていただいたと思っています。
・(中村かずはさん17歳高校生)
私の心にある気持ちを聞いてもらうために。
社会に出る気持ちがちょっとずつ生まれてきました。
美佳さん、ありがとうございます。
美佳さんの言葉で、私にもすこし勇気がわいてきました。
・りょうちゃんは自分が性暴力の被害者であることを、周囲に打ち明けていません。しかし、警察が犯人を捕まえると、その裁判に証人として出廷し、あったことの一部始終を法廷で証言したのです。自分に起きたことを、自分で認める。それができていなければ、裁判で証言台に立つことなどできません。
でも、実はあのとき、私はこう言いたかったのです。
「私も、りょうちゃんや、かずちゃんのようになりたかった」と(著者)。
事件のことを受け入れられず、もがくだけもがいて、一歩も進めなかった私。周囲への気遣いなどまったくできずに、大切な人を傷つけてしまった私。私はりょうちゃんに出会って支えられ、ようやく前を向くことができた。
・平日は会社員として働いているので、通勤途中に被害当事者からのメールに返信し、帰宅してから手紙を書き、週末は被害当事者に会うという日々が日常的になりました。年間に30回ほど講演に呼んでいただくこともあります。
自分と同じ経験を持った仲間と交流することで、私もまた、自分の身に起きた性暴力被害という事実を受け入れられるようになったのです。この日常ががなくなってしまうと、私はその事実をどう受け止めたらいいかわからなくなってしまうと思います。
・性犯罪・性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」の設置も、全国で広がりつつあります。
・一体、自分や自分の大事な仲間が望む制度とは、法律とはなんなのでしょうか。そう考えたとき、なんと答えたらよいか分かりませんでした(「非親告罪」についての意見を求められ)。
感想;
勇気を出して声を上げることが、改善につながるのでしょう。
特に性犯罪は声を上げ難いと言われています。
裁判でもう一度曝されてしまうこと、そして多くの人に知られてしまうからです。
詩織さんの強かんが逮捕直前に上の指示で逮捕中止!
父親が娘のセクハラが無罪!
など多くの性犯罪も罪になっていない現状です。
・このとき、「何をされたの?」と聞く刑事さんに、私は「レイプ」という言葉を口にするのがいやで、確か、こう答えました。「何かを入れられた」と。刑事さんからは「陰茎を?」と聞かれたのですが、このとき、私は、「違うと思う」と、嘘をついています。受け止めきれない、認めたくないという気持ちと、話したくない、知られたくないという思いの中で、私はとにかく、混乱していました。
・結局、「強かん致死傷」「強かん致死」「強盗強かん」などの場合は、裁判員裁判で審理が行われることになりました。ここでひとつの疑問。これらの犯罪は裁判員裁判の対象になるのに、「強かん」や「強制わいせつ」だけだと裁判員の参加しない従来の法廷で審理されるのです。
・私の元にメールをくれる被害経験者のうち、警察に届けを出せた人が50人にひとりくらい。私のように犯人が見つからない場合や、せっかく犯人が逮捕されても、証拠不十分だったり、被害者と加害者の関係が密接なことなどで起訴猶予や不起訴になることも少なくありません。これまで私が知り合ったおよそ3000人の被害者の中で、刑事裁判まで進んだ人はたったの30人しかいません。だから私は、被害当事者の仲間たちと、裁判について話をしたことがあまりないのです。
・青森での(裁判員)裁判が前例となって、以後、性犯罪を扱う裁判員裁判は、事件の詳細については裁判員だけが資料を読み、朗読するのはその概要のみとするようになったり、事件を再現する写真や映像についても、裁判員には見せても、傍聴席から見えるモニターの電源は落とされるなど、それなりの配慮がなされるようになっています。
・「警察に通報したことで逆恨みされ、殺されるのではないかと思ったこともあります」
「犯人の”黙れ!“という怒鳴り声が、今も頭にこびりついています」
・「一般の人から選ばれる6人の裁判員が加わることによって、加害者が増えてしまう気さえする
のです」 これはある被害者の言葉です。
・大分のケースは、その「裁判員裁判」をいったん拒否したにもかかわらず、検察の判断によって、被害者がいつの間にかそれと向き合わざるを得なくなってしまったというもの(強制わいせつ事件の被害者には、想定外だった)。
私だったら、すぐに気持ちを切り替えることなど不可能だと思うのです。しかし一方で、裁判員制度の下で裁かれたほうが、犯人が重罰を科せられる可能性が高いという点も見逃せません。実際、大分のケースでも、地検は、加害者をできるだけ重い罪に問うことが、被害者のためになるという判断をしたとも考えられます。
・2008年の調査(内閣府)
「これまでに異性から無理やりに性交された経験」=強かん被害の経験を持つ女性は、全体で「1回あった」人が3.1%、「2回以上あった」人が4.2%の計7.3%となっています。調査対象の1675人の内、122もの女性が強かんされた経験を持っていることになります。
・加害者との関係
知らない人48% 顔見知り47%
・顔見知り加害者の内訳
職場関係16% 親13% 兄弟姉妹11% 恋人11% 配偶者5% 親戚4% 教師4% 祖父2%
・被害にあった年代
20代46% 10代33% 10代未満10%
・被害内容
挿入アリ(強かん、レイプ、セックスなど)53%、挿入なし15%
・被害にあった場所
自宅23% ホテル11% 車10% 道端の物陰9% 公園(トイレ含む)6%
・誰に打ち明けたか
(母)親13% 友人13% 恋人8% 夫2% 誰にも話していない57%
・相談先
警察4% 病院3% 弁護士2% 他民間機関4% どこにも届けていない85%
・性暴力は一般に、「聞いてはいけない」し、「言いにくいもの」「触れてはいけないこと」としてとらえられています。だから性暴力を受けた被害者は、「言ってはいけなくて言えないこと」なんだと自然と感じてしまうのが、今の社会ではないでしょうか。一方、加害者の側もそのことを知っていて、その行為や被害者の写真をビデオやカメラに撮ったりする場合もあるようです。
・性暴力の問題に真剣に取り組み、被害者にきちんと向き合ってくれる専門家が足りな過ぎるほど足りないのが現実です。
・私が被害にあった10年前に比べると、警察は窓口とした横のつながりがずいぶん整ってきているようです。
・“私自身が被害当事者の話を聞ける存在になりたい”-そう思うようになったのです。そこで私は心理カウンセラーを養成する専門学校に通い始めました。また、少しでも多くの犯罪被害者たちの声を聞くために、それまで勤めていた司法書士事務所から弁護士会の法律相談センターに転職しました。
・マスコミの人、とくに報道の人というのは、どんな時間でも連絡がつくのです。
・「性犯罪がこんなに人を傷つけるなんて知らなかった」というたくさんの感想。さらに、自身の被害体験を綴ってくれた人たち。「同じような目にあいました」「私同様、何年も苦しんでいる人の存在を知ったのははじめてです」そして添えられた、「ありがとう」の一言。感謝したいのは私のほうです。被害当事者の皆さんが送ってくれた「ありがとう」という励ましの言葉が、どれほど私の支えになっていることか。
・加害者を取り上げるのに、私に何ができるのでしょうか。事件の加害者を追いかけて取材することと、私とは何の関係もないはずです。
・私個人ではとても知りえない現実を知ることができたのも、彼らのおかげです。その意味で、私はマスコミの皆さんとお付き合いすることで、とても貴重な体験をさせていただいたと思っています。
・(中村かずはさん17歳高校生)
私の心にある気持ちを聞いてもらうために。
社会に出る気持ちがちょっとずつ生まれてきました。
美佳さん、ありがとうございます。
美佳さんの言葉で、私にもすこし勇気がわいてきました。
・りょうちゃんは自分が性暴力の被害者であることを、周囲に打ち明けていません。しかし、警察が犯人を捕まえると、その裁判に証人として出廷し、あったことの一部始終を法廷で証言したのです。自分に起きたことを、自分で認める。それができていなければ、裁判で証言台に立つことなどできません。
でも、実はあのとき、私はこう言いたかったのです。
「私も、りょうちゃんや、かずちゃんのようになりたかった」と(著者)。
事件のことを受け入れられず、もがくだけもがいて、一歩も進めなかった私。周囲への気遣いなどまったくできずに、大切な人を傷つけてしまった私。私はりょうちゃんに出会って支えられ、ようやく前を向くことができた。
・平日は会社員として働いているので、通勤途中に被害当事者からのメールに返信し、帰宅してから手紙を書き、週末は被害当事者に会うという日々が日常的になりました。年間に30回ほど講演に呼んでいただくこともあります。
自分と同じ経験を持った仲間と交流することで、私もまた、自分の身に起きた性暴力被害という事実を受け入れられるようになったのです。この日常ががなくなってしまうと、私はその事実をどう受け止めたらいいかわからなくなってしまうと思います。
・性犯罪・性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」の設置も、全国で広がりつつあります。
・一体、自分や自分の大事な仲間が望む制度とは、法律とはなんなのでしょうか。そう考えたとき、なんと答えたらよいか分かりませんでした(「非親告罪」についての意見を求められ)。
感想;
勇気を出して声を上げることが、改善につながるのでしょう。
特に性犯罪は声を上げ難いと言われています。
裁判でもう一度曝されてしまうこと、そして多くの人に知られてしまうからです。
詩織さんの強かんが逮捕直前に上の指示で逮捕中止!
父親が娘のセクハラが無罪!
など多くの性犯罪も罪になっていない現状です。
今も忘れる事はないです。
私にも、被害者の方に助けれる事は無いのでしょうか?